しるべ政策研究会
 菊たみおが行く 

 日本の国土の0.6%に過ぎない沖縄に、日本に駐留する米軍の75%が集中してい る。しかも普天間飛行場は宜野湾市の市街地の真ん中に26%の面積を占めている。過 重な負担となっていることは新聞やニュウースで私たちも重々認めているはずである。 名護市の市民投票の判断は建設「容認」か「拒否」か、二つの選択肢以外に環境対策、 自然保護対策、経済振興策などであり、飛行場返還に伴って名護市に海上ヘリ基地を建 設することの是非を問う市民投票であった。結果は反対が有効投票の53.8%、賛成 同じく46.2%だった。しかし、いずれも有権者総数の過半数には達していなかった 住民投票には、もとより法的拘束力はないが『迷惑施設』である基地反対の空気が強 い沖縄で、「環境政策や経済効果が期待できるので賛成」が有効投票の三七・九%もあ ったことはやはり注目すべきところである。私は、国の安全に深くかかわる問題を、そ の地域の市民投票だけで是非を問うことが本当のデモクラシーなのか、疑問に感じるの である。選挙で市民の負託に応えた議員がいて、市民の代表として議会政治の中にいる はずなのに、判断を市民に求めている。その事が議会政治を混乱させていると思うので ある。

 一昨年北信越市議会議長会で、カナダ・アメリカを行政視察したおり、アメリカ 最大の航空機メーカー、ボーイング社の工場をはじめ2,200社の生産工場を持つ人 口53.5万人のワシントン州のシアトル市の市議会を訪問した。市議は9名でそのうち 女性7名、男性2名で、当然議長は女性である。議員1人にスタッフ2名とそのほか専 門スタッフ(法律・都市問題)が15名ついているのである。議会は毎週月曜日の午後2時 時開催し、予算の決定や、いろいろな提案があった場合は、分析し検討を行い、市民の 手助けを求め提案を具体化し公聴会を開き、市民に問う『住民投票』を行うのである。 市民がいろいろな提案を受け入れる事は、その『サービス』をどのような形で受け入れ られるか、自分達の生活に直接影響を及ぼす事であり、そのための財源的処置(目的税 の容認)を直接市民に問う投票であります。沖縄の市民投票とは、まったく根本的に違 うのである。その一面だけを捕らえて論ずるのは危険ではあるが、合法的に市・州・合 衆国の役割分担がはっきりしている。私が観た限りではアメリカは『町づくりの主体は 市町村であり』市に権限(目的のための税又は税率)を与えていることからも伺える。 サービスを平等に受けるには、平等に個人の負担がかかる事を、承知しているのである。

 又私の堀岡地域も『迷惑施設』の浄化センターを受け入れ、環境対策、自然保護対策 、経済振興策、受益者負担等、その政策に苦慮しているところである。 日本でも、地 域格差のない平等の サービスをどのように受けられるかは『地方分権』の推進が不可 欠であり、東京一極集中の中央集権型行政システムを地方分権型システムに変えること は「明治維新」、「戦後改革」に次ぐ「第三の改革」であり積極的な行政を展開してい く為には、行政の熱意と、議員の資質が問われている。

 地方分権は基本的には地域住民の自己決定権の拡充であり、あらゆる階層の住民参画 の拡大こそが国と地方公共団体との関係を是正し、転換させるため機関委任事務制度の 廃止をし、国と地方の新しい関係を持ち各々役割分担をすることが不可欠である。かけ 声だけに終わりたくないものである。・・・まだまだ『民主主義』が日本に定着してい ないのではないかと思われてならない。


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