俺はネルフの仮眠室で目が覚めた

なぜ、こんな所にいるのか不思議だった

・・・あの時撃たれて死んだはずなのだから・・・


心の隙間                                                        

第一話 彼がいない・・・


「・・・どう言うことだ?」

俺は加持リョウジーネルフとゼーレと内務省の三重スパイ・・・

だから、俺はゼーレに殺されたはずなのだ

大きなファンのある、あそこでー

 

俺は困惑した

「落ち着け・・・とりあえず落ち着いて・・・情報を探すんだ」

俺は自分に言い聞かせるみたいに言ったんだ

「とりあえず今何時だ?」

俺は時計を見た。時計は13時を示していた

「13時か・・・・・・・!?なんだって!」

時計は確かに13時を示していた。だが、俺が驚いたのはそんな事じゃない。時計についている日付だ

俺が殺された日からーよくは覚えてないがー三週間は経っていた

「どう言うことだ?・・・落ち着け!とりあえず整理するんだ!」

俺は自分の頬をパンパンと軽く叩いた

「まず・・・俺は死んでなかった・・・だが、何故死んでなかったのか?・・・あの時、撃ってきたのは実弾じゃなかったのか?麻酔銃だったのか?それにしても三週間も眠る麻酔銃なんて・・・・・りっちゃんなら作りそうだな・・・とりあえず、俺を助けたのは誰だ?碇司令?葛城か?・・・」

俺は深い考えた

「・・・だめだ!・・・とりあえず・・・歩き回るか・・・」

俺は懐に銃があるかどうか確かめた

ーあった

ここはネルフの仮眠室だ。だが、ネルフの仮眠室によく似たどこかかもしれない。油断は出来ない

俺は銃を握りしめ、ドアの外の様子をうかがいながらドアを開け外に出た

そこにいたのは・・・葛城だった

葛城はきょとんとした顔で俺を見ている

「・・・なにしてんの?ゼーレはもう滅びたのよ。それなのに銃なんて構えて・・・」

ゼーレが滅びた!?その事は俺に衝撃を与えた

「一体どう言うことだ?」

「はあ?何言ってんの、あんた?昨日、ゼーレが攻めてきたでしょうが。戦自もきて・・・白いエヴァも攻めてきて・・・それをチルドレンが団結して撃退したんじゃない」

な・・・!ゼーレが攻めてきた?さらに葛城は困惑することを言ってきた

「そうそう。あんたの作った、トラップ。凄かったじゃない。もう、戦自のほとんどはアレで壊滅したようなものね」

俺は今まで寝てたんじゃないのか!?・・・洗脳でもされたのか?

「・・・ところでいつまでそれ持ってんの?」

葛城にそう言われて、俺は銃を懐にしまった

「それより、起きたんなら手伝いなさいよ!今は猫の手も借りるほど忙しいんだから」

葛城はそう言って去っていった。だが、葛城に言われた後も俺は馬鹿みたいに突っ立っていた。あまりに入ってくる情報が突飛なので、脳の整理がついてないのだ

葛城の話から推測するとー俺は昨日、ゼーレが手を回した戦自に対してトラップを作り、そしてゼーレの白いエヴァ・・・おそらく量産機だろう・・・も攻めてきて、それをチルドレンが撃破したことになる・・・

「くそ!もっと情報を集めるぞ!」

俺は情報を集めるべく、色んな人の所にいった

だが・・・言ってくることはほとんど一緒だった

戦自が攻めてきて

白いエヴァも攻めてきて

そして、ゼーレが壊滅・・・

いや、もう一つ情報があった

チルドレンがレイちゃん、アスカ、シンジ君じゃなく

レイちゃん、アスカ、カヲルって子になっているんだ

コレは・・・どう言うことだ?

シンジ君が・・・いなくなっている?

俺は葛城の所に再び足を向けた

彼の行方を知っていて、素直に教えてくれそうなのは彼女だからだ

 

 

 

俺は葛城の執務室に向かった

ところが執務室に向かう途中。チルドレンに出くわしたんだ

(・・・銀髪?)

