風水とは、1口に言ってしまえば大地の気の流を看て、そしてそれを調整
を行うことによって、大地の気を活用する術である。
人間の身体には「径脈」という気の流れるルートがあり、そして径脈上に
は「経穴」と言われる重要なポイントが数多く存在することが中国医学では
認められています。
経穴は一般にはツボと呼ばれ、鍼灸・指圧等の重要なポイントであり、古武
術や中国武術では急所あるいは秘孔等とも呼ばれ、攻撃の重要なポイントで
す。つまり、経穴は使用方法によって身体を健康にしたり、逆に故意に身体
の機能を損なうことが出来るわけです。
人間の身体に径脈があるように、この地球上の大地にも気の流れるルート
が存在し、「龍脈」と呼ばれます。そして、この大地の気のルートにも人間
の身体の経穴に相当するものが存在し、「龍穴」と呼ばれます。風水とはこ
の龍脈を看て龍穴を探り、これを活用する技法のことであり、言い換えれば
風水とは大地の鍼灸術と言っても良い。
1口に風水と言っても幾つかの種類がある。
おおまかに分類すれば、風水には大地形をみる「地理風水」、死者を埋葬する
墓をみる「陰宅風水」、我々生きて生活する人間の住まいをみる「陽宅風水」
がある。
地理風水は為政者の為の術であり、中国や韓国の都の建設はこの術にのっと
っている。日本の京都(平安京)は四神相応の地とよばれる典型的な風水の好
適地で、風水によって遷都されたことがうかがえる。また、日本の東京は富士
山からの龍脈(大地の気の通り道)が幾重にも集まる、たぐいまれな風水上の
好適地だといわれる。
陰宅風水は、死者を風水上の好適地(龍穴)に埋葬することにより、その好
作用は子孫に及ぶとされる。つまり、先祖が良い龍穴の地に埋葬されるとその
子孫には良い命運をもった子供が産まれるとされ、その子孫は繁栄すると考え
られた。
陰宅風水の龍穴のなかには、例えば子孫に皇帝になるような運を持つ子供を
出すとされるものがあり、「天子穴」と言われる。明の開祖である朱元璋は、
その祖父の朱員外が財産をはたいて風水師に「天子穴」を探させて誕生したと
いわれる。
陰宅風水の例としては、中国明王朝の陵墓である明の十三陵が有名である、
この地には明王朝の歴代皇帝が眠っている。
また、日本では徳川家康の陵墓
である日光東照宮も風水上の大変良い龍穴上にあるといわれる。
かって中国では金持ちの家で死者がでると、先程の朱元璋の祖父の例のごと
く大金を払って風水師を雇い、風水の好適地(龍穴と言う)を探させた。依頼
を 受けた風水師は中国全土の山を歩きまわり、依頼にかなう龍穴を探した。
良い龍穴がみつかるまでに数年を要することもまれではなかった。
さて、近年になり風水は世界的に注目を浴びており、日本でも例外ではなく
書店には多くの風水書が並べられている。
これらの香港に発して世界的なブームとなった風水は、我々の住む家に良い
気を招き入れ悪い気を払う「陽宅風水」である。本テキストはこの陽宅風水を
解説するもである。