2012.へ 美術館ある記2013

2013.12

中央線美術散歩  2013年12月23日

三鷹市民ギャラリー現代版画コレクション展。200円
草間さんや横尾さんの版画も前期出てたんですよね。
残念。だがしかし、
瑛九氏の銅版画エッチング・アクアチントの数々、
靉嘔氏の虹のように色がならぶシルクスクリーンで
アンリ・ルソーをモチーフにしたいたり、とてもおもしろい。
残念、写真はない。他にも写真がない画題のものもあるけど、
それのせられないのは、わかる。(。-∀-)
来年はローランサンやるみたい。

hp

、 三鷹美術ギャラリーの人に場所聞いて、太宰治文学サロンへ。(無料)
生原稿もあるよ。銀座のバー・ルパンのカウンター、スツールみたいに作ってある。
小さなスペースだが太宰気分にひたれます。

hp

ちょうどいい散歩道になっているので吉祥寺まで歩く。

途中山本有三記念館。庭園無料。
建物もいい感じ。

hp

ジブリ美術館の前を通って吉祥寺美術館 森山大道モノクローム展100円
雑踏の風景、ふつうのものが切り取り方で違って見える。
おもしろいなぁ。

hp

ずいぶん歩いた歩いた。西国分寺のホームの花○うどんにはじめて行ってみた。
ホーム店って、つゆもセルフ入れ、そしてうどん並と大だけで小はなしなんですね。
揚げたてかき揚げうどん320円≫本日の入場料合計(´∀`*)

府中市美術館の O JUN展と来年春の江戸絵画展。  2013年12月21日

o jun氏、しっかりした写生力と大胆な色づけ、デザイン、つぼでした。
常設展、人とからだというタイトルで大好きな川上澄生の木版画あり、
ミニ特集の小部屋は松本しゅん介のペン画、河野通勢の銅版画。
3月からの企画展江戸絵画の19世紀のポスターがはやくも。
国芳。其一、北斎、幕末から明治初期の高橋由一、小林清親までを展望するというのがおもしろい。
この企画展までで年間パスポートの期限が切れるんだけど、何回もリピートしそうですよ。

hp


写真であそぶ 植田正治とアンリ・ラルティーグ(写真美術館)  2013年12月18日

hp表紙のパパとママとこどもたち。
舞台設定、ポーズ、すべて作りこんでいながら、
こどもの手がぶれた一枚を選ぶところがなんとも言えなくよいのです。
土門拳と対極のように語られることが多いですが、
くわえタバコに半ズボンで首からかけたカメラを煙たそうに操作する
土門拳と石津良介(謙介兄)を砂丘で写した写真がすごくいい感じでした。
残念ながら絵葉書にはなってなかったけど。
写真の楽しさを感じられる展示でした。
いいなぁ、植田正治。

hp


古径と土牛(山種美術館)  2013年12月17日

いい線と悪い線はどうちがうか。それは添った線か、ということ。
いい輪郭線は内側を感じさせる。だから平面も立体も線であらわすことができる。
みたいな。小林古径

兄弟子古径を師とも仰いだ奥村土牛。
古径の絵をよそで見つけて自分の家に掛けてあるのを、
なにも知らなかった古径が見てびっくり、みたいなエピソードも。
ふたりの同じ画題を描いた絵が並べられると、
古径の線と、土牛の面の対比が非常におもしろい。
猫、牛、まいこはん、・・・
日本画でありながら、セザンヌを敬愛して、油絵の具で描いたものもあり、
それは土牛にも大きな影響を与えている。
土牛の姫路城の絵とか、いろんなところからの視点で描かれているようで、
セザンヌの転がりそうなりんごを思わせる。
会場で古径がアトリエのある馬込に住居を移した、というのを見たのも、
その後恵比須から五反田経由で西馬込の
川瀬巴水に行ったひきがねだったりします。

hp


2013.11

狩野探幽([新]日曜美術館)と江戸の狩野派展  2013年11月27日

図書館の視聴覚コーナーで特集していた新日曜美術館のDVD。
ゲストの日本画家の中島千波先生の髪が黒い。
司会がはなさん。
出光美術館の江戸の狩野派展と重なる部分が多くて、たいへんおもしろかったです。
信長の肖像画を描いたのは狩野永徳、
息子の光信が秀吉の肖像画を書いたときは何枚かの候補の中から
秀吉本人が選んだ一枚が今にいたる、というエピソードが秀吉との関係の深さを物語る。
そして、徳川の時代。幕府の御用絵師として江戸へ行ったのは、
光信ではなく弟の孝信の子供である16歳の探幽と弟たち。
というあたりの事情も、権力者と狩野派の関係という面からなかなかに興味深い。
信長の死後に秀吉に信長公の図をしょぼく見えるように書き直させられて苦悩する永徳、
というエピソードが小説「等伯」に出てきたのを思い出したり。
江戸鍛冶橋、お城と東京駅の間辺りに1000坪の屋敷をかまえて、
22歳で京都二条城の障壁画プロジェクトの責任者に。
それまでの障壁画の常識を塗り替えて、天井までの空間をフルに使って
上部に余白を残す様式を生み出し、以降はそれが新しい常識に。
名古屋城のふすまでは、大きな一枚の中に小さな鳥が一羽だけ。
しかし、そのとなりの雪をかぶった梅の枝とならべてみると絶妙な距離感で空間を作っている。
余白を生かす。空間を作る。バックはあえて書き込まない。
偉大な祖父永徳をリスペクトしながら新しい様式を研究し続けた探幽の面目躍如といったところでしょうか。
50代を過ぎてからも権威になったじぶんのところに鑑定に持ち込まれた絵を模写して研究したり、
動物の精密な写生をしていると思ったら猫好きの友人の肖像は猫を抱いた姿に描いたり、
常に新しいことに挑戦する姿勢とユーモア感覚。
今回出光美術館で見た探幽と弟尚信や安信の作品で感じたことが、
作品を通してわかりやすく解説されていて、非常にタイムリーでありました。探幽very much!

東博の京都展にも、もっと早く行っておくんだった。

出光美術館


三井記念美術館、国宝志野茶碗  2013年11月08日

三の丸尚蔵館から庭園を散策。
各県の木や花のもみじはまだ青々として紅葉はまだだいぶ先のようでした。
近代美術館と工芸館の所蔵品展が充実していて、
また帰りに江戸城を通った時に本丸の芝生のところで迷ってやけに歩数を稼いでしまい、
(おかげで花の写真が撮れたりしてよかったんですけどね。さくらかなぁ)
また尚蔵館入って若冲見て、東京駅の北口の通路を通って日本橋方面へ。
はな丸うどんで腹ごしらえしてから三越の前を通って三井記念美術館へ。
これだけ前おきが長いとさすがについた時はもう夕方でした。
三井記念美術館桃山時代の国宝の志野茶碗。そして、志野志野志野の志野の部屋。
織部織部織部の織部の部屋。まだ未熟者につき、
国宝や重文の志野やできあがってからわざと歪ませたくつ茶碗の価値がよくわからないので、
長石が白く発色する志野、オニイタを使った渋いねずみ志野など技法を勉強するつもりでゆっくりと見ていきました。
濃茶、薄茶、一日をかけて行われる本格的なお手前や三井家の成り立ちなどのビデオを
先に見てから展示室に入ったのでなるほどこれがあれでああなのか、とちょっとわかったのは非常によかったです。
そのビデオの中でも紹介されていた織田有楽の作ったと言われる茶室、如庵が再現されてました。
入り口が50cmぐらいしかないから、天下人の秀吉だろうが頭を下げて入ることになる。
おおっ、これはビデオもそうだけどへうげものを見ておいてよかった。
その後三越で大中央区展。玉ひでの親子丼が出てたけど、売り切れでした。さすが人気店。

hp


伊藤若冲 動植綵絵(群鶏図,紅葉小禽図)  2013年11月05日

群鶏図,紅葉小禽図。
三の丸尚蔵館の開館20周年記念展で展示されています。
以前見たときよりもだいぶゆったりとゆっくりと見ることができました。
鶏の目線を一羽一羽追っていくと絵の中を一周して、
いつのまにかじぶんが首をのばして
にわとりのポーズに動いていることに気がつくこれが若冲マジックか。いやいやいや。 墨絵の濃淡で描いた鶏もだいすきなんですが、
あらためて絵の具で表現した白と黒に鮮やかな色が織り成す若冲ワールドに浸りました。やはりすごい。

