都立入試は本番のテストでどれだけとれるかが、
今まで以上に重要になります。



  学校の成績がオール4、
  本番の入試でちょっと失敗して5科の合計が250点。
  府中西高校志望のA君の場合。

  今までの制度だと、     
  総合得点642点だったのが、来春の受験生だと
              614点になってしまいます。

  府中西の合格基準(50%)は男子600点 女子610点

  (なんだか保険のCMみたいですが……)

来年度からは今までの学区制が廃止となり、どこの学校でも受けられるようになります。
旧十学区の学校は、これまでとくらべ、すべて学力重視の選抜となります。

○国立:本番のテストと内申の比重は7:3。
推薦枠(内申と小論文、面接などで選考)をこれまでの20%→10%へ縮小、
その分特別選考を導入して学力検査点のみで選考する枠を設ける。
○三鷹・調布北:これまでの6:4の比重から国立と同じく7:3に。
○神代・狛江・調布南・府中は昨年と同じく6:4。
○府中東・府中西・永山もこれまでの5:5から6:4に変更。
○神代では男女枠の緩和を導入するため、男子でぎりぎりの人はきびしいかも。
○府中西の特別選考では自己PRカードを若干高くみる。

○南野は来春の募集は中止。17年度には稲城と統合して総合学科高校と成る予定です。(進学研究会調べ)

実際にどういうことになるか、というのを例を挙げて考えてみます。
府中西高校志望のA君。彼は成績がオール4。本番でのテストの合計が250点でした。(ちょっと本番に弱い)
彼の換算内申(5科そのまま+実技4科1.3倍)は
20+16×1.3=40(小数点以下切り捨て)
この換算内申40を500点満点に直す式に入れると
(40)÷51×500=392
本番のテストが250点で合計642点。
西高の総合得点の合格基準(男子600点女子610点)をだいぶ上回っているのでまず合格したとみてよいでしょう。
さて、
それではA君が今の受験生ならどうでしょう。
換算内申40を400点満点に直す式に入れるので、
(40)÷51×400=313
本番のテストは500点満点を600点満点に直すので、点数を1.2倍することになって、
250×1.2=300点
これを合計すると300+313=613
基準が合否半々くらいの数字、ということを考えると、これはかなりきびしいということになります。


どうするA君…

つまり、これまでの方式であれば、内申点(3年二学期の成績)でかなりの貯金があったA君なので
本番のテストで多少の失敗をしてもなんとかなっていたものが、来年からはそうはいかない、ということなのです。
模擬テストを受けた人はよくわかると思いますが、テストだけだと「C」判定なのに、
内申とプラスした総合だと「B」というように実際にテストで点数がとれる「本番の学力」よりも
学校の成績で積み上げた「内申」の方が上、という場合が大多数。これからはその貯金の部分が圧縮されて、
本番のテストの点数が増幅されるわけで、A君としてはこのまま安心していると
「そんな馬鹿な……」という結果が口を開けて待っている、ということになってしまいます。
ふだんの学校の授業、中間・期末テスト、提出物などをきちんとがんばるのはもちろんですが、
テストでしっかり内申に見合った点数をとれる力を鍛えておくことが大事になってきます。

さて、そのためにはどうするA君。
まず第一に。
中間・期末テストとのちがいは、当たり前ですが範囲が広いということです。
ふだんの授業の勉強と並行して特に1、2年の内容を復習しておくことが絶対に必要です。
今やっているところができていても前にやったことほど忘れがち。特に数学や理科などは直前にあわてても間に合いませんよ。
さて、次に。
範囲が広いというのはそれまで中間や期末で別々に出てきた単元が混ざって出てくるということもあるわけで、
例えば関数のグラフと図形というぐあいに今までに習ったどの式をどう組み合わせて解けばいいのかを自分で考えなくてはいけません。
でもいきなり本番のテストでそういう問題が出てきたらかなり出来ている人でもちょっとお手上げですよね。
いろいろなパターンの問題を数多く解いてみる。たいへんですが、それしかないと思います。
慣れてくると問題を見ただけで「あ、あれね」とピンとくるはずです。でそうな問題ってだいたい毎年おんなじですからね。

そしてもうひとつ。
まわりが全く知らない人ばかりの中で受けるテストの緊張した雰囲気の中では
「こんなはずじゃなかった」「後から見たら簡単な問題だったのになぜできなかったんだろう」なんてことが当たり前。
特に自分の受ける学校が会場になっていたりする場合には是非V模擬などの会場もぎテストを受けておくことをおすすめします。
内申書の成績が相対評価から絶対評価にかわり、またテストの比重が増した今回からのような入試では、
ただ一度の本番でどれだけの力が出せるのかを知っておくことが受ける高校を決める上でも大きな道しるべとなるわけだし。
もっと勉強してから受けよう、などと言っていたらすぐにテスト当日が来てしまします。
模試を受けてはたりないところを勉強し、痛い目をみては次の模試でまた頑張る。
「はずかしい」なんておもわずにどんどんチャレンジしていく人はやがてかならず成功する。と、いうようなことは、
700年も前に徒然草で吉田兼好も言っておりますよ。

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<注>
府中工業・小金井工業・田無工業、
瑞穂農芸・農業高校なども、
来年度から5:5→6:4になります。

旧十学区以外の注目校

国分寺高校:単位制の高校にかわってより人気が高まりそう。テストと内申の比重は7:3で、
英・数・国三科は各1.5倍されるのでより比重が高い。
新宿高校もおなじく単位制に。比重はやはり7:3。
入試は5教科ですが英・数・国は自高で作成した独自の問題を使用。(理社は共通)
新宿駅南口から高島屋を通ってすぐそこです。興味のある人はぜひ一度見学に行ってみましょう。
国際高校:推薦の内申は英語が2倍で換算されます。一般入試は英数国の三科目です。人気も高く高倍率必至です。
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