あの子達−チルドレンはエヴァEVAに搭乗している

その表情は冴えない・・・

絶対にシンジ君に何かある・・・

俺は再びそう再認識した


心の隙間                                                        

第二話 Who are you?


「これより、EVAの起動をします」

りっちゃんがそう言ってEVAの起動プロセスが始まる

オペレーター達は次々に何か言ってるんだが・・・俺には分からない。まあ、そういう技術的なことは知ろうとは思わないさ

「いつもより低いわね・・・」

「・・・何かあったんでしょうか?」

りっちゃんとマヤちゃんの会話が聞こえる。どうやらシンクロ率がいつもに比べ低いようだ

俺はスクリーンに出ている、チルドレンの姿を見る。一見、目をつぶって集中しているようだが・・・

・・・もしかしたら・・・俺がシンジ君のことを言ったせいか?

 

 

私はシンジという名に懐かしさ・・・切なさ・・・愛しさを憶えた・・・

何故?私はシンジという人を知らない

けど・・・知っているような気がする

誰?誰なの?シンジって?

誰?

誰?

シンジ・・・シンジ・・・

一体誰なの?

私の知っている人?

・・・私が知っているので・・・男の子、または男の人は・・・

お兄ちゃん、鈴原君、相田君、加持さん、お父さん、冬月副指令、青葉さん、日向さん・・・

他にも色々思いつくのだけど・・・やっぱりシンジって言う人は知らない

いや・・・思い出せないだけかもしれない・・・

シンジ?・・・誰?・・・一体誰なの?

・・・いつしか私は・・・周りの事に気が配れぬようになっていた

思考がシンジに全部向かっていたのだ

 

 

僕はシンジという名に聞き覚えがあった

シンジ・・・何故か感覚的に繊細な印象がある

何故だろう?シンジという名前だからといって、繊細な人とは限らない

大雑把な人もいるだろう

だが・・・やはり繊細な印象が頭を焼き付けて離れない

どうしてだろう?

僕はシンジを知っているのか?

シンジ?・・・・シンジ?・・・・

・・・まいったな・・・全然シンクロに集中できない・・・

まあいいか・・・使徒がいるわけじゃないし・・・

使徒・・・僕はそいつを倒してきた

妹のレイ・・・同僚のアスカちゃんを守るために・・・

・・・本当に・・・僕は使徒を倒したのだろうか?

・・・レイ・・・妹?・・・そんな気が全然しなくなってきた・・・

どうしてだ?何故違和感を憶える?

・・・加持さんがシンジという名を葛城さんに問い掛けたときからだ・・・

その時から違和感がある

・・・全てはシンジか・・・

シンジ・・・一体何者なんだろう?

・・・僕はその人を知っているのか?

 

 

私はシンジという名に苛立ち、優しさ、憎悪、慈愛など・・・さまざまな正反対の感情を憶えた

この・・・矛盾した感情・・・気持ち悪い・・・

気持ち悪い?・・・最近この言葉、使ったかしら?・・・前にも、それもごく最近使ったような気がする・・・

・・・デジャブ?・・・多分そうでしょうね・・・

今はシンジのことよ・・・誰よ?シンジって・・・

記憶に無い・・・と思う

はっきりしない・・・聞いたことありそうで・・・聞いたことが無い・・・

・・・一番いらいらする・・・

あ〜もう!全部、シンジってやつが悪いのよ!こうなったら意地でもシンジってやつのことを思い出してやる!

・・・思い出す?・・・私は知っているの?シンジのことを・・・

第三新東京市の瓦礫の撤去作業は後回し!シンジのことを・・・突き止めてやる!

シンジ・・・シンジ・・・

シンジ・・・誰なの?

シンジ・・・

 

 

 

「アスカ?レイ?カヲル君?・・・ダメね・・・聞こえてないみたい・・・」

りっちゃんはさっきからああしてずっと呼びかけている。それにもかかわらず、チルドレン達は応答無し

「・・・ったくもう・・・シンクロ率が低い理由を聞こうと思ったのに・・・」

りっちゃんがそうぼやいたとき・・・

けたたましい警報が鳴った!

