大陸の最南端ケープタウンへ
旅の終わりの祝杯は喜望峰で
1998.5.30-7.6

喜望峰（南アフリカ・ケープタウン）	ハラレを立ち二度目のビッグフォールチョベ、オカバンゴでサファリを楽しみいよいよナミビアへエトーシャで壮絶な狩りを目撃し、ナミブ砂漠では再び砂の海に酔いしれたそして、南アフリカ喜望峰ここが長い旅の終着点ジンバブエ→ボツワナボツワナ→ナミビアナミビア→南アフリカ南アフリカ→イギリス→関空
南アフリカ『喜望峰』、ジブラルタルから３３，０００㎞地を這うような旅を続けてきた私たちの終着点だ不思議に、こみあげてくるような感動や喜びは感じなかったもっと、充実感に満たされるはずなのに、達成感があるはずなのに・・・旅を始めて１９６日目のゴールはあまりにもあっけなくやってきた＜ここで旅は終わるのだろうか？＞日本に帰れば待ってくれている人もいるし、幸いにして働き口もありそうだしかし、それでいいのか？　本当に満足のいく旅だったのか？長い旅は、自分と対峙する時間を与えてくれたもう一度自問自答を繰り返す『ＳＴＡＲＴ　ＵＰ』～旅の終わりは、次の旅の始まりだと・・・大西洋とインド洋がぶつかり合うこの岬でぼんやりとそう想いながら、肌寒い風に吹かれていた
	「グレートジンバブエ」遺跡です。独立後の国名の由来になっています。ショナ語で「石の家」の通り、巨大で広大な遺跡群です。　最後のＥコースはハラレを出発し再びビクトリアフォールをめざしました。Ｄコースではザンベジ川南側のダート道を駆け抜けましたが、今回は整備されたターマック路をひた走ります。制限速度は一般道でも１２０㎞／ｈ、ゲルトラでも１００㎞／ｈくらい出るときがあります。気温が下がってきたこのあたりでルーフシートにあがっていると身体が凍ります。でも、これが醍醐味ではあります。
ブラワヨの南部、マトポス国立公園、セシルローズの墓のあるワールドビューポイントにて。モデルは曽我さんです。実に気持ちよさそうに大地の感触を楽しんでおられるようです。　ジンバブエ第二の都市ブラワヨでは３泊しました。長い旅になると連泊はとてもうれしいものです。まずは洗濯、そして街歩き、それでも時間があれば、散髪したり読書をしたり仲間と話しをしたりしながら、ひがな一日を過ごします。ジンバブエのキャンプ場は設備も良く立地場所も便利です。こんなキャンプ場で過ごす自由な時間、贅沢な時間なのではないでしょうか？
動物孤児院のキングスクリッパー	日本に親からはぐれてしまった動物たちや傷ついた動物を飼育して、その模様をＴＶ番組として売っている人がいます。その番組を見ていて少し気になる点がありました。「動物たちの目が悲しそうに見える」ことです。親からはぐれて、あるいは怪我をしたためにこのような目になるのかなァと思っていましたが、アフリカに来てサバンナで多くの動物たちを見てそうではないなと考えるようになりました。きっと彼らは、自由に走り回れない、自由に過ごすことができない環境に対して悲しい目をしているのだと思います。もし、孤児院をでて、自由な環境が与えられれば自由に走り回ることもできるけれども、当然肉食獣の脅威にさらされることにもなるわけです。しかし、彼らの生きる場所は檻の中ではなくサバンナなのです。自由を享受する裏腹に死の恐怖は当然あるわけなのですが、彼らは喜んでサバンナへ駆け出すことでしょう。その自然の摂理を無視して都合の良いように動物を飼育するのは、人間のエゴだと思います。帰国後また彼の番組が放映されていましたが、ガイドの指示を無視してナショナルパークに降り立つ彼を見て恥ずかしくなりました。動物たちをいいように利用している偽善者にしか私の目には映りませんでした。子供たちの夢を壊さないでいただきたいものです。
さあ、２回目のビクトリアフォールです。世界三大瀑布の一つであるここは、まぎれもなくジンバブエ１の観光地です。私たちも２回で計７日をここで過ごしました。ザンビア側のリビングストンでも１泊していますから１週間以上ここで遊んだことになります。　まさに、「遊ぶ」の日々でした。ラフティングに始まりカヌーイング、ヘリコプターにマイクロライド（小型飛行機）、そしてバンジージャンプ・・・　おおよそ、水と空を使ったスポーツがここには揃っています。そのいずれもが私はやったことはないし、たとえ日本でやるとしても高価なアクティビティーばかり、それが安価に楽しめるのです。　