もうすぐ立冬とはいえ、庭園のもみじはまだまだ緑ですが、
紅葉小禽図はすっかり見頃です。
11月24日まで見られるようです。その頃は外の紅葉もだいぶすすんでいることでしょう。

東博の時の企画展にリンクしときます。2009年。




13年10月

石田あゆ美展?  2013年10月31日

たましん美術館の帰りによる国立のギャラリーにて。
最初検索した時はブルーライト横浜の人が出ちゃいました。
油彩の感じと線だけのデッサンのシンプルな感じのギャップがすごくびびっときて、立ち寄りました。
hpは昨年のアーカイブスより。

art space 88


版画家・萩原英雄の富士見てきました。  2013年10月29日

吉祥寺の高校説明会の前にちょっと早く出て吉祥寺美術館で
この間の日曜美術館でやっていた萩原英雄さんの版画が見たくなって。
ここ、銅版画の浜口陽三さんと木版画の萩原さんの常設室があるんですよね。
常設室にあるのは抽象版画なのですが。
ところが、ショップをのぞいてみたら富士の木版画、見つけました。
残照の富士。青空に雲のたなびく富士。
ちゃんと自筆のサインと摺りナンバー付。
来年1月には企画展で萩原英雄展があります。その時には中でもっとたくさん見られることでしょう。

日曜美術館


ミケランジェロ先生のデッサン教室  2013年10月13日

前日までの暑さが嘘のような、というほどではないけど若干涼しい上野へと。
公園口の道路を渡るあたりからすっかり銀杏の香りが満開です。

嗅んがえる、人にみえたる ロダンかな(ダジャレル人)

銀杏を取ってくれろと泣く子かな(食べたいんじゃなくて踏んじゃったみたいな人)

ミケランジェロ展。西洋美術館の入り口にはチケット前の長い列。
しかし、入場はすいすいでした。

最後の審判のための素描。
左手をのばして攻撃を避けようとしながら右手を曲げて顔を守る動作の下書きとか。
もう一枚のスケッチに手だけを練習。
のばした左腕の手の指の曲がり、曲げた右腕ののびた指。
とくに小指の微妙な曲がりがやっぱりね。天才ですね。
ルーヴル展でディアナのいたヒロインポジション(勝手に命名)にはクレオパトラのデッサン。
やはり裏に回って見られてこちらはかなりくたびれた女に描かれtいるように見えた。
レダの肖像は、はじめ男性モデルをデッサンして、横にツケマツゲルした素描。
ラブりん描いて後からオネエキャラ、みたいなことですか。イヤイヤイヤ。

ミケランジェロに「宛てた」手紙とか、ミケランジェロ「前の」礼拝堂、とか、
「後の時代の」画家による絵、とかまあつっこみながら見てましたが、
デッサン見たら見るべきほどのものは見つ、という気になっていて大満足でした。
ミケランジェロの生涯や、システィーナ礼拝堂を日本のテレビではじめて4k画質で撮影したビデオ上映見て、
あの頃行ってよかったな、みたいな思い出話をお孫さんにされているご夫婦。
「いつか行くんだよ」と、孫の女の子に言っておられましたねー。
そうだ、バチカン行こう。のナレーションがあのBGMにのって聞こえてきそうな光景でした。
システィーナ500年祭記念だからいいんだよね。これで。

常設展、モネの間はいずこ。
なんかモネに囲まれて座らないと、ちょっともやもや感。
出口付近にルノワールのアルジェリア風の女たちがあったんで、配置が変わったということかな、
と思って聞いてみたら企画展が中心になっているので、と係りの人もすまなそうにしてました。
でも画家としてのコルビジェをたくさんは非常によかったですよ。

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版画・陶磁コレクションハイライト展  2013年10月03日

歌麿、北斎、広重の下に国芳の三枚続きのひよどり越えの図。

藤田嗣治はエッチング、ドライポイント、アクアチントの銅版画で、油絵のような乳白色。
銅版画と言えばこの作品、という長谷川潔の静物、浜口陽三のアスパラガス、駒井哲郎のエッチングが並ぶ。

そして瘋癲老人日記より、棟方志功。

海外作品はHPに写真のあるデュラーをはじめ、ジョルジュ・ルオー、ピカソ、ダリ、シャガール、
ヘンリー・ムーアの組んだ手の版画、ポール・デルヴォー、ジャスパー・ジョーンズ。
名前をあげるときりがないのでhpのリストをご覧ください、ということで。

しかしその中で、一番の収穫はベン・シャーンのワルシャワという作品を見られたこと。
以前から銅版画サークルでお世話になっているジャズ好きの方が
「きみはベン・シャーンがぜったい合っている」と言ってすすめてくれていたのですが
なかなか版画の本物を見に行けずにおりまして。それがまったく予想もしなかったところに目の前に現れた。
釘でひっかいたような線で完全に銅版画だと思ったら、シルクスクリーンの作品でした。
祈るようにコブシを組み合わせた人物の上半身。たしかに伝わってくるのものありましたよ。

これらの作品がワンフロアにずらっとかけてある。

そして、係りの人以外、お客は僕ひとり。
宣伝してないしなぁ。
それと一部を除く日曜祝日はお休みのようです。
学校だしなぁ。

武蔵野美術大学美術館にて。無料。

白梅学園のすぐ先です。

会 期|2013年9月17日(火)-11月16日(土)
※版画展示入れ替え(予定):前期9/17-10/19/後期10/21−11/16(予定)
休館日|日曜日、祝日 *9/23(月)、10/27(日)、11/4(月)は特別開館日
時 間|10:00-18:00 *土曜日、特別開館日は17:00閉館入館料|無料

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ムットーニワールド からくりシアターV  2013年09月25日

八王子に出たので八王子夢美術館へ。
夏に世田谷文学館でも見たからくり箱だが、
より大きく、動きも複雑なさまざまな人形たちが動いています。
音楽や台詞などもいっしょなのでひとつひとつ順番に見ていくかたちになります。
小さな宝石箱のふたが開いて現れた女の人がしだいに高くのぼっていき、
また下がっていってふたがしまる。そこで気がつく。人形の背丈のほうが箱よりずっと大きかったことに。
全部見る時間がなかったのでつづきを見にまたいきます。年間パスポート活用。
不思議な人形たちに会いに。デルヴォーの絵が実際に動き出した、みたいな感覚があります。
タラリラタラリラー。

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速水御舟-日本美術院の精鋭たち(山種美術館)  2013年09月18日

今回のベストポジション。
第二展示室前のソファに座ると正面に炎舞、左に大観の富士、
そして右の壁に飾られた「山種美術館」安田 靫彦書。
台風が遠ざかっていくようやく雨がやみかけたあたりで出かけたので人も少なく、
(湘南新宿ラインもまだ動いてないし、途中の九十九ラーメンも人影まばら、というぐらいで)
特にみんなが最後に回る第二展示室はほぼ貸切状態でした。
近くに寄ったり、ベンチでまったりしたりして渦巻く炎とまわりの空気感を堪能。
これはやはり、天才速水御舟の最高傑作に違いない。
ただ、それから何周か今回の展示を見て回って思ったのは、
大正14年31歳で最高傑作を作った後にさらに四十歳で夭折するまで画風を変化させて、
それがなにげなく描いたようですごい作品になっているということ。
だからあえて言おう。炎舞は最高傑作、のひとつであると。

炎舞のすぐ翌年の作品は昆虫シリーズ。

「天仙果」(いぬびわ)大正15年
青い琵琶の実とヤツデ状の葉を眺めていて、え?こんなところにせみの抜け殻が、というやられた感。夏だ。
「昆虫二題(葉陰魔手・粧蛾舞戯)」大正15年
前:最初ちょっとずれたところにいて透明感がある蜘蛛に、近づいてはじめて気がつく。その時はもう遅い。
後:炎舞の蛾たちが同心円状をぐるぐる回ってブラックホールのような赤い中心に引き込まれていく構図。
みるものは御舟が作った炎舞という完成形の、炎に引き込まれる蛾の位置に視点を持っていかれている。