「何事!」

すぐにキョウコさんがオペレーターに聞く

「まさかまた使徒でも来たんじゃないでしょうね?」

「違います!これは・・・EVAからチルドレンへの精神汚染です!」

「何ですって!!」

「アスカ!レイ!カヲル君!応答して!」

オペレーターの日向君の報告に葛城は驚き、キョウコさんはチルドレン達に呼びかける

「シンクロ、強制カット!!」

「ダメです!信号、受信されません!」

りっちゃんが指示を出すがそれも意味が無かった

「くっ・・・どいて!」

りっちゃんは自分で原因、そして解決法を探すつもりだ

だが・・・俺は気になっていることがある

「・・・なんでアスカ達はあんなに落ち着いているんだ?」

「えっ?・・・・本当ね・・・」

俺の言葉に葛城が反応する

チルドレン達は苦痛の表情を浮かべるでもない、悲鳴を上げるでもない、ましてや溶けるなんてこともなさそうだ

「りっちゃん・・・精神汚染ってあんなに落ち着いていられるのか?」

「・・・普通は落ち着いてはいられないはず・・・」

りっちゃんは少し考えると何かのデータのようなものを正面の大きいモニターじゃなく、自分の目の前にあるモニターに表示させた

「・・・これは・・・」

「どうしたの?」

「・・・精神汚染とはまた違うようなの・・・」

「じゃ何なのよ?」

「・・・分からないわ・・・」

「分からないって・・・」

「データ的に見て今までの精神汚染とは微妙に違うわ。分かっているのはそれだけ」

「・・・・・」

りっちゃんと葛城はそこで話しを打ち切った

りっちゃんは解決法を探すために色々なデータを引き出している

葛城は彼らに呼びかけるようだ

しかし・・・精神汚染じゃない何か・・・

・・・いったい何があったんだろうか・・・

 

 

私は意識をシンジという人に対してずっと考えていた

その時だ・・・私の頭の中に色々なイメージが流れてきたのは・・・

・・・夜・・・月・・・まだ改装前の零号機・・・すこし溶けている・・・

傍らには初号機・・・

場面が変わった

エントリープラグだ・・・私が横たわっている・・・

この情景は・・・八島作戦で・・・そう・・・確かこの後、お兄ちゃんがプラグをあけて私を助けてくれるの・・・

あっ・・・エントリープラグのハッチが開いた・・・外からお兄ちゃんが入ってくる・・・・?

お兄ちゃんじゃない・・・お兄ちゃんは銀髪なのに・・・この人は黒髪・・・

顔は何故かぼやけてて見えなかった・・・

また・・・場面が変わった

今度はどこかの山の中腹・・・かな?

アスカと私と後一人・・・あの黒髪の人だ・・・が寝転がっている・・・

「人は闇を恐れ、火を使い、闇を削って生きてきたわ・・・」

「てっつがく〜」

この会話・・・どこかで・・・

そうだ・・・第九使徒が来て・・・あの時はネルフが停電して・・・大変だった・・・

けど・・・この時、こんな黒髪の人はいなかった・・・誰?あなた・・・?

また場面が変わった・・・

あれは・・・第十七使徒?

あれは・・・お兄ちゃんが殲滅したはず・・・

あ・・・零号機が侵食されてる・・・

私は・・・エントリープラグの中だ・・・

「ダメ・・・わたしがいなくなったらATフィールドが消えてしまう。だから、ダメ」

何?この言葉・・・私はこんなこと言った覚えない・・・

そう思ってると・・・零号機は爆発した・・・

何故?零号機が自爆?これは何なの?

・・・場面が変わった・・・今度は・・・暗くて・・・ガラス張りの何かに囲まれてたところだ

赤木博士に葛城三佐に・・・後一人・・・黒髪の人・・・

いきなり周りが明るくなった。ガラス張りの何かは水槽のようなものだった

そして・・・その中には・・・私がいっぱいいる・・・どうして?・・・私は一人のはずよ・・・

そこで私の中に流れてきたイメージは消えた

そうしたら私を呼ぶ声が聞こえた

 

 

シンジという名についてずっと考えている

そしたら・・・僕の中に何かが流れ込んできたんだ

どこだ?ここは?・・・湖?

