R194(旧道)寒風山トンネル高知県側
|
『ナチュラル・ツーリング』今は休刊となってしまっているOUTRIDER誌の人気企画でした。林道ガイド的な記事ももちろんですが、寺さんこと寺崎勉氏と太田潤氏のツーリングスタイルは、当時のライダーたちに大きな影響を与えていました。もちろん、当時(87年)バイクに乗り始めたばかりの私がはまってしまったのは当然のことでした。「林道」にこだわり「野宿」をし、そしてナチュラルクッキングとビールを楽しみました。また、そのパッキングスタイルや装備にも多くの影響を受け、今に至っています。海外ツーリングに出かけたのも、寺崎さんのオーストラリアツーリーング、そして太田さんが撮影したのナラボー平原の強烈な印象があったからにほかなりません。
そんなナチュラルツーリングでしたが、四国を取り上げることが多かったように思います。また同時に人気企画でもあった『ウィークエンドラン』でも関西方面からのアプローチが容易ということで四国はよく紹介されていました。バイクに乗り始めて、ダートを走るのが楽しくてしょうがなかったあの頃、たとえ雨が降っても山野を駆け回っていた私たちでした。懐かしい想い出です。
しかし、当時はこの瓶ヶ森林道は一般車通行止めで寒風山トンネル側からの進入はできませんでした。ずいぶん前に開放されていたとはきいていたのですが、とうとう行けずじまいで全線舗装されてしまってからの走行になってしまいました。
|
神戸六甲アイランドから出航するフェリーにはよく乗りました。仕事を終えて身支度を整えて乗り場へと急ぎます。一時職場が六甲アイランドにあったころは、職場からそのまま出かけたこともありました。第一便は四国到着が未明と早いので、もっぱら九州行きで利用、何回か九州を走りました。四国に行くのは第二便、早朝松山に到着し、南へと向かったのもです。今は今治を経由するようになり、今回のような四国中央部へのアプローチはより便利になりました。しかし、寒いとはいえまだ11月です。昔であればバイクの5台や10台乗っていたものですが、減りましたね。帰省スタイルの方はいたもののツーリングスタイルましてオフは私たちだけのようでした。OUTRIDERは休刊になるし、TT−Rは絶版になるし、DJEBELもGPSバージョンは無くなるし、バイクを取り巻く状況は厳しくなる一方のようです。DJEBELはまだ3年目だけれど、もし次のマシンを考えなければならなくなったらどうしよう・・・ オフバイクの選択肢は(オンバイクはもっとかな)、極めて狭まってきたように思います。旧型のBAJAやTT−Rに乗られている方、次のマシンを思い描くことができますか? 今のマシンを大切に乗ることの方を考えてしまうようなラインナップですよね。
しかし、この景色すごいですよね。こんなところにまで道を造ってしまうのだから・・・ 四国の山深さと日本の土木技術をあらためて感じています。
|
桑瀬峠から望む四国山脈
|
瓶ヶ森林道シラサ峠から望む石鎚山
|
瓶ヶ森林道、私たちが好んでこのあたりの林道を駆け回っている頃には、石鎚山土小屋からシラサ峠までの区間しか一般には開放されていませんでした。シラサ峠まで行き、山肌に続いていく道筋を見て随分悔しい思いをしたものです。全線が開放されたという情報はずいぶん前から知っていましたし、弟はソロで走っていましたが私はとうとうこんな時期になるまで来ることがままなりませんでした。この間に、極めて魅力的であったであろう尾根筋ダートは全線舗装され、気持ちの良いスカイラインと変貌をとげていました。
この最終型のXLR−BAJAは、本当に良いバイクです。もう10年選手ですが実によく走ってくれます。世界一周21万5千qの大旅行をした荒木利行氏もこの最終型をベースに旅をしておられました。XLR・BAJA系は赤のイメージが強いけれどもこの最終型は青が映えます。写真を撮っても絵になるし、気に入っています。HONDAさん、時期のXR系は大きさをツーリングサイズに戻していただいて、できればGPSをオプションなんていうのは望めないものでしょうか?
