東海地震の「地震防災対策強化地域」に指定された山梨 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
7. 農地法の形骸化
2004.02.11
7-1 農業委員会と役場の役割 農地法が機能するか否は、地元の農業委員会が大きく関与している。 農地が存在する市町村には、「農業委員会等に関する法律」によって、農業委員会が置かれることとなっている。農業委員会は、農業委員で構成される。農業委員は、主として農家から選挙で選ばれるが、その他として、農協理事と学識経験者数名が市町村長によって指名(選任)される。また、農業委員会には、事務を行なう事務職を置くこととなっており、役場職員が当たっている。 このように、市長村長を頂点として、農業委員長、農協理事、農業委員、役場管理職等から構成される農業委員会が、村全体の農業を支配している、と言っても過言ではない。 農業委員会がなすべきこと(所掌事務)は、農地法で定められた権限の他に、農地のあっせんや争議の防止、農業や農民に対する啓蒙活動など、幅広い分野に関与することができる。したがって、農業委員会が正常に機能しなければ、農地法は形骸化する。ここで、農業委員長が農業委員会を代表するので、形骸化の責任は農業委員長が強く負わねばならない。 牧丘町の場合、農業委員の大多数は農家である。したがって、農業委員会とは、「農家の農家による農家のためだけの組織」であり、封建的な農村社会の香りを、町役場という近代的な建物のテーブル上に雑然と並べただけである。このような組織が、農村社会の頂点に立ちはだかり、近代国家の法律である「農地法」を操っている。 また、農業委員会は、町長や役場が積極的に関わる組織でもあるので、町内のいろいろな情報が細大漏らさず流入する。 農村社会には、至極便利な情報収集システムが存在するからである。牧丘町の如き封建的村社会では、住民は個人として存在するのではなく、区長とか班長とかの下に配置され、住民の言動などは、それらを経由して効率的に役場へ流入するようになっている。 このような地域において、今回のような違法工事が行なわれていることを知らないはずは無いのである。 私の「生命・身体・財産」に関する権利を脅かした、「農地の凶器化」に関する行為は、十年近くに亘って、大々的に行なわれていた。上述のように、役場及び農業委員会の情報収集能力の高さから考えて、その違法工事を知らぬはずは無い。知っていながら、黙認していたのではなかろうか。 農業委員会とは、よそ者に対しては、極めて厳しいハードルとして存在する組織であるが、農家にとっては蜂蜜のごとく甘く、時としては過大な利益をも生み出す、打出の小槌のようなものであろうか。農業委員会は、農地法を機能させるために存在するのではなく、違法行為の責任を皆で希釈し合い、時としては、それを正当化させるための儀式を行なうために存在するような気もする。 農地法に対する違反行為は、このような土壌のもとに、恒常的に行なわれてきたようである。しかし、その醜悪な姿を公衆の面前に現すことはなく、密かに処理され、知らぬ間に違法性が隠蔽される。このような歪んだ実体は、村社会の大気や土壌に静かに浸透し、連綿として次世代へ受け継がれる。 それなのに、何故、なんで、今回のケースは日の目を見たのであろうか。 答えは極めて簡単である。 よそ者の怒りが、そこに爆発し始めたからである。 よそ者の探究心が、農地法に向けられたからである。 そして、これら非生産的な怒りや探究心は、牧丘町の農地(社会環境)が産出した果実であり、健全な農地(社会環境)からは、決して生み出されることのない悲劇的かつ有害な農産物である。 参考までに、国家資格である宅地建物取引主任者の試験問題を以下に示す。過去10年間、農地法の根幹でもある第3条、第4条、そして第5条のみから出題されている。第3条、第4条、そして第5条が、農地法の根幹部に位置することを示している。まさに、本事件に関するものであり、牧丘町は農地法の形骸化に対する責任を負わねばならない。法律とは、国会において制定されるものであるので、その形骸化を放置してきた責任は大きい。 農地法からの出題