本絵だけでなく、鉛筆にさっと色付けしただけのスケッチや写生帖が技量の冴えを感じる。
亡くなる年に描いた白芙蓉。これは自分的好き度は炎舞を超えている。
画室の情景。外から見ると花のところにこんもりと胡粉がもってあるようにしか見えなかったが、
外側から薄墨をたらすと滲んで胡粉のところでぴたりと止まって花が浮かび上がってきた、みたいな。
そして、未完の作品盆栽梅。中に鳥の輪郭線が墨で書いてあって、色がまだ塗っていない。
しかしうしろの展示台の同じ年に描かれた写生帳に鳥を寝かせて羽を広げて研究したあとが見える。
最後の最後まで描こうとしていたんだなと思う。(勝手に思うだけだが)

一度頂上に登る事はたいへんだけれど、そこからまた降りて新しい頂点をめざすのはもっとたいへんだ、
みたいな御舟のことばがあったけど、最後までそれを実践していたんだな、と。
御舟は岡倉天心亡きあとの再興院展4期からの出展。日本美術院の精鋭たち、という副題の通り、
展示は朦朧体を模索した時代の大観、春草、下山観山から(下山観山「朧月」
タイトルからどこに月があるのか探したが見つからないやられた感)
今村紫紅、小茂田青樹ら先輩や友人たち。片岡球子、小倉遊亀さんまでの流れをたどります。
御舟は小茂田からきみは完璧を求めすぎる、みたいな指摘をされておおいに反省。天才だけど素直。

ちなみに第二展示室の掲示を見て、炎舞が安宅コレクションからの収集作品とはじめて知りました。
海外にばら売りされてしまっていたら、今見ることもできなかったかもしれないんですよね。さすが山種美術館です。

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写真作品のつくりかた(写真美術館コレクション展)  2013年09月16日

台風が過ぎた恵比寿に行きました。
真を写すと書きますが、写った真がそのまま写真になるわけではないし、
見せ方によって印象も全くちがう。
東京都写真美術館のコレクション展だけに、アングル、焦点、光のあつかい、
暗室作業の観点別に最高の教材を使った写真授業の感の企画展でした。

アングル

林忠彦「太宰治 文士の時代」
バーの椅子に足を上げて煙草を手にしている太宰の写真。
見上げるアングル。林さんは織田作之助氏の取材でバーで写真を撮っていて、
最後に残っていたフラッシュでこの写真を撮った。
トイレの扉を開けて中から見上げて一発勝負でこのアングルを撮った、という。

おなじく林忠彦 小説のふるさと 田宮虎彦著「足摺岬」四国霊場第三十八番札所・金剛福寺(よこ)
田宮虎彦著「足摺岬」峠への道(たて)
まったく同じ場所で同じ巡礼を撮った写真だが、横の写真は寺の名前の立て札などが入り状況がわかるようになっているし、
たての写真はどこかはわからないがはく息まで写っているような臨場感。

焦点

中村征夫 キンメモドキ
遠くにも近くにも焦点を合わせるパンフォーカスで平面的な画面を作る。

まるでスイミーです。

秋山庄太郎 吉永小百合
ソフトな焦点の代表作品。雰囲気がすごく出ていて、はじめこの写真のちらしを見て行こうと決めました。
小百合さん、じゃなく「さゆりちゃん」と言ってしまいそうな作品です。

うーん、書ききれないのでピックアップで。

木村伊兵衛「浅草・植木市」

ベン・シャーン「シェナンドア川流域の風景、(再定住局のシェナンドア農場を含む)」

森山大道「光と影(オートバイ)

植田正治「白い風」
(発色現像方式印画)

ロバート・キャパ「オマハ・ビーチ、ノルマンディー海岸」
上陸する海兵隊を前から。カメラがぶれていなければ、この臨場感は生まれていないでしょう。

光のあつかい

川人忠幸
「肖像」ベナレスの人々

ユーサフ・カーシュ「ウインストン・チャーチル」「アンディ・ウォホール」

セバスチャン・サルカド「エチオピア」

アンリ・カルティエ・ブレッソン「メキシコ」

暗室作業

マン・レイ「眠るモデル」「ヌード/ソラリゼーション・ネガ像」

細江英公「薔薇刑」(ズバリ、三島でしょう)

ウイリアム・ユージン・スミス「洗濯機の組み立て」 小 大
小の方と大の方は明らかに顔の明るさが違っていて顔の部分を覆って焼付けをすることで印象がまったく変わっている。

事件は現場だけで起こってるんじゃない。会議室で起こってるんだ。もとい
暗室でも起こっているんだと言ってしまいそう。
非常におもしろく、勉強になる展示でした。

そして
手前に黒い影のぼうしとメガネの写りこみ。
こどもの写真も真ん中ではなくずらす。
植田正治にあらためてココロが動きます。
10月からは「植田正治のつくりかた」非常に楽しみです。

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ウイリアム・モリス展  2013年09月14日

壁紙ですけどなにか。
初日、館長さん、担当学芸員の音由美子さんなどのそばでお話を聞いたりもしたり。
ほんとにまるめた壁紙をたらして展示したものなどもあったりしたり。
そしてモリスデザインの椅子などの家具や暖炉、タイルやアンティークの真鍮や銅、
不透明なガラスのランプ、美しい装丁の本なども見ることができます。
奥のちいさなスペースをうまく使ったバーン・ジョーンズのステンドグラス。
教会から持ってくるわけにはいかないのでフィルムですが雰囲気かなり出ていました。
スタンプや手乗りいちご泥棒を作ってみようコーナーも楽しい。
そしておみやげコーナーが今までの府中美術館にない充実振りです。
ちなみに10月14日(祝)は無料開放になってます。

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来年9月、府中でミレー展。  2013年09月07日

府中市美術館の井出館長と高野府中市長の記念対談に行ってきました。
前半は井出洋一郎館長の前任地、山梨県立美術館での初代ミレー番としての話(今は四代目)
そして府中市美術館開館から13年の企画展を振り返る。
横笛を吹く少年のマネのときは1日800人の入場者でこれはいまだに破られていない。
クリムトとシーレ、ジャクソン・ポロック、今となっては保険の関係などで企画画難しい展示を早い段階で実施。
ジョジョの荒木先生が大好きなことでもしららられるドニや、
去年のポール・デルヴォー展につながるデルヴォー・アンソールなどのベルギーの画家たち、
(ちなみに去年の夢にデルヴォーのコピーは館長案ではないそうです)、キスリング展。
そして井出館長が就任してからのターナー、ノーマン・ロックウェル、
地震の年に行われたミュシャ、ルドンなど世紀末展。ガレのガラス器やラリックなど、
特に免震に気を使う作品が多かったわけで。
途中質問、休憩を挟んで2時間の対談。質問コーナーで
府中美術館ならではの美術館で落語会やガラス越しでなく版画を展示して作品保護のためにマスクを配ったことや、
横尾忠則さんの公開制作のことを聞いてみました。
横尾さんの人柄を彷彿とさせるようなはなしなども聞けて、手を上げてみてよかったです。

さて、そして最後の最後、来年の秋の府中美術館でミレー展というはなしが。
来年ミレー200年という記念の年で、山梨から打診があって、すでにフランスに作品の貸し出しの交渉で出張。
はやくに亡くなったミレーの最初のおくさんの絵がフランスからと山梨県立美術館からのと
並んでかけられるところが見られるようです。
種を蒔く人については、ただいま交渉中とのこと。
宮城からも作品がきて、相当な規模の展示が予想されます。


宮沢賢治展 世田谷文学館  2013年08月19日

お盆休みの最終日、府中に帰る京王線、各駅停車に乗り換えて、芦花公園で降りました。
アメニモマケズの記された、手帳は死後に見つかった。旅行に使うトランクの底に埋もれて5ヶ月後。
手帳に書かれた鉛筆の書きなぐった字に感動し、説明書きをよく見たら、複製品と書いてある( ;∀;)
がっかりしつつ見渡せば、アメニモマケズの展示あり、棟方志功の木板画、これはホンモノまちがいない。
銀河鉄道、セロ弾きに、オッペルと象、又三郎、絵本が並ぶその中に、光太郎の書も並んでた。

注文多い料理店、広告用のチラシつき、それから春と修羅だけが、生前出版されました。
けれども多くの人たちが、賢治作品とりあげて、じぶんのイメージ膨らます、80年が過ぎてなお。
亡くなる2年ほど前に病で倒れ父母と、弟妹宛の文、これはまさしく本物だ。
それにならんで絶筆の、短歌が二首の筆書きで墨もかすれているけれど感謝と希望を記してる。、