「あ♪加持さ〜ん♪」

俺が銀髪の彼を見ていると、アスカが俺に声をかけてきた

「よう、アスカ」

チルドレン達は俺に近寄ってきた

(とりあえず・・・それとなく話を合わせて・・・少しずつ情報を引き出すか・・・)

「今日はなんの用だい?・・・ゼーレはもういなくなって、戦う理由も無いはずなのに・・・」

言ってから「しまった!」と思った。チルドレンがゼーレのことを知っているとは限らないのだ。いや、むしろ教えてない可能性の方が高い

だが、俺の心配も杞憂に終わった

「今日はミサトに呼び出されたのよ。今度はなにやらせる気なんだか・・・ぶつぶつ」

そんなアスカを苦笑しながら見つつ、俺は残りの二人にも声をかけた

「君たちも呼び出されたのかい?」

「そうなんですよ。葛城さんはいつも突然なんだから・・・」

「・・・・・・」

俺の問いに答えたのは銀髪で紅い目をした、彼だった・・・彼が、『カヲル』なんだろうか?

カヲル君は腕時計を見た

「アスカちゃん、もうそろそろ行かないと間に合わないよ」

「ん・・・ああ、本当ね。では、加持さん。失礼しま〜す」

「失礼します」

「・・・失礼します」

「ああ。頑張ってな」

チルドレン達はそれぞれ頭を下げて行った。多分発令所だろう

「さてと・・・」

俺は再び葛城の執務室に向かった

 

 

 

「迂闊だった・・・」

俺は葛城の執務室に訪れて、はじめて失敗に気付いた

よく考えればチルドレンが呼び出されているのだから、葛城も発令所の方に行っているはずなのだ

「それにしても・・・相も変わらず凄い部屋だな・・・」

そう、凄い部屋だった

至る所に紙屑、ビールの缶、コーヒーの缶、パンの袋が落ちている・・・仕事中でもビールを飲んでいるのか?

「はあ・・・無駄足かな・・・」

俺は出ようとした。その時、ぴーんと閃いた

「そうだ!パソコンで情報を引き出せば良いんじゃないか!どうして気付かなかったんだ!」

俺はそう考えると葛城のパソコンを借りて、インターネットにつないでネルフの情報を引き出した

俺のIDはほとんど最高級。碇司令の一つ下って所だろう。取り出せない情報はほとんど無い

「・・・カヲル・・・っと」

俺はカヲルで検索してみた。案の定、数人が検索結果に乗った

ネルフはD級職員も含めたら凄い人数になる。同名ぐらいなら、珍しくない

「チルドレンのカヲル君は・・・」

俺は一つずつクリックしていった

「・・・碇・・・カヲル?」

・・・碇?そんな苗字に惹かれて俺はそこをクリックした

『名:碇カヲル

性別:男

家族:父(碇ゲンドウ)母(碇ユイ)妹(碇レイ)

住所:コンフォート17マンション、11階11−A−3号室。妹、碇レイと同居。両親とは別居している

備考:総司令:碇ゲンドウ、技術部部長補佐:碇ユイとの間に出来た子供。彼の髪、目、肌はアルビノらしい。サードチルドレン、エヴァンゲリオン初号機のパイロット。葛城三佐の部下という格付けにされている。出撃回数14回、使徒殲滅回数8回、アシスト回数3回』

その文章の横には銀髪で紅い目のカヲルの写真が載っている

「・・・碇司令の子供とは・・・シンジ君はいなくなったのか?それに碇ユイって・・・」

俺は次に碇カヲルの妹の碇レイを検索することにした

「・・・碇レイ・・・っと」

すぐに検索結果が出てきた

『名:碇レイ

性別:女

家族:父(碇ゲンドウ)母(碇ユイ)兄(碇カヲル)

住所:コンフォート17マンション、11階11−A−3号室。兄、碇カヲルと同居。両親とは別居している

備考:総司令:碇ゲンドウ、技術部部長補佐:碇ユイとの間に出来た子供。彼女の髪、目、肌アルビノらしい。ファーストチルドレン、エヴァンゲリオン零号機のパイロット。葛城三佐の部下と格付けされている。出撃回数8回、使徒殲滅回数2回、アシスト回数3回』

この文章の横には、やはりレイの写真が載っている

「・・・綾波じゃなくて、碇?・・・しかも司令の子供?」

何がどうなってるんだか・・・

「・・・まさかアスカまで変わっているんじゃあ・・・」

俺はそう思い、アスカを検索することにした

「・・・惣流・アスカ・ラングレーっと・・・」

アスカもすぐに出てきた

『名:惣流・アスカ・ラングレー

性別:女

家族:母(惣流・キョウコ・ツェッペリン)

住所:コンフォート17マンション、11階11−A−2号室。母、惣流・キョウコ・ツェッペリンと暮らしている

備考:作戦部部長補佐:惣流・キョウコ・ツェッペリンの子供。父親は幼い頃に母と離婚。彼女はドイツ人と日本人のクオーターであり、紅い髪、青い目はドイツ人の血が混ざっているからである。セカンドチルドレン、エヴァンゲリオン弐号機のパイロット。葛城三佐の部下と格付けされている。出撃回数12回、使徒殲滅回数4回、アシスト回数1回。独断で動きチームプレーをしない傾向があり、独断専行して危険な目に遭ったこともある』

この文章の横には何も変わっていない、アスカの写真が載っている

「・・・・・」

アスカは変わっていなかった。アスカはだ

ただ・・・何故アスカの母親が生きているんだ?