まずはラフティングにチャレンジ、難易度５のザンベジ川それも雨季開け直後の増水期、全コースは危険らしく半分程度のショートッカットコースでした。楽しさについては写真をご覧ください。　バンジージャンプは世界最高１１０ｍを誇ります。１３５ｍの高さの橋からジャンプ！　ロープが長すぎて風に煽られ月に２～３人の死者が出るという恐ろしい環境の中、ゲルバからはＹｕｋｏさんとＣｏｏｌさんがチャレンジ。二人とも「ＮＩＣＥ　ＪＡＭＰ」の喝采を浴び鉄橋下から帰還してきました。　また、ビックフォールは観光の街なので治安も心配ありません。食事はファーストフードからホテルのフレンチまでなんでもござれです。ファイブスターのエレファントヒルホテルには、この秋に日本食レストランまでできるとのことです。ただ、どこでもこそこそしたやつはいますのでご用心。私たちは闇両替であやうく騙されそうになりました。	ザンベジ川のラフティング
	３－２－１－バンジー！飛んでる、Ｙｕｋｏさん
	日没寸前、真っ赤に輝く太陽の光の中で水と戯れる若い象（↑）（←）ザンベジ川の中洲を悠々と歩く象
ボツワナに入り、チョベナショナルパークです。ここでは車でのサファリとボートサファリを楽しみました。このあたりになってくるとナショナルパークの移動の間に街は無く、この日はビクトリアフォールから国境を越えてボツワナに入り最初の街がカサネでした。そしてこの街のロッジでキャンプしました。翌朝、４ＷＤで、そして夕暮れにはボートからのサファリです。久々に見る動物たち、ライオンもインパラもバブーンさえも新鮮に見えます。しかし、ここは「象」です。『ナショナル・ジオグラッフィクス』誌などで活躍される岩合光昭氏もチョベでは象をとっておられます。氏の写真にはおよぶべくもありませんが、夕日に映える象の姿を追ってみました。
これがモロコ船。水深が浅いので棒で水底を押し進む。	Ｃｕｂａｎｇｏ川がカラハリ砂漠に吸い込まれていくオカバンゴデルタ。ここもまた動物たちの楽園です。私たちはデルタの中洲に３泊してウォーキングを中心にサファリ楽しみました。そこまでの移動がこの「モコロ船」木をくりぬいただけのなんとも頼りない乗り物なのです。３泊４日分のキャンプ用具と食料を積み込みいざ出発。吃水線ぎりぎりまで荷物を満載した船の中には遠慮なくデルタの水が進入してきます。お尻に冷たい物が走ります。カメラという水を嫌う物を持っている私はきがきでありませんでしたが、なんとか無事キャンプ地に到着しました。帰りは防水袋で厳重に管理したことは言うまでもありません。したがって、この写真は往路の光景ということになります。
この凛々しい大型のレイ羊がＯＲＩＸ（オリックス）です。イチローのオリックス・ブルーウェイブのＯＲＩＸです。もちろん地元神戸の王子動物園にはいる訳なのですが、あまり凛々しさなんかは感じませんでした。ところが、サバンナを歩くＯＲＩＸは実に格好が良いのです。そして、レイ羊の仲間ですから、だいたいお尻を向けて首だけこちらをむけ様子をうかがうというポーズをとっていることが多いです。これがまた良い！　斑の文様といい、角の生え具合といい実に様になる動物です。ケニアあたりにたくさん生息していたらもっともっとメジャーになる器量の持ち主なのに残念です。
	「自然の摂理というのはあまりにも悲しすぎる光景」と日本経済新聞に記載されたナミビア・エトーシャナショナルパークでのハンティングシーンです。若い慣れていないライオンが狩りをしたため、一撃で致命傷を負わすことができず、内蔵まで飛び出した無惨な姿をさらしたシマウマが最後の攻防をしている光景には壮絶なものがありました。明日の命など何の保障もないむき出しの自然。けど、これが本来の姿でありありのままの姿なのでしょう。カメラをおろした瞬間、恐怖に身体が震えました。怖さでこの夜、寝ることができませんでした。「生と死」　繰り返しますが、自然の摂理というにはあまりにも悲しい光景です。