こうして日記書いてたら、録画のあまちゃんキョン2の、なにげに流れるあの歌は、たしか賢治の歌でした。

七五で書いてみたけれど、そろそろきびしいこのへんで、
あ、夜鷹の星を忘れてた。

おわり

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常設展示は横溝正史の病院坂の首縊りの家の生原稿や市川崑、黒澤明関連の資料など
映画関係の展示もあり、また上と下の展示を行き来しながら、
ムットーニのからくり人形の動くところもたくさん見られました。
村上春樹の眠りの短編と山月記の虎になるやつが気に入ってます。
八王子の展示も次はムットーニからくり人形。そちらも楽しみなのですな。


ルーブル美術館展 東京都美術館  2013年08月17日

地中海のギリシャ、ローマを中心にした四千年の歴史を辿る。
ローマ人の物語をずっと読んでいて、カエサル、アウグストゥスのあたりでとまっていたんですが
非常に興味をソソられるてんじでした。
ロゼッタストーンのレプリカはじめ、フェニキア文字、ギリシャ文字、十字軍、
オスマントルコとヴェネツィア、ハプスブルク家。
マントを留める狩の女神ギャビーのディアナ。石に見えない質感です。
二の腕をぷにゅっとしたい女神です。
やりませんけど。
ちびっ子はみんな落書きボードみたいなのを持っていて、女神を書いている子がスゴイ絵を描いてました。
画伯クラス。写真トリタカッタ。
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掲示もほとんど読んでたので閉館のドボルザークがおわるまで、三時間はいて、
帰りに上野駅でとろけるクリームパンを買って帰りました。
帰りの時間に合わせて保冷剤を入れてくれるココロ遣い。なかなかうまーい。
府中市美術館の夏休み企画展  2013年07月20日

おなじみのぱれたんと村田のちびっこ向け企画で、
おみやげに「ぱれたんおみやげブック」を差し上げますって言われて
いりませんよ、と言おうと思ったが、なかなかあなどれません。
応挙と宋紫石の虎再登場。
落書きコーナーは描いた絵をプロジェクターで国芳の落書きのとなりに映してくれたり
プラレールの先頭車両にカメラがついていてじぶんが描いた風景を
モニターで見られるみたいなのもやってます。
なかなかおもしろい。
美術館に行く宿題が出ている中1に教えてやろう。

プーシキン美術館展が暑い、もとい熱い。  2013年07月16日

ルノアールのジャンヌ・サマリーの肖像にうっとり。
セザンヌのパイプをくわえた男の描写にキュビズムの抱芽。
モネの陽だまりのライラックの木漏れ日。
ゴッホの医師レーの肖像は耳切事件の後に見習い医師に贈ったもの。
医師はそれを鳥小屋の穴をふさぐのに使っていた。
アングル先生のあくまで均整のとれた美しい聖母マリアの微笑。
マティスの描くダンスするような花の色彩。
そんな感心やため息の作品の数々の中で、無意識に笑ってしまう絵が。
それはやっぱりアンリ・ルソー「詩人に霊感を与えるミューズ」
友人でもあった画家のローランサンと恋人の詩人がモデルとのこと。
メタボで蛭子さんみたいになったアル・パチーノと、冨士眞奈美さんに見える。
なんなんだよーと思いながら、なぜかひきつけられる魅力があるんですよね。
やっぱいいわ、アンリ・ルソー。

そして、ドガの原題バレエ・リハーサルという絵。
今回の展示で一番のお気に入りですが、この絵、厚紙にパステルで描かれているのね。
色もあんまりつかっていないんだけど白のパステルが浮き上がって3Dに。
後ろから見える何人かの踊り子の伸ばした手や脚のリズミカルな構図がとてもいい。
特に一番手前の踊り子さんはカーテンに隠れて脚ぐらいしか見えないんだけど
手前に引いた脚と踏み出した足がほぼ180度に平行にならんでいて稽古場の空気が伝わってくるようでした。
厚紙の絵はロートレックとピカソのもとてもよかった。
わざわざ厚紙に描いたというより厚紙でも書かずにいられないって感じなのかなぁ、と。
常設展が山種ならぬサカタの種や京急の前身の会社の創業者、大沸次郎氏のコレクション、
版画や宮川香山の陶芸作品も染付、青磁など作風の変遷を見られる内容で非常によかったです。
カンディンスキー、モローやルドンもとてもいい作品があった。
中島清之さんの日本画、はじめてみたけどいいですなぁ。え、千波先生のお父さんだったのか。

35度の猛暑日でしたが行ってよかった。日本丸見て、
帰りは駅で崎陽軒のしうまい買いました。
うまいっしゅ 。

hpへ

棟方志功の波乗り菩薩の柵。  2013年07月02日

たましん美術館の後期展示で見られてうれしかよー。
会いたかった会いたかったーYES。
梅原龍三郎のとなりのソファーにまったり座ってると目の前がちょうど小磯良平と棟方志功という。

浅井忠の水彩画、好みです。油絵の感じよりやっぱり好きだなぁ。
府中美術館のコレクションでは子供の絵中心だった椿貞雄の、
ゴッホの教会というかサイコに出てくる家みたいにねじけた家や
岡鹿之助の風景画。
藤田の猫2匹だけで25号の絵もいいですね。

ここにくるとだいたい寄る本屋さんの横を入って曲がったところの88というギャラリー。
今日まで高石久仁子さんという日本画家の水墨画の花の絵の展示。
こちらもすごくいい感じでした。

大学通りの朝顔市が準備中だったのが残念。
また波乗りジョニー、もとい波乗り菩薩に会いにリピートしようかな。

いや、しかし波乗り菩薩はほんとにどんどーんて感じで、波乗り菩薩に乾杯!


長谷川潔を見に、府中市美術館へもう一回。  2013年06月30日

府中市美術館が会期末なので午前中にももう一回長谷川潔の銅版画の黒を見に行ってきた。
黒が黒いから白が引き立つんだよね。
光らせているところも全部じゃなくて一部だけだからより明るく見えるし途中の階調がいきる。
竹久夢二の木版画もも福島県立美術館からの出張なので。今回は年間パスがフル活用だったなぁ。
松本しゅんすけの建物、人物を合わせて7点。ビルの横の絵とか銀座の風景が独特の線で書かれてます。
何度も行くと新に気がつくハッケンがいろいろある。
常設には白い陶器の作品が気になっていた伊庭靖子さんの陶器じゃないグリーンのブルブルした絵があった。
2001年作。 気になるちらしももって帰ってきました。
さて、午後は自分の銅版画サークルへ。

もののあはれと日本の美 サントリー美術館  2013年06月12日

新月から三日月とだんだんふくらんで満月になって望月。
月の名称と写真を展示した中で、欠けていく途中の左斜め下の半分が明るい月。
「満月に続いて多く描かれているのが下弦の月である」
そう言えば月の絵が、と振り返るとやはり左下の方が明るい月。
ちょっと半月よりもレモンみたいな感じもするが。
宗達から、光琳、抱一、そしてかやまま加山又造画伯に至る中で描かれる月もまさにこれだな、と思いいたる。
花鳥風月、日本人がどんなものに「もののあはれ」を感じてきたのか。
西行絵巻の和歌、絵画、器、蒔絵の硯箱、着物などの作品。
川端康成の「雪」「月」「花」を一幅ずつのかけ軸にした書。
本居宣長自筆の源氏物語論。
その宣長の「もののあはれ」についての小林秀雄の色紙も展示されている。
「物のあはれを知る事の深きにするといふ事はなきものなり」

着物姿で空を見上げる。タイトルが「星」とか、
星空を描かずに表すみたいな感覚の作品にも「もののあはれ」に通じるものがある。

興味深い展示でありました。



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魯山人の宇宙と高田誠展うらわ美術館  2013年06月09日

魯山人は美味しんぼの海原雄山のモデルとも言われてます。
美食家。でも見栄や贅沢のための美食ではない。
お茶漬についての連載が展示されていました。

お茶漬けにも2種類ある。
ごはんをたくさんよそった場合は番茶だが半分くらいついだら煎茶が合う。
粉茶に熱湯をゆっくりと注いで濃く出したお茶を注ぐ。
そしてはなしはまぐろ茶漬けの作り方へと。
ひとつひとつの手間はおいしく食べるため、なのですね。
あー、おいしそうだったー。
おいしい料理をおいしく食べるための器。それをあつめて出し、
やがて自分でつくるようになったわけですね。
茶碗も向う付け、皿、そういう視点でみていくと
思ったいじょうに軽そうで食べやすそうなものが多かったです。