7-2 山梨県知事による原状回復命令 本件は、農地法第4条か第5条に違反しているので、山梨県知事は、農地法の違反者等に対して、原状回復(第83条の2:違反転用に対する処分)を命じたと思われる。ここで、「等」には、工事を請け負った者又は下請人を指します。 原状回復とは言っても、知事が原状を知るはずはありません。ここで活躍するのが、農地法の形骸化に強く関与してきた、役場や農業委員会でしょうか。私の感じでは、原状を誤魔化すために活躍するのではないかと疑っています。もしも、原状が現状なら、何もする必要はありませんから。めでたしめでたしですね。 原状を示す写真を示します。写真に示す赤線よりかなり下の部分が、元の農地の表面でした。 7-3 農地法違反と最高裁判決 秋田県大館市役所の平成11年12月定例会行政報告(平成11年12月1日): 「農地転用問題について」より一部を抜粋します。
最高裁判所判例集判決全文表示: ◆H14.04.05 第二小法廷・判決 平成12(あ)585 農地法違反被告事件 内容: 件名 農地法違反被告事件 (最高裁判所 平成12(あ)585 第二小法廷・判決 棄却) 原審 H12.03.30 仙台高等裁判所秋田支部 (平成11(う)24) 7-4 農地法の形骸化には行政が大きく関わっていた 行政の対応は、知事命令によって「農地(畑)への原状回復をさせる」ことでした。即ち、畑は畑、田は田へと、元の農地の状態へ回復させることが指導されたはずです。また、牧丘町・町長も県の指導に従い、「原状回復」を実行することを言明していました。 しかし、「相当な期間」が経過したにも拘らず、瓦礫、廃材などが埋まったままの状態で作業が終了(平成17年3月20日頃)したようです。元の畑も田もまだまだ数メートルも下にあり、原状回復は全く為されませんでした。私はその場所に近接して居住していますので、原状(前の状態)を良く憶えています。 何故に原状回復を為さなかったのでしょうか。頑なに、原状回復を行わない理由は何でしょうか。行政や農業委員会も深く関わっていたのでしょうか。それとも、極めて具合の悪い物でも混入しているのでしょうか。廃材等を投棄していた現場を見てきた私としては、拭いきれないほど大きな疑問と不安を抱きます。土中の廃材等は腐食・腐敗等によって地下水を汚染し、近接する田や果樹へ大きな被害を与えます。 今回の結末から考察しますと、行政と農業委員長が深く関与した状態で、農地法違反が行われたと思わざるを得ません。 「環境首都憲章」を標榜する山梨県としては、このような違法の状態を看過することは、環境汚染を推し進める結果となり、早急に是正する必要があります。 この事件は、農地法の罰則でも最も重いケースに該当します。最高裁判決でも懲役刑が確定しています。 さて、「一県民が農地法に口出しをするとは、まことに怪しからん」と思うような、不届き至極の地方公務員が存在するかも知れませんが、無法者が引き起こした農地法違反という不法工事によって、私が蒙った多大な精神的不安を考えれば、「一県民といえども、この工事に関しては、多大な関心と執念を持ち、監視し、是正させる」ために、積極的に参加したいと願います。私は、事件発生の初期段階から今日に至るまで、根気よく観察を継続しています。ここで大切なことは、村社会という封建的しがらみを全く持たないで、真実を語ることができるのは私のみなのです。 さらに周知のごとく、山梨県は、日本一とも思える素晴らしい「環境首都憲章」を世界に発信しています。長年、環境化学の研究を職としてきた私にとっては、「環境首都憲章」に対して、山梨県人より遥かに強い関心と共感を抱いています。 県民は、環境問題に取り組む主役として、大気、水質、ごみなど環境問題の現状や課題を明確に認識するとともに、それらの原因の多くが自らの日常生活に起因していることを知ることが重要です。 そのうえで環境の保全と創造のために何ができるか、何をすべきかをよく考え、地球にやさしい生活様式の確立を目指した活動を実践する主役としての役割を担います。 以上の理由により、環境汚染を引き起こす原因ともなる今回の農地法違反工事に対して、県民としての役割を積極的に果たしたいと思います。 さて、本事件(農地法潰し)の観察画像の一部を以下に示します。このような状況は、牧丘町では決して珍しいことではなく、特に私のように他所から来た人間は、その存在さえ完全に無視され、行政と一体となって行われる”無法行為の巻き添え”となって、不安・不快な毎日を過ごします。 なお、より詳細な「農地法潰し」画像もご覧ください。 さらに、行政が黙認している「環境破壊行為」の画像も掲載します。美しい画像ではありません。このような農村のために、多額の地方交付税などが使われる必要はありません。 |