女子美公開講座2 2007年12月15日11:39

今週は第2回。パッケージのデザインの理論と実際。
女子美術大学短期大学部助教授伊勢克也先生。

パッケージのデザインを「だいじなものを保護する」という機能性を考えた形から「かっこいいか」ということや、
コンビニやスーパーに置かれて流通し、やがて消費されゴミになることまでを考えたらどうなるか、
ということまでいろいろな視点から考えるという講義でした。
あいかわらずレジメに走り書きしたものの復習のためのまとまらない日記で申し訳もございません。。

その1ゼロから発想するための方法論
「アンラーニング」
例えばポスターを考えてみる。
頭の中には大きな紙で、□で、「ポスターはこうである」という情報がすでにインプットされている。
だから意識していないつもりでも定着したイメージのかつてデザインされたものをなぞる行為になってしまう。
ではそれを白紙に戻すためには具体的にどうすればよいのか。
矛盾するようだが今までのイメージを書き出してみて、今わかることをまずくわしく調べてみる。
ゼロにするために、なにをゼロにするかを考えてみることが意外に大事。
それから新たに初めてみるものとして眺めてみることが必要なのだ。
そこで初めてポスターというものに接するような意識を持つ、頭をゼロにするをやってみる。

その2エコノミーとエコロジー
コンビニで水を買う人は、水を買うのではなくパッケージから受けるイメージを買っているのかもしれない。
だからパッケージはだいじだ。
けれど、商品でありながら商品そのものではない悲しさも抱えている。
商品そのものである水が消費されると、美しい凝ったパッケージがそのままゴミになって海岸を汚したりしている。
そういう部分を背負っていることをどこかで考えていないといけない。
エコノミーとエコロジーを同じ力学の上で考えることが大事。

その3授業風景
今回は「卵を1.5mの高さから落とした時に割れないデザインを作りなさい」
という課題で学生さんの作品が紹介されていました。
卵を樹脂で固めた物、プラスチックのがちゃぽんみたいな容器の中に輪ゴムで卵を浮かせた物、
2体のリカちゃん人形ではさんで抱きかかえた物など。
あえて「保護する」という機能にしぼることで実際にコンビニなどで売られている物との違い、
経済や流通の中で必要なものがみえてくる。
この授業は毎年やっているということで、昨年は「あなたがこの教室で卵を産むとしたら、
どこにどういう巣を作りますか」だったそうです。
教室にいたら、
「先生の髪の毛が巣をかけるのにちょうどよさそうに見えます」なんて不届きな発言をしそうなこじろうさんでした。

来週は刺繍芸術の保存修復と制作です。


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