俺は碇ユイと検索した

「・・・碇ユイっと・・・・」

『名:碇ユイ

性別:女

家族:夫(碇ゲンドウ)長男(碇カヲル)長女(碇レイ)

備考:総司令碇ゲンドウの妻であり、ファーストチルドレンの碇レイ、サードチルドレンの碇カヲルの母親である。技術部部長。階級は二佐になる』

やはり横にはユイの写真が載っている

「・・・大したことが分からないな・・・次は・・・」

俺はアスカの母親を検索した

「・・・惣流・キョウコ・ツェッペリンっと・・・・」

「名:惣流・キョウコ・ツェッペリン

性別:女

家族:長女(惣流・アスカ・ラングレー)

備考:セカンドチルドレン惣流・アスカ・ラングレーの母親である。夫は十数年前に離婚。作戦部部長。階級は二佐』

横には、金髪でアスカにどことなく似ている女性の写真が載っている

「・・・コレも・・・あまり大したことが分からないな・・・」

俺はその後も色々な方面から色んな事を知ろうとしたが、結局新たなことは何も分からなかった

分かったのは・・・

あの子は碇カヲルと言って、碇司令の子供だって事

綾波レイはいなくなって、碇レイとなり、こちらも碇司令の子供になっていること

碇ユイが生きていること

惣流・キョウコ・ツェッペリンが生きていること

ゼーレが昨日攻めてきたのは本当だって事

俺もその時にちゃんと戦っていたということ

そして・・・碇シンジがいないこと・・・か・・・

「・・・仕方ない・・・葛城の所に行くか・・・」

俺は発令所の方に向かった

 

 

 