さて、無料で見られるギャラリーで特集されていた高田誠展。
安井曾太郎画伯に師事していてはじめ安井先生の影響を強く受けた厚塗りの油絵だったのが
ドットを並べるような筆使いが目立って来て色使いも明るくはなやかになってゆく様子がわかる展示。
はじめ逆から見ようとしていたところスタッフの方がよろしければこちらから、と教えてくださいました。
たしかに見る順で印象がまったくかわってしまいます。非常にうれしいアドバイスでした。
魯山人展の会期に合わせて前期展示で
後期で秋冬がテーマの作品が展示されるそうなのでまた見に来たいです。

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牧野邦夫写実の精髄  2013年05月28日

池袋から西武線で中村橋の練馬区美術館へ。豊島園いきにそうになったけど練馬で降りて乗り換えセーフです。
牧野邦夫写実の精髄展。

スーパーリアルな夢を見ているうちに目が覚めなくなったような感覚とでも言いますか、
現実と区別がつかないような対象がとめようもなく自己増殖して絵の中に湧いてきてしまったといいますか。
HPやちらしの表紙のビー玉の自画像のようにバックを塗りつぶした肖像や未完成の塔の間に描かれた
メディアにはのらない作品がすごすぎて、やはり実際に見に行ってよかったと思いました。
東大寺の戒壇院の四天王を特別にスケッチする許可をもらって描いていたら、
ある日突然もう来ないように言われた、とか。
スケッチの数々や阿修羅の顔を描いたものなど、
途中の絵がほんとにうまくてここでやめといてー、と思うけどいくところまでいってしまうってことなのか。
対象に近付いて写実を極めていくと、やがて見えないものを描かずにはいられなくなる。
落ちた雀の絵の小品がいくつか。これがマウリッツハイス展で見た
フェルメールにも影響を与えたという「ごしきひわ」の鳥の絵を思わせるような筆致。
レンブラントを敬愛していた牧野だけにオランダ絵画の光と影の描写をかなり意識していたのかとも思われます。
自分に宛てたレンブラントからの手紙も展示されてましたね。封筒までレンブラントが書いた風の。
黒柳徹子さんの肖像画も描いているのですが、展示はなしでした。残念。
他の絵は魑魅魍魎がわき出ているバックがけっこう多いのに、
美の巨人で見たときは全作品の中でも一番すっきりきれいに描かれていたように思います。
徹子さんは本人が妖怪ってことか、いやそのごにょごにょ。
徹子さんの肖像もですが、生前のフジテレビの番組では対談したのが石坂浩二さんだったり、
壁に貼られた写真がイージーライダーのピーター・フォンダだったり、
ビートルズの4人だったり。(このビートルズの絵がまたグッド)
いままで知らなかったけれど現在に近い時代を生きていた画家なんだな、とあらためて思いました。
大正14年生まれ。ちなみにきのうNHKで見た染色家の志村ふくみさん大正13年生まれ。

会期は今度の日曜日まで。まだ土曜日にはギャラリートークも組まれているもようです。

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百花繚乱展(山種美術館)  2013年05月26日

九段の坂をのぼって山種に行ったときに気に入って毎年この時期になると飾っているのが山口蓬春の紫陽花。
恵比寿に引っ越した山種で見ることができました。

前回山種で見た杉山寧は裸婦でしたが、今回は花です。
杉山先生のサインは非常に端正です。
美術館の近くの画廊のウィンドウにも杉山画伯の薔薇の絵が飾ってあります。
そしてさりげなく山種館長からの花。そしてやはりサインは美文字でした。
会期もうすぐおしまいですが、予告のポスターは田植えです。
企画がそのまま季節感。さすが山種ならではですね。

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長谷川潔 銅板画  2013年05月25日

長い時間と手間をかけて目立てがされた地にのったインクの黒と
丹念に削られた部分の白の光。黒の奥深さがあってこそ、
白い部分の光は際立ち中間の明るさの微妙な諧調も表現できる。
あこがれの長谷川潔の銅板画が府中市美術館の河野コレクション展に展示されてました。
ちらしやHPでは気がつかなかったのでうれしいサプライズ。
版画のコレクションでは駒井哲郎さんのエッチング作品、
竹久夢二の木版画はhpにのっているのもいいけど、
のってない方がTHE夢二な色気の作品でした。そちらは女性誌の表紙や挿絵原画です。
意外なところで木版画ではおなじみだった川上澄生の南蛮船や清宮質文の、ガラス絵。
こういう作品がある、ということも知らなかったです。

基本的には油絵がメインなのですが、その他の部屋に目がいって、2時間がっつり見てしまいました。
常設展のコーナーでは吉田博の水彩画がつぼでした。
たぶん何度も行くつもりです。たぶん年間パスポートのもとがこの企画展だけでとれてしまうほどに。

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佐伯祐三の静物  2013年05月24日

国立駅前の信金の6Fにある知る人ぞ知るたましん美術館。
年初めの東洋陶磁器(TOTO?)の時に行ったのですが、今回は近代洋画のコレクション。
佐伯祐三の静物画は26年の作品。二度目の渡仏をしてそのまま亡くなるのが28年。
全体にグレーに黒の輪郭線、水差しだけに赤系の色が塗られていて屹立というか孤独感というか、せまってくるものがあります。
パリの壁の絵も好きですが、静物もいいなぁ!
そして佐伯の奥さまのばらの絵がはす向かいの壁に飾ってあります。
佐伯のー壁ではなく静物。岸田劉生のー麗子像ではなく松竹梅に漢詩を描いた水墨画の掛け軸。
藤田のー猫でも乳白色の裸婦でもなく大阪の四つ角の路面電車をスケッチした風景画、
シベリアシリーズの香月泰男の花の絵など、意外な作品が多く驚きと発見がありました。
とてもいいコレクションだと思います。
ちなみに
熊谷守一「蟻」はいつもの守一さんでした。
足がほとんど本体にくっついてないぞー。

前期・2013年4月 9日(火)〜 6月 9日(日)
後期・2013年6月25日(火)〜 8月25日(日)

後期も是非行きたいです。

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クラーク・コレクション展  2013年05月09日

見所が多すぎてなかなか日記が書けなかったが、ちょっと落ち着いてきたので書くことに。
GWの5月5日。hpで確認すると入場制限30分待ちだったので
先に工芸館と近代美術館に行ってから3時過ぎに到着。10分くらい並んで入れました。

最初のコローとミレーの部屋でもうしあわせ満開です。
テオドール・ルソーの大きな風景画は一枚だけ通路の反対側にかかっていて存在感。

ルノアールは肖像画もいいけど風景や静物もいいですねー。
「うちわを持つ少女」a girl with a fan
個人的にはうちわない方がいいかも。
ちなみにシンディー・ローパーの歌をこの歌詞で歌えそうと思ったりして。

モネの「エトルタの断崖」「小川のガチョウ」などの風景も好きです。

シスレー「籠のリンゴとブドウ」
静物画はめずらしいということですが、籠を置いたテーブルクロスの模様のドット模様が
色を混ぜずに描かれていてシスレーになりつつある感じでした。
後半のシスレー、ピサロ風景画の部屋でここからだんだんらしくなっていくのが見られておもしろかったです。

行ったり来たりしてそろそろ終わりかと思ったあたりにドガ。
「レースの前」と「稽古場の踊子たち」おさえるところをおさえてますねー。
座って足を投げ出したり、眠そうな子もいたり、現場をよく見てますね。

で、最後の最後の部屋にまたルノアール。
「眠る少女」
ひざの上に最初は気がつかないほど保護色になっている「眠る猫」
ちょっとぶちゃいくで、めんどくさそうな顔をして寝ているのがすてきでした。

まったく時間を見ずにいつの間にか閉館時間に。
いい展示でございました。

三菱一号館美術館 5/26まで hpへ


荒川豊蔵志野茶碗の梅花皮。  2013年05月06日

近美工芸館 花咲く工芸
会期末前日。行ってきました。
荒川豊蔵の志野茶碗。
五本の指でむんずとつかんでどっぷりと浸した
真っ白な釉薬のヒビ割れの間から
ほんのりしたピンク色が染み出して、
なんとも言えない淡い色合い。
くっきり残された指あと。
近美のhpには出てなかったので、
例によって鑑定団ドン。

