手だけで運転


手だけで運転する装置

手動装置の写真バリアフリー車のところに
「手だけで運転する車は別のページで・・・」と書いたが、
写真と共に、私の使っている手動の運転装置の説明をしてみたいと思う。

まず左の写真は、私の運転するトヨタ・カローラに
取り付けてある手動運転装置の姿である。

私の使っている、この手動運転装置は、
「有限会社フジオート」 製のもので、
教習所時代(1979年)から慣れ親しんで使っている手動装置である。

これはコラムタイプのもので、 見てお分かりのように、右手がハンドルに、
左手はなにかを握っているように見えるだろう。
私はおおむね、こんな体勢で運転している。


右手(ハンドル部)

ハンドルグリップの写真
ハンドルグリップの写真
ハンドルグリップをはずした写真
ハンドルグリップをはずした写真

右手は、丸い「握り手(ハンドルグリップ)」が付いていて、 それを握り、片手でハンドルを操作するのである。
左の写真付けた状態(私の場合いつもこの状態であるが)、右の写真は黄色いところを押してグリップをはずした状態の写真である。

フォークリフトのハンドルもこんな感じになっているのがお気づきだろうが、 これが意外と、簡単に扱えるのである。
まあもちろん、教習所の最初からこの片手ハンドルで教習を行っていたので、そうなったとも言えるが。

ただ実際に私の最初に乗った車には、FF(前輪駆動)でパワーステアリング無しのものだったため、
ハンドルを回す重さといったら相当なもので、直進の時はそれなりに安定性があったが、
よりハンドル操作が要求される車庫入れや縦列駐車の時などは、片手で何度もそのハンドルを回すたびに、 相当汗をかいたものである。
その甲斐あってか、車庫入れや縦列・幅寄せは意外と上手くなったとも言えるが、
今の車はもちろんパワーステアリング付きで、汗をかいた事が懐かしく思う。


左手(アクセル・ブレーキ操作グリップ)

アクセル・ブレーキ操作グリップの写真
アクセル・ブレーキ操作グリップの写真
アクセル・ブレーキ操作グリップの拡大写真
アクセル・ブレーキ操作グリップの拡大写真

そして、左手はというと、アクセルとブレーキを操作するグリップで、
拡大すると分かるが、それには指先で左右ウィンカーやホーンの操作もできるようになっている。
このようにおかれた両手で、ハンドルとアクセルブレーキの操作ができるようになっている。

実際のアクセル・ブレーキ操作は、握っているものをひねったりするわけではなく、
握っているもの全体を手前に引くとアクセル、奥に押し込むようにするとブレーキとなる。
ブレーキに関していえば、前方にぶつかりそうになると、つい前に手が出てしまう・・・、
そういう人間の動作を上手く利用しているともいえる。
ちなみにライトやワイパー等は、もともと付いているものを使うが、私の場合においては、さして不便は感じない。

一時期、このコラムタイプではなく、フロアータイプ(サイドブレーキ位置から上にのびる手動装置)への 選択を考えた時期もあったが、下の理由でコラムタイプを続ける事にした。


親指でハンドルを固定している写真
親指でハンドルを固定しているところ
アクセル・ブレーキペダルの様子の写真
アクセル・ブレーキペダルの様子

左上の写真は、左グリップを握ったまま親指でハンドルを固定しているところだが、
実際に長い時間、長い距離を運転する場合、いろいろな意味で、このように出来る事は大変に助かるのである。

さて、右上のペダルの写真も載せてみたが、このペダルは手動のアクセル・ブレーキに連動している。
というよりも逆に、手動装置の方がこのペダルに機械的に連動していて、もちろん一般的な足でのアクセル・ブレーキの運転操作も支障なくできるのである(私の場合はやらないが)。


紹介した理由

このように、私が手で運転する車を紹介したのは、
実際にこういう車がある事を、知ってもらいたかったためである。
最初にも書いたが、この手動運転装置は私が免許を取った1979年から有り、
それから実に20年以上の時が過ぎている。
しかし、
こういう装置を初めて見たという人もいるかもしれない。
こうなってるのか・・・と感心された方もいるかもしれない。

皆さんに知ってもらう事が、バリアフリーの大きな一歩ではないかと私は思う。
そして、知ってくれた皆さんと共に、 バリアフリーの次の一歩が踏み出せれば・・・、
それこそが、私が望む、素敵なバリアフリーの世界だと私は思うからなのである。。。

未来のために

私はこんな感じで2005年の現在まで、状況が変わらず運転してきているが、
下肢不自由なだけでなく、上肢不自由の方にもどんどん運転できる、新しい装置の開発を進めて欲しいと思っている。
実際にはあるにはあるのだが、足でのハンドル操作の負担が大きいため、
日本ではそれを実際使っている人は少ないようである。

それこそ電動車椅子で使われだしたジョイステックタイプや、
身体の各部で操作ができるものも、どんどん取り入れて良いのではないかと思う。
しっかりとした教習体勢があれば、そういう車だって公道を走っていいと私は思う。
実際今は普通免許であっても、オートマ限定で免許をとる一般の人もいるのであるから。

日本は車の輸出大国となっているが故に、
これからの未来には、 こういう障害者用の車の開発・普及に力をもっと入れて欲しいものである。
いやもう、愛・地球博で目を見張った「アイユニット」のようなものがもう出来ているではないか。

車の未来像を考える上で、「誰も」が運転できる、その「誰も」という発想の中に、
障害を持った人も体の不自由な人も入った、根本からの車作りを私は期待するのである。




2005.6.18.記



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