あの時をもう一度

 

第一話 「使徒襲来(仮)」


 

 

 

「本日12:30東海地方を中心とした関東中部全域に特別非常事態宣言が発令されました。

住民の方々はすみやかに指定のシェルターへ避難してください。

くりかえし……………」

 

やっと来れた、やっと、どれだけ時間が過ぎて行ったのか僕にはもうわからない。

ただ、覚えてるのは「長かった」それだけだ。

―――シンジ君、どうしたんだい。ぼーっとして

―――碇君、どうしたの。

「ちょっと懐かしいなって思っただけだよ、カヲル君、レイ」

いつから綾波のこと「レイ」と呼ぶようになったのかな、遠い昔のことだから忘れたよ。

今ではレイも普通に話す事が出来る。

時間は無駄にあったからね、カヲル君と一緒にいろいろ教えたよ。

全ての人の意識…記憶が僕にはあるからそんなにたいしたことじゃなかったけど。

さっきから僕の上空を戦闘機が飛んでいる………

「うるさい」

―――ど、どうしたのシンジ君、僕が何かしたかい

―――も、もしかして、私何かした?

「あ、ごめん、さっきから変なのがうるさいんだよ、どうしたんだろう

………………………………あ! そういえば使徒来るの今日だった」

―――シ、シンジ君、わ、忘れてたのかい

―――い、碇君…

「は、はは、ここに着いたことが嬉しくて…忘れてたよ

ということは、ミサトさんが迎えに来てくれるのか………わ!」

一瞬大地がゆれた。

僕はそのせいで倒れそうになった。

「おっと、危ない危ない」

そう言いながら僕はそれを起こした張本人を探すべく辺りを見まわした。

さすがにあの体ではすぐに見つかった。

「でかい…………第三使徒サキエルだね。なんか妙にかわいい顔してるね………???…何かこっちに飛んでくるね」

サキエルにやられたUNの戦闘機がこちらに飛んできていた。

―――シンジ君、あぶないよ

「そうだね」

僕は視線を飛んでくる戦闘機の方へと向けた。

その瞬間UNの戦闘機の前に六角形のオレンジ色をした壁が出現した。

ATフィールド、これが僕が使徒になったときに手に入れた力の一つ

サキエルがATフィールドに興味を示したかのように僕の方へ飛んできた。

「今は君の相手をしている時間はないんだ、また後にして」

僕は後ろを向いてさっさとここから離れようと走り出した。

離れる必要はないんだけど僕のことばれたらいけないからね。

その時僕の目には前方から走ってくる一台の車があった。

その車は僕の横で止まった。そして扉を開け一人の女性が言った。

「ごめーんおまたせ」

…………誰だろう???

「早く乗って!!」

「はい」

そう言って僕はその車に乗り込んだ

―――シンジ君、葛城さんじゃないのかい?

―――碇君、その人葛城さんだわ

…ミサトさん、ああ、ミサトさんこんな顔だったかな良く覚えてないな

そういえば他の人の顔も良く思い出せないな

なんか初めて会う人みたいだ。

使徒のいる場所から離れ落ち着いた後

今、車は停車している。ここまで離れたら大丈夫とか言っている。

そしてウィンドウからミサトさんは使徒を双眼鏡で見ている。

さきほどからあからさまに知らない人を見ているような僕の様子に怪訝に思ったのか

ミサトさんが双眼鏡から目を離して、僕の方を見ながら言った。

「あなた、碇シンジ君よね?」

「はい、葛城さん」

相手にとっては初対面なので苗字で呼ぶことにしよう。

それに僕の方もなんか初対面という感じだから。

「ミサト―で良いわよ」

そう言えばこんな会話もあったようななかったような

「そうですか。じゃあそう呼びますね、ミサトさん」

「よろしい、ところで状況の割りには落ち着いてるわね」

「そうですか?」

そんな会話をしていると、なぜか戦闘機達が使徒から離れていった。

「離れていきますね。」

「ちょっと、まさかN2地雷を使うわけーー伏せて」

そういってミサトさんは僕に覆い被さった。

その直後辺りにはN2地雷による爆風に満たされた、そしてミサトさんの車もその爆風に煽られて転がって行った。

さっきと同じようにATフィールドを使えば良かったのだがミサトさんに覆い被されたために使用できなかった。

ようやくN2地雷の影響が無くなったあと

「大丈夫だった?」

とミサトさんが聞いてきた。

「く、苦しい………ぐはっ」

いまだにミサトさんに覆われていた僕

「え…あ、ごっめーん、あれシンジ君、シンジ君どうしたの大丈………」

ようやく開放された時、僕は気を失っていた。

ミサトさん首はしめないでよ………

 