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松井康生さんの練上の大壷。
上から中を覗いてみると外側の梅の花や枝が裏側にも。
粘土がマーブルになって混ざっている葉の部分。花びらの中の雄しべ
ははっきりとした黒い線で渦巻いている。
ひとつひとつの部分を組み合わせて、
大きなひとつの絵が出来あがっているのですね。

ガラス、鍛金、漆、。友禅の訪問着も素晴らしい。

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工芸館は連休明けから六月後半までお休み。
その後四谷シモン球体関節人形が見られますね。

近代美術館、朝の日曜美術館でやっていたベーコン展はチケット売り場が行列しておりましたが、
無料開放日の所蔵品展はそんなに混んでいなかったです。
佐伯祐三の壁の前の椅子は僕の特等席。


佐々木マキ見本帖  2013年05月03日

府中から、やはり会期間近の八王子夢美術館に銅版画見に再訪して駅前まで戻ってくると古本市をやってます。
ルノアールとルソーを買おうと思ったが、次があるのであきらめて、
映画のパンフレットが一冊10円で積んであったので物色してみました。
フロントページ、ブルースブラザーズ、ノッティングヒルの恋人を発掘しました。
そして吉祥寺へ。
吉祥寺美術館の佐々木マキ見本帖。
村上春樹を読み始めてから、風の歌を聴け、1973年のピンボール、羊を巡る冒険と、
中身を見る前にまず佐々木マキさんのカバーの世界があったわけで。
そんなわけで村上作品の佐々木マキさんとしての印象を持っていたのですが、
デビューは雑誌ガロの新人投稿だったのですね。
ゲゲゲの女房の村上弘明の小さな出版社のモデルと言われますが、
そこに若者が原稿見せにくるシーンとか、あったなあ。
実際の連載漫画の原稿があり、これがとってもきれい。
そしてセリフがぜんぜんないページがつづいたり。かっこいいです。
今見ても。というか、今だから言えるけど当時これをのせてたガロってすごいと思いました。
展示では羊男のクリスマス、カンガルー日和などの原画も。そして絵本作家としての作品も多数。
後期展示替えになったらまた行きたいと思いつつ出てきて会場外のモニターでインタビューが流れてたんですが、
それを観てはじめて気がつきました。え、佐々木マキさんて、そうだったのか。

常設の濱口陽三銅版画ルームで人物画を見られたのもよかったなあ。

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かわいい江戸絵画後期(府中市美術館)  2013年05月03日

会期終了間際ですがお散歩がてら歩いて歩いて行ってきました。
前期から絵は入れ替わっていて、中で気に入った作品をいくつか。

居直りて 孤雲に対す かはずかな 蕪村

扇面にささっと書いた俳句にかえるが三匹。
この「ささっと」感がいいですねー。

羊歯鼠(しだにねずみ)図 円山応挙
お軸の下の方にちっちゃく2匹。余白がいきてます。
かわいいねー。
どぶねずみみたいにー美しくなりーたいー♪

次回の展示のフライヤーも出来上がってました。
河野保雄氏の寄贈コレクション展です。
青木繁に長谷川利行カフェの入り口、岸田劉生白狗図、東京駅で今やっている木村荘八、
木版画も谷中安規、清宮質文、竹久夢二とたのしみなラインナップ。

2013、これより前はただいま工事中です。(^_^;)
ベーコン展と近美コレクション  2013年04月15日

国立近代美術館フランシス・ベーコン展。
思っていた以上にたくさんの人。そして客層も、すっとしてかっこいいたぶんバレリーナって感じの女性、
髪の毛をひっつめて後ろで結んだ森山開次くんとかみたいな感じの人とかがあちこちに。
そういう場内のようす、ベーコンの作品に触発された舞踏家のパフォーマンス映像なども見て、
最初はどっから手が出てるのかわからないように感じていた絵がだんだんと舞踏的に見えてきました。
で、あとで見たら音声ガイドが熊川哲也氏だった。納得です。
ベーコン本人の展示会には金属の額で硝子越しに展示する注意書きが書いてあったけど、
対象が幽霊のように透明に透けて見えるのと同じように見ている人が映り込む効果も狙いなのかなとも思いました。

つづいて一度出てコレクション展へ。
真正面に杉山寧スフィンクスの絵、右手に東山魁夷残照のコーナーは圧倒されるものがあります。
佐伯祐三の壁の前でベンチに座ってしばしまったり。
木村伊兵衛の板塀の写真も出ていました。通りすぎようとする馬のおしりが左端に。
これは失敗作ではないのですね。

ベーコンもコレクション展もそれぞれよかった。さらには、ベーコンからのコレクション展でよかったな。

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府中美術館展示替え前にもう一度。  2013年04月05日

府中市美術館の年間パスが最終日だったので来週の展示替え前に
もう一度かわいい江戸絵画前期見に行ってきた。
3回目なので気にいった作品をじっくり見ます。
はじめの頃より円山応挙の注目度がどんどん上がってます。写生の印象が強かったのですが、
とぼけた味があるものまで幅があって見くらべるととてもおもしろい。
前期の中でも東東洋の屏風が右から左みたいなプチ展示替えがあったということを聞いていたのだが
ちょっと気がつかなかったです。
満開の桜の下のオープンテラスで日本画家の人と花を描くワークショップに参加しようと思ったのですが、
午後からということで残念。去年は午前中からやっていたので参加できたのですが。

来週からの後期は全作品が展示替えということなので行く時にまたパスをどうするか考えよう。


杉山寧先生の日本画  2013年03月22日

以前に鑑定団で見たのを思い出して検索してみた。
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で、高島屋の杉山寧展で同じスタイルの絵が出ていました。
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日本画だけではなくて、色鉛筆だけとかそれに+水彩絵の具という作品もたくさん出ていて、デッサンの確かさがよくわかります。
いろんな画風が並んだ中で一番好きなのは、息子さんのお嫁さんが赤ん坊を抱いている絵でした。
頭から布をかけているあたり、母子像のイメージに見えました。
デパートの展示としてはかなり長い会期でしたが、25日の月曜日までですね。

三島由紀夫夫妻とスリーショットで撮った写真があって、娘さんが三島夫人だったというのをはじめて知りました。

版画・たばこのある風景  2013年03月21日

渋谷のマルイの横を斜めに上がっていってパルコを過ぎてちょっと行った、
たばこと塩の博物館。文学の中に登場するたばこの風景を版画にした作品が並びます。
パンフレットの有元利夫さんが目当てで行ったのですが、銅版画も木版画も見たい作品がどんどん出てきて、
版画好きには特にうれしい展示内容でした。
ポスターから撮った写真以外にも、池田万寿夫、関野準一郎、絹谷幸二、船越安武、
えーとえーと、銅板、木版、リトグラフ、急には思い出せないくらいいろんな方の作品が並んでいました。
禁煙してからもうだいぶ経つけれど、文学の中ではたばこの風景がよく似合う。
(映画やドラマの中でも)ジーパン刑事とか、ルパンが次元と一本のタバコを分け合って吸っているのがかっこよかった。

ちなみに入館料は100円です。なにかで渋谷行くときには何回もリピートしそうな展覧会でした。

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目黒で美術館&さくら散歩  2013年03月20日

松岡美術館で花鳥の陶磁器。
目黒美術館は写真展。
周辺といっても松岡は東口から15分、
目黒美術館は西口から10分ということなので逆方向なのです。
目黒美術館は途中の目黒川沿いのさくらがお目当てですが、
まだ満開にはだいぶある感じです。
写真展といっても有名写真家ではなくて ふつうの目黒の住民がふつうの街の様子をとった
ふつうのスナップ写真なのですが、とてもほのぼのしてしまいました。
撮影に使われたカメラもふつうのオリンパスのカメラ。
うちにもあったなあ。
昭和30年代。じぶんが生まれた頃の写真で、
じぶんの父親もずっと会社が目黒だったし。
目黒に新しい店ができてとてもおいしいからと日曜日に家族を車に乗せてつれて行ったことがあり、
それが吉野家だったのを覚えています。
写真を見ると思い出以上に工事中が多く、トロリーバスや路面電車が走っています。
行き先は築地とか、三軒茶屋とか。都立大駅の高架工事のお知らせとかもあったりして。
駅へと目黒川沿いの帰り道は行きよりもなんだかさくらが2割増くらいきれいに見えたりして。

