巒頭については、本来これを解説するだけて軽く1冊の本が書ける。
古書でも多くの図を入れて解説がされている。この巒頭を文書のみで説明する
ことは大変困難である。したがって、ここではその概略を述べるにとどめさせ
ていただきたい。
風水では、大地の気の流れるルートを龍脈と呼びます。それでは、この龍脈は
いったい何処を流れているかというと、山脈の尾根づたいに流れています。
その姿はうねうねと曲がりくねっており、その様が龍に似ていることから龍脈
と呼ばれます。
そして龍脈の起点は山脈の最も高い山の山頂にあり、これを「太祖山」といい
ます。太祖山から発した龍脈は山脈の尾根づたいに、幾つもの支流をつくりなが
ら流れ、その先に穴を結びます。つまり龍脈は太祖山から発生し、幾つもの支流
に別れ、そして終点として穴を結びます。
唐代に書かれた「撼龍経」によると、地球上の最も巨大な龍は崑崙山脈より
東西南北に4つ支流が流れているという。そのうち西に流れる流脈はヨーロッパ
のアルプス山脈にまで流れ、南へ流れる龍は台湾から東南アジアへ、西へ流れる
龍は中国本土へ、そして北へ流れる龍はモンゴルからロシアの最東端へと流れ、
かカムチャッカ半島を通って日本列島へと流れるという。
日本列島に限ってみれば、富士山は重要な太祖山であり富士山から発した龍脈
は東京の皇居付近に穴を結んでいるという。
さて、龍脈は終点において穴を結びます。しかし、龍脈は力強く曲がりくねっ
ている必要があります。勢いがなく、あるいはまっすぐに伸びた龍は良い穴は結
びません。また、龍脈の途中で再び峰をなす山頂を「少祖山」といい、龍が穴を
結ぶ直前の山を「父母山」と呼び「玄武」と言う亀に似た神獣に例えられます。
穴は大地の気が集まっている場所ですが、そのままでは気は風により散じてし
まいます。そこで山脈の末端の支流が穴を両手で庇うように、二股に分かれて伸
びると穴の気が守られます。これを「砂」と呼びます。穴からみて、左手に伸び
るのを「龍砂」、右手に伸びるのを「白虎砂」と呼びます。
龍が穴を結んでも、この砂がないとせっかく龍脈の気は風で散じてしまい凶穴
となってしまいます。また穴地は砂に守れながらも正面は開けたほうが良くこれ
を「明堂」と呼びます。
さらに「水」は気を蓄える性質があり、川や池があったほうが良く、明堂が砂
に守られ、川が明堂を囲むように流れると「砂環水胞」という大変良い地となり
ます。
さらに、龍砂・白虎砂に守れた明堂の正面に丘や小山があると、穴より遠く
やや高いものを「朝山」と呼び、穴に近く低いものを「案山」と呼び砂の1種と
なります。
この朝山・案山を鳥に似た神獣「朱雀」にたとえ、北に父母山(玄武)東に
龍砂西に白虎砂そして正面の南に朝山・案山(朱雀)の四神獣が揃う地を四神相
応の地といい、風水の典型的なモデルの良地となる。
日本の京都は、この四神相応の地であるといわれる。
すでに、四神相応のモデルの説明とともに、「龍・穴・砂・水」の用語が登場
したが、この4つの要素は風水の巒頭の見方の四大原則といわれ大変重要な原則
です。ここでもう1度、龍・穴・砂・水の原則を整理しておきます。
a.龍
龍は起伏があり曲がりくねったものが良い龍脈であり真龍と呼びます。
逆に起伏がなく真っ直ぐに伸びた龍脈は吉穴を結ばない。
b.穴
穴は龍の気が集まっている場所で、龍が真龍であれば吉穴があります。
逆に龍が真龍でなければかえって凶穴を結びます。穴は山脈が伸びて、
平地になる少し手前にあります。
c.砂
穴の生気が散じないように、左右に囲むように砂がある。
d.水
穴の生気を蓄えるために水がある、特に川が穴地を包むように流れる
のを有情といい穴の生気が蓄えられるが、逆に穴に対して反り返るよ
うに流れるのを無情といい気は蓄えられることなく漏れてしまう。
ここまで風水の理想モデルである「四神相応」や「龍・穴・砂・水」につい
て書いてきたが、これまで解説した巒頭は大局的な大地形をみる地理風水や、
吉穴に先祖を埋葬すれば子孫が繁栄するという陰宅風水の巒頭である。
山の中に住めないわけではないが、現実に私達が暮らしているのは平地であ
り、なかなか近くに起伏があって曲がりくねった山脈や、左右が山に囲まれた