 

 

 

 

ようやく気がついたとき僕の目にはジオフロントが入ってきた。

―――シンジ君大丈夫かい?

―――碇君、大丈夫だった?

二人が僕のことを気にしてくれている。

「大丈夫だよ、カヲル君、レイ」

気がつかないうちに声に出していたようだ。

当然それは隣にいたミサトさんにも聞こえたようだ、

「シンジ君、大丈夫」

「え、あ、はい」

「よかった〜。迎えに行った私が絞め殺したなんて、冗談にもならないからね」

「は、はは、そうですね。は、はは」

どうやらさっき喋っていたことは聞こえなかったようだ。

「それで、シンジ君、カヲルっていうのとレイって誰?」

すごく楽しそうな顔をしてミサトさんが聞いてきた。

ぐはっ、しっかり聞かれていたようだ。

「古い友人ですよ、ミサトさん」

その言葉にうそは無い

(なんて目をして言うの、この子はいったい何があったらこんな瞳になるの)

「ここどこなんですか、ミサトさん」

「え、ああここはジオフロント、ネルフ本部があるところ。」

「………ネルフ?」

そう言えばそんな名前だったな。

「そうよ特務機関ネルフ、国連直属の非公開組織」

「父のいる所ですか」

「お父さんの仕事知ってる?」

「はて、なんでしたっけ」

覚えていない、どうでも良いことはほとんど覚えていない。

「だはぁ」

ものすごく脱力しているミサトさん

「これから父のいるところへいくんですか?」

「そうなるわね。そうだ、お父さんからIDもらってない」

「え?あ、はい」

そう言われて僕は持っていたバッグの中を探した

しばらくして僕はそのIDとやらを見つけミサトさんに手渡した。

「これ読んどいて」

そこには「ようこそネルフ江」と書かれた冊子があった。

ミサトさんの車、ルノーはカートレインに乗ってそのネルフの本部へと向かっていた

 

 

「ありゃ、ここは何処?」

―――迷ったんだね、葛城さん

―――迷ったわね葛城さん

―――迷ったねミサトさん

たぶん本人が聞いたらショックを受けるようなことを僕らは話していた。

「ごめんね、まだなれてなくて」

「さっき、通りましたよここ、迷いましたねミサトさん」

「う、でも大丈夫システムは利用するためにあるのよ」

 

 

 

「技術局一課E計画担当の赤木リツコ博士、赤城リツコ博士

至急作戦部第一課葛城ミサト一尉までご連絡下さい」

辺りに放送が流れる。さきほど言っていたシステムを利用した結果である。

その放送を聞きながら僕らは歩いていた。

歩いている内に一つのエレベーターの前に着いた。

そのエレベーターに乗ろうとまっているとその扉がいきなり開き一人の白衣を着た女性が出てきた。

「あら、リツコ」

どうやら知り合いのようだ。

「なにやってたの葛城一尉、人でもなければ時間も無いのよ」

「ごめん」

「ふー、例の男の子ね」

「そ、マルドゥックの報告書によるサードチルドレン」

「よろしくね、わたしはネルフ技術一課E計画担当博士赤木リツコ。」

こちらを向いてその人が言った

―――これもリリンの生み出した文化なのかい

―――赤木博士、けばい

「僕は碇シンジです。赤木博士よろしくお願いします」

―――そうだ、リツコさんはこんな顔だったな、しかし、化粧濃いな

「リツコでいいわよ」

「そうですか」

「じゃあこっちに来て」

そうして僕らはリツコさんに着いていった。

 