渋谷へとつづく

松岡美術館 うつわにめでられた花と鳥たち

目黒区美術館 記憶写真展


かわいい江戸絵画展(府中市美術館)のつぼ  2013年03月09日

初日に行ってきました。

うろたへた小猫盆画へ屎をたれ(国芳)

国芳のものはちらしなどにも取り上げられている猫のすずみなどいくつか出ていたのですが、これが一番はまりました。
題名を見ただけで情景が浮かぶ。盆画はお盆の中に砂で絵を描いたものです。
さっぱりしているところを家人に発見されて証拠隠滅を図ってかりかりまた砂をかけているところ。
お盆に砂。しかも床に置いてたらそれはやりますにゃん。

応挙の虎皮の標本の図、蛇のような目を思わせる精悍な虎や
かわいらしい虎の横に弟子の蘆雪の頬をすり寄せて眠っている眠り虎。
その隣の宋紫山の虎の目は、ほとんどジャック&ベティーの目です。
若冲のたくさんの托鉢僧を描いた絵は、あちこちでこそこそ話したり、はじっこで余所見をしているのが、
顔の向きや視線だけでわかってとても楽しいです。
鹿図は、これは千と千尋のハクが竜になるとこを思わせます。(逆か)
そして仙高ウん。なんとも言えないへたうま感です。

常設展では高橋由一の桜の枝の前景からの風景画や川上澄生の木版画も展示してました。
とりあえ今日はざっとこんなところで。

3月9日〜5月6日府中市美術館

http://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/kikakuten/kikakuitiran/kawaiiedo/index.html

府中市美術館over the rainbow展  2013年02月25日

日常生活の中のふつうに見える風景の中に「芸術」と「日常」の接点を探る、というコンセプトで
30,40代の作家さん中心の企画展。
最終日に担当学芸員さんのギャラリーツアーがあるということで行って来ました。
これが3回目のリピートなのですが、説明を聞きながら見ると作家さんの意図や
気がつかなかった技法などいろいろな発見があって楽しかったです。

特に伊庭靖子さんの染付けの器の油彩画は、
企画展が始まる前から気になっていた作品なのです。
これが解説で油絵なんだけど版画で何度も版を重なるようにして塗られているという話があってなるほどです。
背景も白なのですが白い磁器の質感が出て浮き上がって見える。
これはやはり実物を見ないと伝わらないと思います。

冷蔵庫の製氷機から取り出した氷についた糸のフックを上から吊るされた釣り糸にかけると
だんだん解けてきてしずくが下のビンに落ちるようになっている体験型の展示とかもあります。

最終日ということで池田昌紀さん三田村光土里さんからは直接作品についてのはなしを聞くことができました。

1Fの市民ギャラリーの市民芸術祭も最終日。
油絵、水彩、版画など一団体一名出品して学芸員さんがひとつずつコメントしてくれるのだ。
構図、色使いなど他人の作品を見たり批評を聞くのも、とても勉強になりますね。

府中市美術館はしばらくお休み。3月9日からはいよいよかわいい江戸絵画展がはじまります。

http://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/kikakuten/kikakuitiran/overtherainbow/index.html

五島美術館「時代の美 桃山・江戸編」  2013年02月16日

朝から南武線と大井町線で上野毛の五島美術館に行って、帰ってきたところです。
五島美術館はリニューアル記念のB部、桃山江戸編です。
歴史上のビッグネームが目白押し。
信長の書状。立派な文字ですが祐筆が書いたものでした。サインは信長本人のもの。細い筆でさらさらっと。
となりには秀吉がねねに当てた手紙。
通路を挟んで光秀。となりは避けましたか。
ねね宛の秀吉の手紙の写しもあります。千利休筆。
重要なブレーンとして秀吉の天下取りを支えていたわけですね。
そしてそのとなりには大徳寺に宛てて愛蔵の橋立の茶入れを預かってほしいと頼んだ利休の手紙。
秀吉の命により切腹する8日前のものです。
文字に動揺や迷いの様子は見えません。
こういう展示の仕方は実におもしろいです。
光琳の蒔絵の硯箱、乾山の障壁画、宗達・光悦のコラボ和歌集。
谷文晁の写生帳、狩野探幽の旅の絵日記。
字は人なりではないですが、去来抄、シーボルト、近松門左衛門と、
なにかやはりご本人の性格が垣間見える書体に思えました。
賀茂真淵は学者のノートそのままという感じで後からもびっしり書き込みされています。

焼き物コーナーは、楽家初代の長次郎の赤と黒の筒茶碗と三代目で
歴代随一と言われたのんこうこと道入が並びますが、その間の二代、常慶の黒楽茶碗が気になりました。
銘 悪女
どんな悪女なんだ。気になるなぁ。
第三部は明日17日の日曜日までということでお昼近くなるとかなり混んできました。
さあて、仕事仕事。

http://www.gotoh-museum.or.jp/exhibition/open.html

中原淳一 展  2013年02月12日

生誕百年を記念しての回顧展。戦前、十代で少女雑誌の表紙を飾るが時局の緊迫する中、降板。
戦後は自ら雑誌を立ち上げて、編集から携わった。
洋服、着物のデザイン画、見開きのページに一面ヘアスタイル、一面サンダルなどの特集。
すべて自分で描かれていたのですね。
ひとつひとつの絵が非常におしゃれでかっこいいです。
ちらしのTHE女子の絵に、正直ちょっと二の足を踏みつつ行ってみたのですが、行ってよかった。
宇野亜喜良さんは女性の絵を描く世界に、コシノヒロコさんはデザインの世界に、
それぞれきっかけを与えてくれた影響の大きさを書かれていました。
色紙に書かれた宇野さんの絵はかなり妖艶が入ってました。
竹宮恵子さんも当然絵入りです。やはり、うまい。

絵の雰囲気は時代的にいってやはりヘップバーンや浅丘ルリ子さんを思い浮かべますが、
ジュニア向けの中に、剛力さんの似顔絵か、というくらい似ている絵がありました。
と、いうかむしろ剛力ちゃんが先生の絵に似ているのかも。

日本橋三越 18日まで。
http://www.mitsukoshi.co.jp/store/1010/nakahara/

14日までは本館に行く途中でスイーツコレクションの催しも実施中。
そこを通り抜けがてら抹茶とほうじ茶のチョコを試食、
ちょうどほしいところにコーヒーも試飲できてグッドタイミングでした。
本館6Fのギャラリーも洋画、日本画、ガレ、ドームのランプやラリックのガラス器(特にラリックを揃えてみました、と三越の人)、
青磁、天目茶碗。
そして、レオナール・フジタも展示されてました。鉛筆で描いて水彩ですがいい作品。
水彩でも、やはり乳白色。行かれた際はぜひお立ち寄りを。

ところで、かなり満員のエレベーターで上がっていくときに、
「ほら、名前なんだっけ。メリル・ストリープ」
「それは女優だろ」
「あの、白黒の写真の、花とか」
「ええと、メイプルソープ?」
「そうだったかしら」
という会話が耳に入り、思わず
「合ってます、ロバートメイプルソープ。池袋でやってますよ」
と教えて差し上げました。

高山辰雄・奥田元宋 文展から日展へ(山種美術館)  2013年01月24日

日曜美術館で高山辰雄画伯の特集をやっていたのを見て、
会期終了間近ですが平日の午前中、ちょうど新宿に出る仕事があったので
早出して恵比寿の山種美術館まで足を延ばした。

モノクロで人物を描いた「聖家族」の連作。

個性という言葉はあまり好きではない。
普通の人が夕日を見るときは全身で感じているわけで、
そうしたふつうの人が感じるように絵が描きたいと思っているが、
普通の目で見ようとすればするほど、いつのまにか画家の目で見てしまっている。
それは今も同じである。