環境に住むことはまれである。
したがって、これまで説明してきた原則をそのまま陽宅風水に用いることは
出きない。陽宅風水で巒頭を看るには、平地や市街地における見方を知る必要
がある。
さて、平地でもっとも注目すべきなのは水の流れである。「水」は四大原則
の1つでもあるが、山脈の龍脈を「山龍」と呼ぶのに対して、水の流れつまり
川を「水龍」と呼ばれ、平地の龍脈である。
特に水龍は財に関すると言われ、うまく水龍の気を取りいれると金銭的に繁
栄するといわれる。これに対し山龍は身分に関わるといわれる。
水龍も山龍同様に、曲がりくねったものが良く真っ直ぐなものは良くない、
水龍では「水」の見方でも書いたように、包み込むように流れるのが良く、
これを「有情」と呼び、逆に反り返るように流れると悪く「無情」と呼ばれる。
水龍が平地において重要であることは、歴史上の四大文明がすべて河川の
近く芽生えたことでも理解出来る。また、実際に東京・大阪・名古屋・福岡等
の、国内の主要都市はもちろん、ロンドン・パリ・ニューヨーク・上海・バン
コック等の世界の主要都市は、山龍あるいは水龍に恵まれた場所である。
水龍は大きくは河川から、小さくは側溝などの水の流れも含める。水龍は、
曲がりくねったものが良いが、曲がりくねっていても流れが悪かったり、流れ
が早すぎたりしても良くない、ゆるやかに流れれるのが良い水龍である。また
濁っているのも良くない。こう書くと住宅地の側溝はほとんど濁って流れがよ
くない場合が多いが、実は陽宅ではそれ以上に注目すべきものがある、それは
道路である。陽宅風水では道路も水龍としてみなすのである。道路以外にも
鉄道も水龍とみなされるが、玄関の前や家のすぐそばを鉄道が走る家はまれで
あろうが、道路は必ず玄関の前まで延びてきている。したがって陽宅にとって
道路は大変重要な要素であり、道路がどの方向から来てどの方向へ去るのかは
極めて重要である。
山龍では穴を山脈の裾に結んだが、水龍では曲がりくねった内側に求める。
つまり有情の水龍の地である、この原則は河川であれ側溝であれ、道路・鉄道
であれ同じである。しかし、仮に今水龍が有情であったとしてもそれだけで吉
作用を及ぼすわけでは無く、理気が関わってくる。羅盤を使用し、水龍の来る
方角と、水龍の去る方角を正確に測定し判断する。これは「水法」と呼ばれる。
次に砂であるが、陽宅では住宅の周囲の環境を砂とみなす。周囲の高い建物や
丘や、池や、広い土地等を砂とみる。この周囲の環境が家にどのような影響を
与えるかは、羅盤を使用し「砂法」という理気法で判断する。
「龍法」「水法」「砂法」等については、羅盤の知識が必要のため、別の機会
に説明させていただきたいと思います。
水龍同様に陽宅で重視されものに「形殺」がある。形殺は砂の一種で周囲の
建物等の形が家に悪影響を与えるものをいう。
どういったものが悪影響をおよぼすかというと、尖った形のものや光るもの
である。尖ったものとは建物の角の部分や鉄塔等の先が尖ったものをいう、光
るものとは、鏡張りのビル等である。これらは、その建物が大きくそして近い
ほど影響が出やすい。
最も典型的なのは、付近の建物の角である。この角が住居に向うものは良く
ない、特に近くの大きなマンション等の角が向くと良くない。
この形殺は見えることが条件で、間に遮蔽物があり住居から見えないものは
影響しない。また、住居の何処に向いているかも関わり玄関等に向いていると
特に悪い。
このような住居の場合、形殺の来る方角の玄関や窓に遮蔽物を作ったり厚手
のカーテンをする等のほか、「八卦鏡」という風水用の鏡を玄関や窓の外に付
けて反射する等の化殺の対応をする必要がある。
次に丁字路の突き当たりや、真っ直ぐな道路の袋小路の突き当たりも悪くこ
のような住居の場合も、門や玄関の前に遮蔽物を置いたり八卦鏡を付けたりす
る必要がある。
また、既に説明したが道路が住宅に対して反り返るように曲がっているもの
も形殺の1つである。つまり水龍の無情の地ですが、このような場合は「七星
コウ照」(コウの字は手偏に共の字)と呼ばれる石塚を龍が向かってくる方向に向か
うように建てます。