河合準雄さんの本にこんなエピソードがのっていました。
船が難破して、方角がわからない。
灯火をあてて何か見えないか必死で探すが、
生憎の闇夜でまったくなにも見えない。
くたびれ果て、あきらめかけた時に、ひとりの男が
全ての明かりを消すように言う。
まわりの者達は反対したが、他に方法もないし
仕方なく男の言う通りにすることにした。
しばらく経って。
暗闇に目が慣れてくるとその暗闇の中にぼぉーっと
小さな小さな光が浮かび上がってきた。
港の灯りだった。
船は無事に港に帰ることができた。

何があるかを見ようとしてかざしていた明かりが、
かえって本当のものを隠してしまったりする。
港の光はずっと前から灯っていたのに。

いろいろなことに言える話ですが、
インターネットやワイドショー、評論家や専門家、コメンテーター、
それらしい情報はありあまる位氾濫しておりますが、
かえってそれで見えなくなっているものがある。
と、いうことは「教育」の問題にもあてはまるように思えます。

固定観念や先入観、などなどなどにとらわれて
生徒の心に灯っている小さな光に気が付かない。
そんな先生になっていないかと自問自答する、
今日この頃です。


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