と、いうような説明があり、(まったくのうろおばえ)
絵のタッチとともに心に残った。 個性、個性と主張するのではなく、ふつうの人の目で見た感覚でふつうに描こうとし、
それでもなお見えてくるもの。個性ってそんなものではないか。
「聖家族」この連作の銅版画集を出すときに作家の井上靖さんが名づけたタイトルとのこと。
日曜美術館では当時、銅版画の刷りを担当した摺り師の方のインタビューもあり、
高山さんの版画に対する熱意のようなものまで伝わってきて、版画作品も見てみたかったが、見当たらず。
日本画専門の美術館でそれはないか。
高山さんと同じ年の奥田元宋さんは、途中映画の仕事に携わっていたり、
和歌をたしなんで歌会始めの召人もつとめられた方。一気に書いているようだが、書もいい感じ。
文展から戦争をはさんで日展へ、ということで上村松園の蛍をはじめ活躍した人たちの絵がずらりと並んでいる。
その中でも、野島青茲さんの作品にひきつけられた。
輪郭をしっかり描いたきりっとした女性像にはどうも惹かれるようである。
そして、杉山寧 響 。
大きな石に仰向けの裸婦の図。
非常に大きな絵で、制作過程の板に書かれたデッサンも展示されている。
でも、なにか違う。
そうか。本絵では手前の側の膝を曲げているけど、スケッチしたときは逆だったのか。

コレクションルームではやはり東山魁夷「年暮る」
手前の家の窓が、一軒だけほんのりと明るくなっているのがなんともいい。
すごく静かなんだけど、あったかさが伝わってきます。

次の展示は琳派ですね。また来たいです。

PS高山先生の銅版画が気になって一度出てから
引き返して受付の方に銅版画の作品が所蔵されているのか聞いてみたところ、
学芸員の方に連絡をとって聞いてくださいました。ご親切な対応、さすが山種と感じ入り候。
ちなみに所蔵はされていないということでした。どこかで見てみたいものです。

http://www.yamatane-museum.jp/exh/current.html
西洋美術館ギャラリートーク。  2013年01月16日

東博のあと西美にはしごです。
手の痕跡、ロダンとブールデルの彫刻と素描展を見て、
それから常設展示へ。
ちょうど50分ほどでボランティアスタッフの方が説明してくださるツアーが始まったばかりだったので
初めて便乗して聞いてきました。

「カペの自画像です。たいへんきれいな人ですね。どこから自画像とわかるでしょう。
はい、そこのあなた」

http://www.nmwa.go.jp/jp/collection/2001-0002.html

「手に書く道具をを持っているからですか」

当たらなくてよかった。「きれいに書いてるから」って言おうと思ってました。

「どくろや傾けた水差しなどが書かれた静物画ですね。どんなことを言おうとしているのかしら」

当たらなくてよかった。ヴァリタスヴァリタスルルルルを言いそうに。。

カペの師も女流画家で、マリー・アントワネットの肖像画を描いたヴィジェ・ルブランとふたりだけ選ばれるぐらいの人だったとか。
そういった話からフランス革命が近づいていた時代の流れ。
描き方も以前の貴族の肖像画と見比べて生き生きとしたものになっているという話へと。
とてもおもしろかったです。
いつも自分のペースで見ているので人の話を聞くのもよいものですね。

http://www.nmwa.go.jp/jp/index.html


円空  2013年01月14日

なかなか一発変換とはいきませんね。携帯では円食うぶつになったしまうのだー。
日曜日、東京国立博物館の円空展行ってきました。荒削りでざっくりした彫りあとは、
見る方向、光の当たり方で表情を変える。
水平に一本線に彫っただけの目は笑って見えるのだけれど、
通り過ぎてから振り返って横顔が目に入ると口元と共に悲しげにも見える。
かなりの混雑で係の人も月曜が雪の予報がでているためではないかと説明していました。
そんな混合った中でも譲り合うような姿も見えたり、円空さんを見てるとほっこりするのかな、と。
見ている人とたくさん並んだ円空仏がだんだん一体になってきたようにも見えてきたりして。
円空仏よかよか。
狛犬も円空流です。
4月7にちまで。

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山下清の群鶏図。  2013年01月04日

長岡の花火
何度も見ていてこよりで作った花火の広がりと、ひとつひとつにうったドット。
ひとりひとりの観客の姿など、見るたびに新しいことが気になるのだが、
今回は打ち上げられた花火の水に映った花火の影に目が行きました。
近寄ってみると、重なっている部分の色を自然に変えている。水に揺れながら、色も。

遠足
長岡の花火の隣に飾ってある。
ひとりひとりの人間の、顔の陰影までを濃い色の貼り絵で貼り分けている。
山下清は放浪しているときスケッチブックとか貼り絵の道具はほとんど持ち歩いているわけではなく、
旅から帰ってから記憶を頼りに作品を作って、それは実際の風景とほとんど変わりがなかったというが、
その頭の中のフィルムには、陰影までも写し取られていたということか。

伊豆大島(未完)
未完と言っても遺作とかいうことではなく、
作っている途中で放浪の虫がうずいて旅に出てしまったということらしい。
そのせいで創作過程が垣間見える作品。
イメージの赴くままにちぎった紙を貼っていたように考えていたのだが、
鉛筆で枠取りをしてまだ紙を貼っていないままの部分が残っている。
下半分には貼り絵済み。しかし手前になる草木の部分は白抜きのまま抜けている。
陰影はまだ貼られていない。製作途中の絵としては、とてもふしぎに見える。
インクジェットプリンターの印刷途中のようにも見える。

静物画、植物画
あまり知らなかった十代の頃から作っていたもの。
植物の葉脈がこよりで貼られているが、よく見ると片側だけ陰になる部分、色を変えてある。
そしてこよりの下にはその色はついていない。つまりこよりに色をつけてから貼ったということなんだね。
菊の中にみつばちが見える作品とか、すごいよ。長岡の花火の前に、準備ができていたんだな、と思う。

観兵式
マリオぐらいのドットでヒゲや髪の毛だけを貼っているのに、えらそうな軍人とわかるこの表現力。

ロンドンブリッジなど、ヨーロッパの風景の、円熟期作品。
ほんとにうまい。遠景も近景も全部いっしょ、みたいな絵からすると、うまい。
でも、前者も後者もどちらもいい絵だなぁ、と思う不思議。

群鶏図その1油絵
清の作品に油絵は少ない。それはイメージを定着させるのに、
乾かないと次にいけないのがまどろっこしくなってしまう、
たとえチューブから直接出したにしても、というようなキャプションが出ていて納得。
しかし、油絵ほんとにすごい。どこかで見たかもしれない。インプットされたかもしれない若冲。
しかし若冲の群鶏図を思わせながら、これは清の群鶏図です。ドーデスこの色使い。

群鶏図その2大皿ガレナ釉に絵付け
民藝館やバーナード・リーチ展で見た、
生乾きの時に生クリームしぼるみたいな道具で描いたスリップウェアの鳥に通じるじゃないか。
展示されていたのが清が愛用していた濱田庄司からもらった湯のみ茶碗。
バーナード・リーチとともにイギリスでスリップウェアを研究したのが、濱田庄司だったんだよね。
つながっているんだなぁ。

東海道五十三次の清さんのことばのキャプションを全部読んでいるうちに、
3時ごろ入ったのに6時過ぎていた。時間に気がつかなかった展示でした。

日本橋三越にて14日まで。

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北斎、光の王国展  2013年01月01日

池袋で途中下車。初売りで賑わう西武7Fで開催中。
富嶽三十六景、諸国瀧廻りの全作品を最新のデジタル技術でリ・クリエイト。
福岡伸一先生が館長です。昨年のフェルメールにつづく企画だったのですね。
デジタルか、とも思いつつ、それはそれ。デジタルだからできることもある。
凱風快晴の拡大版など、大きくてもクリアだからわかる彫りや摺りの微妙な感じがわかったりもして、おもしろい。
会場にロッカーがないのはちと困りますが。催事場ゆえやむなしか。
売り場のところに荷物預りがあったのでそちらを利用したらよさそう。
関連の版画販売コーナーがかなりの充実。
展示階からエスカレーターで降りていくとどの売り場も福袋が。
工芸コーナーに百万福袋。中身も展示されてました。
「この楽茶碗だけで200万以上で全部で300万以上の品になっております」
うきょー。眼福でした。
赤楽の茶碗の他に何点か入っている他の茶碗めいい感じで、
その値段の違いは、まだまだ僕にはわかりま千円。
北斎展は6日までですが、売れてなければ是非そちらの茶碗も御覧くださいまし。

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