症例:混合歯列期において前歯部の萌出余地不足が認められた症例。初診時年齢11歳3ヶ月。
大臼歯部が狭く、舌房(舌のはいるスペース)がたりないのがよくわかる。
初診時(2013年3月26日)。奥歯の位置は正常。。しかし、上顎側切歯の萌出スペースは不足、上顎中切歯は唇側。かみ合わせは深い。 | ||
初診時の上下歯列と正貌。舌はおそらく低位舌。嚥下時は下顎歯列の咬合面に乗っているのでしょう。嚥下時は臼歯はきっと噛んでいない。舌が上顎に挙上しないから歯列の横方向への発育が上手くいっていない。下顎の臼歯部には、虫歯の跡がある。 | ||
|
||
(治療中は飛ばします。)=秘密。 | ||
第2期治療終了し、保定して1年半。(2018年3月26日) | ||
|
|
|
幸せなことに、新しい虫歯は作らずに済みました。 | ||
上顎のリテーナーにスポットマーカーを付与してあります。 |
|
かみ癖は右にあるみたいです。左のかみ合わせが甘いです。 |
治療前の横顔と前歯のかみ合わせの状態 | ||
治療後の横顔と前歯のかみ合わせの状態 |
☆治療のポイント
1)初診時の写真だけ見れば,永久歯列では抜歯症例に見えるかもしれないが、この症例では小臼歯抜歯をしてはいけない。なぜなら、原因が低位舌にあるから。治療は,まず原因の除去から始めないといけない。そのためには、歯列を拡大して舌が入る場所を作り、舌のトレーニングをして、ちゃんとその機能を発揮できるように変えてゆかなければならない。(第1期治療の目的でもある。)
2)上下の歯はしっかりかみ合うことによって、ある程度は自浄作用がおこる。最初の舌側傾斜した第一大臼歯の咬合面に虫歯があったのは、この自浄作用が働らなかったからであると思う。
3)第1期治療で、正しい成長を導き出せば、非抜歯で治療できる場合があるという証拠になるしょうれいである。
4)第1期治療を終了した時点で、本人は「噛めるという意味がわかりました。」と、感想を言ってました。写真から見て、この子は右側にかみ癖がありますね。
※どんな症例でも歯列を拡大すれば非抜歯治療になる訳ではありません。最終的な治療目標を設定してやっている歯科医とそうでない歯科医との違いはあります。
※第1期治療から、成長の様子を見ながら、虫歯を作らないようにしてゆく治療ですので、時間(治療期間)はかかります。