僕は石造みたいな・・・何かの上に座って、そして歌を口ずさんでいる

そばに誰かいる・・・黒髪?・・・顔は・・・白みがかってて見えない。服から男の子ということは分かった

僕と・・・話した男の子?・・・トウジ君やケンスケ君かな?・・・でも違う気がする・・・

「歌は良いねえ」

僕が何かをしゃべった

「歌は心を癒してくれる。リリンの生んだ文化の極みだよ。そう思わないかい?・・・・・・君」

どうやらその男の子のほうに話しているようだ。名前は何故か聞こえなかった

彼はいったい誰なんだ?僕はこんな人とかかわった憶えは・・・無い

無い・・・はずなんだけど・・・・

場面が変わった

ここは・・・ネルフのお風呂?・・・僕とさっきの彼が一緒にお風呂につかっている

「一時的接触を極端に避けるね、君は。怖いのかい?人と触れ合うのが」

・・・もう、僕は僕が言った覚えの無い 事を言っても驚かなかった

また、場面が変わった

ネルフの宿舎だ。僕がベッドに寝てて、彼が地面に布団を敷いて寝ている

「君は好意に値するね?」

「・・・?」

彼は口を動かしているところを見ると、何かを言ったようだ。だが、何も聞こえなかった

「好きってことさ」

・・・好き?・・・何かを思い出せそうだった・・・しかし・・・まだ思い出せない・・・

また場面が変わった・・・今度はいったいどこだ?・・・穴を落ちている・・・

穴を落ちているのは僕と弐号機と初号機だ・・・もちろん、僕にはそんな記憶は無い

初号機と弐号機が戦っている・・・あ、初号機のナイフがはじかれて僕に来た

その時、僕の前に六角形の黄金の壁が現れた

A.Tフィールド?僕が使ったのか?・・・僕にはそんなもの使えるはずが無い・・・

そんなことを考えているうちに・・・僕は十字架にはりつけられた、リリスの前に来た・・・ここはヘブンズドアーの中だったのか・・・

「違う!これはリリス!・・・そうか、そう言うことかリリン!」

僕が何か言っている・・・僕は地下にあるのがリリスって知っていたはずだ・・・

初号機が出てきた・・・乗っているのはさっきの彼のようだ

僕は初号機の手につかまれてしまった

僕と彼が何かを話している・・・そしてしばらくの後に・・・

僕は握りつぶされた・・・

何だ?これは?僕は死んだのか?けど、僕は生きている・・・どう言うことだ?

考えに没頭していると・・・いつのまにか僕の中に流れ込んでくるものは無くなっていた

それで・・・僕を呼ぶ声が聞こえた

 

 

シンジ・・・いったい誰なのよ!

・・・何?・・・私の頭に・・何かが流れ込んでくる・・・

ここは・・・オーバー・ザ・レインボー?そういや、ここで初めてカヲルと会ったのよね・・・

ヘリから鈴原と相田が降りてきて、次にカヲルが・・・

あれ?カヲルじゃない・・・顔は見えないけど・・・カヲルじゃない・・・

あんた・・・誰なのよ?

場面が変わった・・・ここは・・・どこかな?・・・私の部屋っぽくもあり・・・カヲル達の部屋っぽくもある・・・マンションの部屋ってどこも同じ構造だからわかんないのよね

あ・・・リビングに何人かの人がいる・・・

ミサト・・・レイ・・・鈴原・・・相田・・・ヒカリ・・・私と・・・後一人・・・誰かいる・・・

その一人は誰か分からない・・・知っているような気はするんだけど・・・

あ・・・このダンスマシーンは・・・これってカヲルとユニゾンしたときのこと?・・・けど、カヲルはいないし・・・

私が踊り始める場所についた。もう一人・・・顔もわからない誰かも場所についた

私とその人が踊っている・・・こんな記憶は私には無い・・・

あ、私が外に飛び出していった・・・顔もわからない誰かも外に飛び出した・・・私を追いかけていったのかな?

場面が変わって・・・ここは公園?

「傷つけられたプライドは十倍にして返すのよ!」

私の言葉・・・こんな言葉を言った覚えもこんな所にも来た覚えも無い・・・

また、場面が変わった・・・今度は・・・溶岩の中?・・・第八使徒を捕獲するときかしら?

そう・・・この時は本当にやばかった・・・使徒の最後の攻撃でケーブルが切られて・・・沈んでいくのをカヲルが助けてくれたのよね

ほら・・・ケーブルが切られて・・・沈んでいくところを初号機が手をつかんでくれる・・・

確か・・・この時通信が入ったような気がするわね・・・

あ、入った・・・画面に映るのはカヲル・・・じゃない!