「総員第一種戦闘配置。対地迎撃戦用意」

施設内のアナウンス

「ですって。」

「これは一大事ね。」

「で、初号機はどうなの?」

「B型装備のまま現在冷却中」

「それホントに動くの今まで一度も起動したこと無いんでしょ」

「機動確率は0.000000001%。O9システムとはよく言ったものだわ。」

「それって動かないって事?」

「あら失礼ね。0ではなくってよ。

「数字の上ではね。でも、どのみち動きませんでした。じゃもうすまされないわ。」

カートレイン人間版に乗って僕らは移動していた。

―――シンジ君これからどうするんだい

―――うーん、とりあえず使徒を倒さなきゃね

―――碇君…

―――大丈夫だよレイ、それより心の準備は出来てる?

―――ええ、出来てるわ。いつでも良い

―――カヲル君はしばらく待っててね。

―――いいよ、シンジ君、君と一緒にいられるならね

―――タブリス、碇君に手を出したら許さないわよ。

―――綾波レイ、僕はいくら手を出そうにも手がないからね〜安心していいよ

相変わらずカヲル君はレイの事を綾波レイとフルネームで呼ぶ、そしてレイはカヲル君のことをタブリスと呼ぶ

これはもう直らない。僕はあきらめている

僕が心の中で会話しているといつのまにか舟のようなものに乗っていた。

それが目的地に着いたのか舟からおろされて

一つの部屋に入って行った。

「暗いですね」

そう僕が言った時大きな音と共に辺りに明かりがついた。

そして僕の目の前には巨大な顔があった。

―――懐かしいね、初号機。そしてもう一人の母さん

「これは、人の作り出した究極の汎用決戦兵器、人造人間エヴァンゲリオンその初号機」

「そうですか」

その時僕のいるところの上の方から声がかかった。

「ひさしぶりだな、シンジ」

髭ズラの親父が一人そこに立っていた。

―――誰だ?あの髭親父

―――碇君、アレは碇司令、あなたの父親

レイに言われて初めて気がついた

「ああ、父さんか…ひさしぶり」

それだけの会話で満足したかのように碇ゲンドウは言う

「出撃」

「出撃!!零号機は凍結中でしょ…まさか初号機を使うつもりなの」

「他に道はないわ」

「ちょっと、レイはまだ動かせないでしょ、パイロットがいないわよ」

「さっき届いたわ」

「まじなの」

「碇シンジ君、あなたが乗るのよ」

「ええ、いいですよ」

「でも、綾波レイでさえエヴァとシンクロするのに7ヶ月もかかったのでしょう。

今きたばかりのこの子にはとても無理よ…って今乗るって言った、シンジ君」

「はい、そうです、一つ条件がありますけどね。父さん」

「なんだ、乗るなら早くしろ、でなければ帰れ」

―――シンジ君、すごいお父さんだね

―――碇君かわいそう

「帰ったら困るのは父さんじゃないか、まあ良いけど、あとで話があるんだけどいいかな。」

「ああ、解った。出撃」

「じゃ、後でね」

「シンジ君、こっちよ。」

リツコさんが手招きしている。

それに従って行こうとした時ミサトさんが声を掛けてきた。

「シンジ君、本当にいいの。嫌ならやめても良いのよ、乗らないといっても誰も責めないわ」

「はい、それではまた」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今、僕はエントリープラグの中にいる。

―――レイ、行っておいで。また後で会おうね

―――また後で

そう言ってレイの意識は僕の中から離れていった。

あるものを見つけるために

―――行ってしまったね、彼女

―――そうだね、でもまた後で会えるよ

 

 

 

続く


ちょっと後書き

 

この話を書いていて思ったんですが。

原作のあるものを一人称で書くのは難しいため

次回から三人称で書くことにしようと思います。


琥珀のコメント

う〜ん・・・・・・

なんだかコメディタッチになってきたような感じですね。

普通の顔して妙なことを考えているシンジ君がおもしろい(笑)

今回レイのほうは離れてしまいました。

次回は再会編となるのでしょうか?

次回を楽しみにしています♪


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