序章 ご挨拶

風水と言う用語も、ここ数年すっかり我が国にも定着してきた感がある。
街の書店の占いコーナーへ行けば、風水と名の付く本がところせましと並
べられている。
数年前までは、「風水」と言うと「風水て何ですか?」と問い掛けられ、
説明に苦労したものである。しかし、最近は状況が変わって来てしまった。
よけいにやっかいな状況となってしまった。
「風水」と言うと「ああ、あれね。」と返事がよく返って来るようになった。
この「あれね。」が私が言う風水と同じであれば問題が無いのであるが、
ほとんどの場合違っているから、やっかいなのである。

近年、風水は東洋の環境学として世界的なブームとなった。それは日本
でも例外では無い。しかし、日本の風水ブームは海外のそれとは、少し訳
が異なった。それは、風水がブームとなるや、それまで気学や家相の本を
書いていた人たちが、突然に風水の大家に看板を替えて「風水」とタイト
ルの付いた本を出版しはじめたのである。

次々と、竹の子のように自称風水家があらわれ、本のタイトルに風水と
付けると売れるからであろうが、風水とは縁もゆかりも無いような占いに
まで「風水」の文字をタイトルに付け出版された。なかには陰陽五行説や
易等の占術の基礎知識すら持ち合わせないような人物さえ、風水の本を書
くような状況にいたっている。

今回、初心者向けに中国伝統風水の初学の要点をまとめてみました。
中国伝統風水には八宅派・九星派・飛星派・玄空派・奇門派・星度派等の
数多くの派がありますが、今回は、最もポピュラーでかつ初心者にも理解
しやすい、八宅派と九星派を取り上げました。その他の派についても、い
ずれホームページを通じてご紹介したいと考えております。

このテキストを読んで、これまで市販の風水書しか読まれていない方は
内容が難しく感じられる方もいるでしょう。そういう方には、これが中国
伝統の風水であることを知っていただきたいと思います。
また、逆に内容に物足りなさを感じる方もいるでしょう。そういう方に
は、今後に期待していただきたいと思います。

このテキストが、これから風水を学ぼうとする方への道標的役割を果す
ことを願ってやみません。

                              平成9年9月  黒門


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