旧ヘリポート

 台風で予定が変更されたりで、夜の父島母島を見る機会があった。 父島は遠くからでも強い光が満ち、島の半分がぼんやりとした光のベールに包まれているが、母島は港を出て岬を回ると、所々に単独の光が見える程度だ。 もちろん父島でも美しい夜空は広がるが、星を見るなら母島なのだ。
 その母島で星空と言えば、このヘリポートが定番だ。 都道南端のロータリーもいいと思うが、周囲の広がりという事だと、やはりペリポートという意見が多い。 満月に近い時期に行き当たることが多かったので、どちらもじっくりと星空を眺めたことが無いのが残念である。 今回も月が出るのが遅くなる時期には、雲が多くて星空が見られなかった。
 もうすっかり星座や星の名前を忘れてしまった。 ここでない場所でも眺めた星空が、別の星で眺めているかのように馴染みのない景色になってしまっていた。 小中学生の頃、夢中で星の名前を覚えて探していた。 それから何を得て何を失ったのだろうか。


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