逆(ぎゃく)マルつけ−生徒の視点と教師の視点


 赤ペンで生徒の答えに丸をつける。なんでもないことだが例えば生徒と向かい合って教えていてそのままの体勢で普通に丸を書く(下からぐるっと)と、答えを書いた生徒から見た場合上からぐるっとのおにぎり型になってしまう。
 これを向こうから見て下からぐるりの形になるように書くのが逆マルである。
 何も知らずに塾に就職して、最初の研修で教わったのがこの逆マルだったのだが、その主旨はマル付けのやり方、というだけではなくて自分からの視点だけでなく生徒の側に立ってものを見てみよう、ということだったのだと思う。
 実際教室に入って授業をしてみると「こんなことはわかりきっている」とか「中学生なんだからわかっていて当たり前だ」というような部分でつまづいている場面に多々遭遇することになって、そういう場合自分からすれば「当たり前、常識」という頭だけだと「なんでこんなことがわかんないんだー。もう知らん」ということになってしまう。
 自分の頭を「わからない」状態にリセットして(それだけだと生徒と並んで頭を抱えているだけ状態になってしまうわけだが)、そこからそれじゃあどうしたら「わかる」状態にもっていけるかを考える。
「できる」ことと「教える」ことは違う、ということだろうか。


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