俺が発令所につくと、アスカと葛城が何かもめているところだった

「私がなんでそんなことしなくちゃなんないのよ!!」

「だから〜、先の戦闘で第三新東京市は壊滅的な被害を受けたから・・・ちょっと手伝うだけじゃないの」

「そんなの、戦自にやらせりゃいいでしょ!!ここをこんなのにしたのは戦自なんだから!!」

「それでも良いんだけど、そうなると少なく見積もっても元通りになるまで50年はかかるのよ」

「だからって何でEVAで瓦礫の撤去作業なんてしなきゃなんないのよ!!」

「だから・・・」

堂々巡りである。このままではらちがあかない

レイちゃんは無表情で何も言わない

カヲル君は軽く微笑み、楽しそうに見ている

そんな彼女たちを止めたのはキョウコさんだった

「アスカちゃん。葛城さん。止めなさい」

「ママ・・・」

「キョウコ二佐・・・」

キョウコさんが呼びかけると、アスカも葛城も口論を止めた

大したもんだ・・・と俺は思った

「アスカちゃん・・・お願い。EVAで手伝って欲しいの」

キョウコさんはアスカに向き直り、静かに話し始めた

そんなキョウコさんの様子にアスカも少しは冷静になったようだ

「けど・・・瓦礫の撤去作業なんて・・・」

「確かに・・・EVAで瓦礫の撤去作業なんて・・・やりたくないのも分かるわ」

「だったら!!」

「けどね・・・アスカちゃん・・・今、第三新東京市はほぼ壊滅してるの・・・EVAを使わずにやると・・・五十年、いえもっとかかるかも知れないわね・・・」

「・・・そんなに・・・」

アスカが驚いたような顔になる

「・・・分かったわ。ママ・・・あたし、やるわ!!」

「・・・ありがとう・・・アスカちゃん」

そう言ってキョウコさんはアスカを抱きしめた

「・・・言ってることは同じなのに・・・」

葛城が不服そうな顔をしている

「そりゃそうだ・・・」

葛城とキョウコさんとの違い−それは葛城は勢いで攻めていったのに対し、キョウコさんは一度アスカを冷静にさせ、事の大きさを再認識させたことにある・・・と思う

まあ、あと強いて挙げるならば・・・母と他人の違いだろうな・・・

さてと・・・俺は葛城に近づいた

「・・・」

声をかけようとして俺は躊躇した・・・何でかは分からない・・・ただ・・・嫌な予感がしただけだ・・・

俺は首を横に振る。聞かなきゃ何も始まらない・・・コレもそう言う気がしただけだ・・・

「葛城」

「あれ?加持。いつの間に?」

俺は意を決して葛城に声をかけた

「なに?」

「・・・シンジ君はどこに行った?」

一瞬、発令所の人の動きが止まったような気がした・・・

だが、それは一瞬の事だった。もしかしたら気のせいかも知れない

ただ・・・葛城はぼ〜っとして・・・何か考えているようだった

「葛城?」

葛城は何の反応も示さない

「葛城!!」

「はっ!・・・加持君?」

葛城はどうにかこっちに意識を向けてくれた

「一体、どうしたんだ?まったく動かなくなるから驚いたぞ」

「ん・・・大丈夫・・・」

「そうか・・・話を戻すが・・・シンジ君はどこに行った?」

俺は改めて聞いた

「・・・ねえ・・・シンジ君って・・・誰?」

「!!!!!」

「・・・そんな人・・・いないわよ・・・」

「・・・いや、何でもない・・・俺の気のせいだったようだ・・・気にしないでくれ」

葛城はシンジ君の事を知らないと言った・・・だが・・・シンジ君の名前を出した瞬間、葛城が何か考え出したのも事実だ

何かある−俺はそう思った

「・・・あんた達・・・何してるの?」

葛城がそう言った。見ると、アスカ、レイちゃん、カヲル君、りっちゃんもさっきの葛城の時と同様に何かを考えているようだった

「アスカちゃん?レイちゃん?カヲル君?」

「リツコ!!」

チルドレンをキョウコさんが、りっちゃんを葛城が意識を現実に戻した

「「「「・・・」」」」

四人ともまだぼ〜っとしている

「大丈夫?」

キョウコさんが声をかける

「・・・問題ありません」

「・・・大丈夫です」

「・・・大丈夫よ」

チルドレンがそれぞれ返事を返した

「リツコ・・・大丈夫?」

「・・・ええ・・・」

りっちゃんも完璧に正気に戻ったようだ

「しかし・・・やはりシンジ君には何かあるようだな」

単にシンジ君を消したり、または死んだりしたならこんな反応は返ってこないだろう

「あり得るとしたら・・・」

俺は色々な可能性から、仮設を導き出す

「・・・記憶操作・・・かな?」

それにしたって・・・厳しいものがある。ネルフの全員の記憶操作するには、かなり大変な作業になるだろう・・・。第一、シンジ君の記憶を消すメリットがない

とりあえず・・・状況を整理すると・・・

俺が何故か生きていて・・・

キョウコさんが生きていて・・・

ユイさんが生きていて・・・

綾波レイが碇レイになっていて・・・

碇カヲルという人物がいて・・・

ゼーレが滅んでいて・・・

そのゼーレは昨日攻めてきたことになっていて・・・

・・・シンジ君がいないこと・・・

改めて状況を整理しても・・・何も分からない

「・・・シンジ君が・・・キーポイントだと思うんだが・・・」

そう・・・おそらくシンジ君がキーポイントだろう・・・だが・・・俺には分からない

「ほらほら!さっさとEVAに搭乗してちょうだい」

声の方を向くと、葛城がチルドレン達をせかしているところだった

チルドレン達は更衣室に向かった

俺は、さっきのことを考えていたが・・・やはり答えは出なかった・・・

 

 

 

俺が出口の無い迷路のような思考に陥っていると・・・いつの間にかチルドレン達はエヴァに搭乗していた。今から起動するようだ

俺はこの時夢にも思わなかった・・・この謎を解く、事故がこの時起こるとは・・・


後書き

ども!シモンです

たった一人の男とは加持のことだったんですね。何故加持なのかは、また書くと思います

これを琥珀さんに送る前に、原文みたいなのを書いたんですが・・・こうして直しながら書いていくと全然違う風になっています

さて・・・事故とは何でしょうね?


琥珀のウニウニこめんと

えええっ!?

なになに?事故ってなーに?

スッゴイ気になるのですけど(汗)

さて、加持さんがたった一人の男だったのですねぇ・・・・・・

うーん、加持さんの一人称を読むのは初めてだから、新鮮です。

シモンさん、カヲル君を出してくれてありがとう(感涙)

あああ、また関係が無いところに関心が(笑)

さて、この続きはしばらく後になるということですが、お互い学生はツライですね。

テストがんばってください。

でも、できるだけはやく書いてもらうために、催促しておきましょう。

シモンさん、続きをお待ちしております(はぁと)


モドル   ツヅク