山梨の環境問題 |
1999.12.22 |
この時期になると、甲府盆地は煙のために視界が悪くなる。中央本線勝沼ブドウ郷駅の近くに「ブドウの丘」という町営施設がある。ここからは、甲府盆地が一望されるはずであるが、あちらこちらから立ち昇る野焼きの煙のために視界は悪くなり、あたかも雲海の如き風情を与えてくれる。しかし、目は痛くなり、鼻や喉の具合が悪くなるのには閉口する。燃焼生成物、例えばアルデヒド類等による刺激のためであろうが、単なる刺激で済むものではなく、もっと意味深いものがある。なお、参考までに申しますと、物を燃やした時、ごく普通に生成されるホルムアルデヒドという化学物質は、立派な発ガン性物質なのです。木酢液などにも相当量のホルムアルデヒドが含まれています。 塩山駅北東から見た甲府盆地の雰囲気と、中央本線勝沼ブドウ郷駅近くの「ブドウの丘」から見た甲府盆地の夕景とをご紹介します。風景写真としては、野焼きの煙が役に立っています。 枯れ枝の構成元素: 細胞の集合体であるから、細胞璧の中には核、液胞、ミトコンドリア等が存在し、これらには、窒素やリンが含まれるのは動物の場合と同じである。しかし、植物の枯れ枝の場合は、以下に示す成分が圧倒的に多いので、リン、窒素等の微量成分は考慮しないこととした。小生は糖度で勝負する果樹栽培者であるから、植物に甘くなるのは当然である。 セルロース(D-グルコースの重合体):C(炭素)、H(水素)、O(酸素) ヘミセルロース(多糖類):C(炭素)、H(水素)、O(酸素) リグニン(ポリフェノール化合物の重合体):C(炭素)、H(水素)、O(酸素) 燃焼雰囲気: O、N 燃焼温度は、高いところで700度ぐらい、地面に接触するところで15度ぐらいであろうか。火葬場に比べればマイルドな条件での反応である。したがって、大気の窒素が酸化されて、窒素酸化物になることは非常に少ないと思う。 C,H,Oを含む発ガン物質: データベースは、神奈川県環境科学センターが構築した化学物質安全情報提供システム(kis-net)です。 IARCグループ1(人に対して発ガン性がある): 8−メトキシプソラーレン(メトクサレン):C12H8O4 アフラトキシン:C17H12O6 ベンゼン:C6H6 酸化エチレン:(CH2)2O ジエチルスチルベストロール:HO(C6H4)C(C2H5)=C(C2H5)(C6H4)OH IARCグループ2a(人に対して恐らく発ガン性がある): ホルムアルデヒド:HCHO 酸化スチレン:CHOH=CH(C6H5) ブタジエン:C4H6 ベンゾ(a)アントラセン:C18H12 5−メトキシプソラーレン:C12H8O4 ジベンツ(a,h)アントラセン:C22H14 IARCグループ2b(人に対して発ガン性があるかも知れない): スチレン:CH2=CH(C6H5) ベンゾ(b)フルオランテン:C20H12 ベンゾ(j)フルオランテン:C20H12 ベンゾ(k)フルオランテン:C20H12 インデノ(1,2,3−cd)ピレン:C22H12 ジベンゾ(a,e)ピレン:C24H14 ジベンゾ(a,i)ピレン:C24H14 酢酸ビニル:CH3COOCH=CH2 アクリル酸エチル:CH2=CHCOOC2H5 ビニルシクロヘキセンジオキシド:C8H12O2 t−ブチルヒドロキシアニソール:CH3O(C6H3)OH(C(CH3)3) フタル酸ジ(2−エチルヘキシル):(C6H4)(C00C8H17)2 酸化プロピレン:C3H6O 2,3−エポキシプロピオンアルデヒド:C3H4O2 フェニルグリシジルエーテル:C9H10O2 レゾルシンジグリシジルエーテル:C12H14O4 バイオキシラン:C4H6O2 β−プロピオラクトン:C3H4O2 β−ブチロラクトン:C4H6O2 1,4−ジオキサン:C4H8O2 ジヒドロサフロール:C10H12O2 サフロール:C10H10O2 フラン:C4H4O 酢酸アルデヒド:CH3CHO 2−メチル−1,3−ブタジエン:CH2=CHC(CH3)=CH2 4−ビニルシクロヘキセン:C6H9CH=CH2 5−メチルクリセイン:C19H14 ジベンゾ〔a,h〕ピレン:C24H14 ジベンゾ〔a,l〕ピレン:C24H14 ナフェノピン:C20H22O3 メドロキシプロゲステロンアセタート:C24H34O4 ステリグマトシスチン:C18H16O6 予想される症状: 発ガン性、催腫瘍性、催奇形性、生殖障害、中枢神経系・血液系障害、肺催腫瘍、肺腺腫、肺浮腫、肺炎、気管支炎、肝がん、骨髄性白血病、心臓・腹腔・皮下組織・肝臓の血管肉腫、心臟・肝臟・腎臟・脾臟組織の毒変性、皮膚の刺激・紅斑・水腫・肥厚、眼の粘膜障害、嘔吐、下痢、催眠、頭痛、ぜんそく、視力のかすみ、眠気、・・・ 甲府市が野焼きの禁止を呼びかけました(山梨日日新聞2000年8月10日木曜2版社会面)。 甲府市増坪町を流れる濁川支流で環境庁が行った水質調査で、環境基準の4.7倍のダイオキシン類が検出されていたことが8月9日に分かった。県と甲府市が行った再検査では、環境基準を下回ったものの、上流の河川の底質(泥)から、周辺より極めて高い数値のダイオキシン類を検出した。原因は特定できなかったが、成分分析などから野焼きや農薬など複合的な原因との見方を強め、野焼きなどの禁止を呼びかける看板を周辺に設置するなど対策に乗り出した。 |