ナミビア内陸部、乾燥した赤茶けた土漠が続きます。旅もいよいよ佳境に入りナミブ大砂漠をめざし始めました。幹線道路から離れているこのあたりでは名神高速のようなダート道が延々と伸びています。２時間に１回くらいのトイレストップ以外は一日中走りっぱなしです。　さて、愛想の良い二人はケニア人スタッフのデビッドとウィルソンです。三人ともヨーロッパ人だったＡ～Ｃコースとは違い、通しのリーダーであるダグ以外はピーターやトーマスも含めてケニア人でした。彼らと出会い、暮らしを共にして、本当に気さくな明るいそしてお茶目なスタッフだと思っていました。スワヒリ語をしゃべり、現地のガイドとも旧知の仲みたいで活き活きと働いていた二人。でも、彼らの笑顔がナミビアのこのあたりまでやってくると、くすんでくるような気がしていました。何故だろう？　街を歩いていても現地人が少なくなってきています。肌の色が白い人が多くなってきています。アパルトヘイトを最近まで行っていた国、南アフリカを前にして、私たちにはわからない差別がこの荒涼とした土地に根強く残っているのでしょうか？	左がデビッドでクック担当右がウィルソンでコ・ドライバーである
	ナミブ砂漠のハイライト「ソーサスブライ」の近くです。ナミビアの海岸部に広がる広大な砂丘群。風によって美しく造形され私たちの目を魅了します。実に官能的な曲線、そして色。フィルムがいくらあっても足りません。　実は、ここナミブ砂漠の玄関口スワコプムンドでカメラ一式を盗難に遭いました。スワコプムンドではサンドバギーに乗ったりスカイダイビングに挑戦したりしたのですが、そのフィルムも盗まれてしまいました。ここまで旅を共にしてきたＥＯＳとＴ－２、悔しい思いで一杯です。上の写真から曽我さんに借りたニコンで撮影しています。
グランドキャニオンに次ぐといわれる「フィッシュリバーキャニオン」です。なかなか壮大な所ですが○○の次とか言われるとありがたみが半減してしまいます。ここはここで素晴らしいところなのですから他と較べるなんてナンセンスです。　ツアーのメンバーの大半はキャニオントレッキングに行きましたが、怠惰な私は谷底には降りずに夕焼けに焦がされる岸壁を撮ろうと大地の上で待機していました。結果、このような写真が撮れました。
Ｃａｐｅ　ｏｆ　Ｇｏｏｄ　Ｈｏｐｅ（喜望峰）	山口さんから預かった地中海の水を大西洋＆インド洋に返す大槻さん
喜望峰、本当に良い名前です。英字のCape of Good Hopeをこう訳した人に敬意を表します。旅人は端っこを好むきらいがあるようです。最○端や極地に憧れるのもその現れではないでしょうか。しかし、この喜望峰、実はアフリカ大陸最南端ではありません。本当の最南端はアグレス岬というところです。でも、喜望峰という名前でこちらが圧倒的にメジャーです。灯台があるケープポイント（写真を撮影している位置）にはケーブルカーも走っているしお土産屋もたくさんあるけど、喜望峰にはアフリカーンスと英語で書かれた看板があるだけです。この看板の前で写真をとることが、長い旅を続けてきた私たちにとっては何よりの勲章でしたし晴れがましい舞台でした。　アフリカ大陸に渡った次の朝、モロッコの田舎町で地中海の水をＡコース添乗員山口さんと汲みに行きました。その時の水を歴代！（Ｂ：菊地さん、Ｃ：長谷川さん、Ｄ：福井さん、Ｅ：大槻さん）の添乗員さんたちが引き継ぎ、とうとうこの地で海に帰すことになりました。本当に何気ない些細なことですが、みんなで一心にペットボトルの先から海に帰っていく水を見つめていました。　この「セレモニー」のあとケープ半島を周遊しケープタウンにもどり私たちの旅は終了しました。
長い旅だったという気がしていない本当に毎日毎日、何が起こるかわからなかった子供の頃の遠い記憶、遠足の前日、眠れない夜に似た「ときめき」を感じていた今日とはちがう明日が必ずやってくる迷っていたってしょうがない、悩んだってしかたがないここはアフリカ、大きな自然がそして熱い人たちがうごめく大陸自分で決めたことは歩み出さなくてはならない考えたら行動しそして感動する時間や体験を分かち得たことが共感になるそんな毎日だった・・・多くのことを学んだような気がするリーダーシップ・フォローマンシップ・メンバーシップ指示すること・協力すること・まとめあげること２４時間、時を共にするという体験の中で日頃の生活の何十倍も“人間”というものを見ることができた自分という人間も含めて・・・旅立つ前に「倉原さん自身は何も変わらないと思いますよ」と、ある人に言われた正直いってわからなかった。その言葉の奥にあることが・・・でも、旅が終わりおぼろげにわかりかけてきたような気がしている本来の自分に気がついたのだと・・・正直に自分の姿を見ることができたのだと・・・いい旅をした

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