|
かつてはダートだった長沢林道を抜けて越裏門の集落へ到着しました。石鎚山東麓、特に大森川ダム周辺は林道の宝庫です。今回は3本しか走りませんが、その気になれば一日中ダートと戯れることも可能なほど周回コースも取りやすいオフロードパラダイスです。もう何年前になるでしょうか、このあたりの林道を駆け回った頃がありました。当時は、観光などは一切目もくれずただひたすらダートを求めて走っていました。わざわざ回り道をしてでも、たとえ雨が降ってもダートを走り続けました。夕刻になり、最後に県境の峰越林道を使って瀬戸内側のフェリー乗り場に向かおうと林道を走り出しました。しかし陽が傾く頃になっても林道を走り抜くことができず、無念の引き返し、おまけに雨まで降ってきてエスケープルートにてフェリー乗り場まで急ぐことにしました。そのエスケープルートが、R439(与作)と改良前のR194桑瀬峠です。果てしなく続くかのようなぎりぎり1車線の酷道、降り続く冷たい雨、暗いオフ車のヘッドライト、山深いエリアを夜走るには最悪の条件です。それでも私たちは走り続けました。そして寒風山トンネルが現れました。瀬戸内側と太平洋側の気温の違いでしょうか、瀬戸内側から霧がトンネルをつたって流れ込んできます。トンネルに入った瞬間から数メートル先さえ見えません。まさに霧中走行です。今まで走ってきたシチュエーションと併せて、これは現実の世界ではなく夢の世界なのではないか、そしてこのまま夢の世界から出られなくなるのではないかと思えるほどの不思議な空間でした。そんな寒風山トンネルを抜けて、やっとたどり着いた麓の集落で買って飲んだホット缶コーヒーの味を今でも鮮烈に覚えています。
|
旧長沢林道・伊留谷林道との分岐
|
伊留谷林道にて、DJEBEL−GPS
|
懐古趣味の文章を書き綴ってしまっています。というのも、伊留谷林道に入ってからの景色や雰囲気が昔とちっとも変わらないからです。R194や瓶ヶ森林道は変わったけれどもこのあたりは昔のままです。
ダート走行は、走る機会が減ったからか全くだめですね。最近ではモトパンはおろか、ブーツさえ履きませんもんね。モンベルのトレッキング用のズボンとゴアテックスのシューズです。おまけに上着も冬山用を流用しています。もう、リヤタイヤを流すような走りはしませんし、足を出しながらターンすることもありませんので、この装備で大丈夫でしょう。ただ、ゆっくりと走る分(走らざるをえない腕なので)、写真を撮ったりのんびり景色を見たりすることができるようになってきました。これはこれで、面白いことです。都会での人間関係に疲れた現代人にはなによりもの“癒し”なのかもしれません。
|
この奥南川林道は、川沿いのハイスピードダートです。この手の道では、低回転でのトルクがあり立ち上がりの鋭い(単に腕が違うだけという話もあるが)XLR−BAJAにはついていけません。自分的には6速も使って結構ヒラリハラリと速く走っているつもりなのですが、前を行くXLR−BAJAのテールランプがどんどん遠ざかっていってしまいます。
今回は、瓶ヶ森林道から伊留谷林道・広沢林道・奥南川林道とつなぎ程ヶ峠旧道に出て、R194を走り新寒風山トンネルをくぐって西条へ抜けました。その後、東予でひっと風呂浴び、今治で宿泊。翌日は三原へフェリーで渡り、広島の友人(cafe berg)に寄って帰宅しました。帰りは豪雨、高速道路単調移動だから良いようなものの、少々疲れました。帰宅する頃にはすっかり雨も上がっており、からからになったチェーンにオイルをさして今回のツーリングは終了しました。
|
大森川ダムと奥南川林道
|
|
|
|
|
|
|
メインメニューヘ バイクメニューへ
|