黒髪の・・・さっき私とユニゾンしてたやつだ!

誰よ?あんた?

また場面が変わって・・・今度は私は白い何かと戦っていた

白い・・・これはEVA?・・・もちろん私にはそんな記憶は無い

私は白いEVAをいったいずつ倒していく

全部で九体・・・全て倒し終わった

だが・・・次の瞬間に白いEVAは立ちあがってきた・・・

何なのよ!?こいつら!?

どれだけ戦っても再生してくるEVA・・・いつしか弐号機は内部電源が切れたのか

動かなくなった

そんな弐号機に白いEVAは空中に舞い上がり・・・武器を投げてきた

その武器は槍と化し、次々に弐号機に突き刺さっていく

エントリープラグのある辺りにも突き刺さっていた・・これじゃあ、絶対に死んでいる・・・

私は死んだの?・・・でも私は生きている・・・これも現実・・・どっちなの?

真実はどっち?

・・・いつのまにか私の頭に流れ込んでくるものは無くなっていた・・・

そして・・私を呼ぶ声が聞こえた

 

 

「アスカ!レイ!カヲル君!」

葛城が何回目かになるか分からない、呼びかけをする。りっちゃんは相変わらず原因と解決策を探している

しかし・・・本当に彼らに何があったのだろうか?

考えていると・・・チルドレンから応答があった

「・・・何よ・・ミサト・・・」

「・・・葛城三佐・・・」

「・・・そんなに大きな声を出さなくても聞こえてますよ」

「アスカ!レイ!カヲル君!大丈夫!?」

葛城が心配そうな表情で聞いている

「大丈夫だって・・・何?なんかおかしかった?」

「あなた達、ずっと呼びかけているのに、何も答えてくれなかったじゃない・・・しまいにはEVAからの精神汚染とかが報告されるし・・・」

葛城の報告にチルドレン達はそれぞれの顔を見た

「・・・・・・もしかして・・レイとカヲルもなの?」

「・・・アスカもなのね・・・」

「これは・・・調べてもらったほうが良いのかもしれないね・・・」

・・・・何かがあったのだろうか?・・・彼等はいきなりわけの分からない事を話し始めた

「ミサト!ママ!今日はもう私達、降りるわよ!」

「え、ちょ、ちょっとアスカ!」

葛城のあせった声に反応せず、ディスプレイからアスカの顔が消えた。レイちゃんもカヲル君もだ。どうやらエントリープラグをイジェクトしたらしい

「ったくもう・・・」

「いいじゃないの。EVAに何か異常があったんだったら、すぐに降りたのは良い判断だわ」

「・・・それもそうか・・・」

俺もりっちゃんと同意見だ。溶けたり、廃人になったり・・・EVAには危険が付き物なのだ。だから異常があるとよっぽどの事態でもない、限りEVAには乗せない

「・・・さてと・・・何があったのか聞きに行くか・・・」

俺がシンジ君のことを葛城に聞いてからおかしくなったんだと思う・・・ならばとりあえずアスカ達に話しを聞くのが真実に一番早道だと思ったからだ

俺はチルドレン達の更衣室前で待つことにした・・・

そして俺は・・・真実に一歩近づくことになった・・・


後書き

まずは琥珀さん、すいません

カヲル君をちょっと活躍させるという話しでしたが、無理でした。当初の予定より書いているうちにかなり違ったためです

本当にごめんなさい<(_ _)>

終わり方、ちょっと中途半端かもしれない・・・こっちのことも謝罪しときます

すいませんでした<(_ _)>

あまり話が進んでないな〜。次はもっと進めようと努力します


琥珀のコメント

うふふふふふふ・・・・・・いいのですよ、シモンさん。

私は、『カヲル君』が出ていればいいのです♪

活躍は、次に期待しましょう☆

あ〜ん、とってもいい感じ(はぁと)

さあ、さあ、みんな気づくんだ〜〜〜

これはやはり、みんながシンジ君に侵食されているということなのね。

アスカちゃんなんか、『こうなったら意地でもシンジってやつのことを思い出してやる!』

なんて考えてるしぃ〜

カヲル君!思い出すんだ!!

『シンジ』は君がはじめて好きになったヒトじゃないかぁ〜(核爆)

どこまでいってもカヲル君びいきな私・・・・・・


モドル   ツヅク