はじめての事実


赤ちゃんには、成長の経過を見るために、数ヶ月ごとに検診というものがある。

いちばんはじめに受けるのが生後1ヶ月の「1ヶ月検診」

そして、「3〜4ヶ月検診」「6〜7ヶ月検診」とつづく。

 

何時のまにやら、なっちゃんも4ヶ月をむかえた。

ということで、8月4日。

炎天下の中、この検診を受けるために、”決死”の覚悟で保健所へ向かってのであった。

ほんま、暑いっちゅうねん。

当然、そこには、3〜4ヶ月検診を受ける赤ちゃんたちが集まってくるわけで...

同じ年ごろの赤ちゃんをこれだけ一度にたくさん見れる、という機会はないわけで...

ついつい、よその子を観察してしまったりする。


あの子も髪の毛多いなぁ、とか...

色白いなぁ、とか...

やっぱ、なっちゃんよりもほっぺはが大きい子はいないなぁ、とか...(;_;)

こんなのついてるなんて、男の子ってなんだか不思議、とか...(^O^)

(おむつ替えを横目でながめて)

 

「見た目」もだけど、よその子のやってることも気になったりする。

おお、やっぱりおしゃぶりするのね、とか...

抱いたら寝るのに置いた瞬間泣くのは、みんな一緒なのね、とか...

おお、寝返りできそうじゃん、とか...


とその中に、ひときわ目立つスーツ姿のお父さんがおり...

それも、お母さんの付き添いではなく、お父さん1人で赤ちゃんの検診に来ており...

そして、その赤ちゃんが、寝返りしてさらに両手をあげて「飛行機」まで出来てしまう”強者”だったりして...

お父さんと強者の赤ちゃん、いやでも目立ったりするわけで...

「すごいですね。寝返りできるんですねぇ。」

あるお母さんが話しかけた。

「ええ、いつもこんなですけど。」

「もう寝返りできるなんて早いですよね。」

「え?これって早いんですか?」

「...あ、たぶん。」

「え、そうなんだ...」

お父さん、「はじめて気づく事実」である。


龍田さんちの栞(しおり)ちゃんは、”えびぞり”の格好が大好きで、ブリッジできるんじゃないかってくらい、そっくりかえってごきげん。

「すごいね、このえびぞり。」

「そう、いつもこうなの。」

「好きなんだね、この格好。」

「うん。え、みんなんとこは違うの?え、こういう格好しない?」

「うん、あんまりこういう格好はしないけど...」

「え、しないの?え、もしかしてうちだけ?え?」

龍田さん、「はじめての事実」である。


そして

「ただ寝かせて、そのまま1人でお利口にして寝ちゃうなんてことあります?」

突然、横のお母さんに聞かれる。

「え、ないですよ。抱いて、抱いて、置いて、また抱いて、置いて...んでやっと寝るかな?」

「ですよね。」

「え、違うんですか?」

「いや、うちはそうなんです。でも、友達んとこの子は、そのまま1人で放っておけば寝ちゃうっていうんですよ。」

「え、そんなのあり?」

谷口さんも「はじめての事実」である。


そして、保健婦さんとの面接がはじまり、

「赤ちゃんには母乳だけですか?」

「はい。」

「1日の授乳はだいたい何回くらいですか?」

「9回〜13回くらいです。」

「そう、それじゃぁ、けっこうたいへんねぇ。」

「え、それってたいへんなんですか?」

またもや「はじめての事実」である。


なんせ、赤ちゃんなんて、今まで見たことあるわけじゃなし、たくさんいるわけじゃなし、わからないのだ。

しかし、

「じゃ、谷口さん。診察しますから、先生の前に来て、頭をこっちにして寝かせてくださいね。」

で、寝かせると、先生、開口一番

「まぁ、かわいいほっぺね。」

「かわいいほっぺ」...ほっぺに一番に目がとまる、ということは...

つまり、そこが特徴的でる、ということで...

それは、つまり、やっぱり、やっぱり、やっぱり...大きい、ということなのね。

「あらためて気づかされる事実」も、なかにはあったりする。

ほっぺがぷくぷく

(生後4ヶ月)