債権法改正 要綱仮案 情報整理

第17 多数当事者

7 連帯債権者の一人について生じた事由の効力等
(2) 連帯債権者の一人との間の更改又は免除

 連帯債権者の一人との間の更改又は免除について、次のような規律を設けるものとする。
 連帯債権者の一人と債務者との間に更改又は免除があったときは、その一人の連帯債権者がその権利を失わなければ分与される部分については、他の連帯債権者は、履行を請求することができない。

中間試案

8 連帯債権
 連帯債権に関する規定を新設し,次のような規律を設けるものとする。
 (2) 連帯債権者の一人と債務者との間に更改,免除又は混同があった場合においても,他の連帯債権者は,債務の全部の履行を請求することができるものとする。この場合に,その一人の連帯債権者がその権利を失わなければ分与される利益を債務者に償還しなければならないものとする。

(概要)

 本文(2)は,不可分債権者の一人と債務者との間に更改又は免除があった場合に関する民法第429条第1項と同趣旨の規律を連帯債権について設けるものである。もっとも,同項は,不可分債権者の一人と債務者との間に混同があった場合にも類推適用されると解されている(最判昭和36年3月2日民集15巻3号337頁参照)ので,これを反映させている。

赫メモ

 要綱仮案は、償還の循環を回避する趣旨で、一人の連帯債権者が更改または免除をした場合に、当該連帯債権者の権利部分についての絶対効を定める(部会資料80-3、12頁)。

現行法

(不可分債権者の一人について生じた事由等の効力)
第429条 不可分債権者の一人と債務者との間に更改又は免除があった場合においても、他の不可分債権者は、債務の全部の履行を請求することができる。この場合においては、その一人の不可分債権者がその権利を失わなければ分与される利益を債務者に償還しなければならない。
2 前項に規定する場合のほか、不可分債権者の一人の行為又は一人について生じた事由は、他の不可分債権者に対してその効力を生じない。

斉藤芳朗弁護士判例早分かり