成長と発達についてのお話

 人間は、オギャーと生まれてから、20歳くらいまでは成長を続けます。

 人間の成長パターンは臓器・器官によってその成長スピードに差があります。そういった研究のひとつに以下に紹介するHarisとSccamonの研究があります。成人(20歳)の成長量を100%とした時の各年齢における臓器・器官の成長量を表したグラフです。

  簡単に解説すると、以下です。

1)身長の伸びは一般型と呼ばれるものです。

2)生殖型は第二次性徴を通過された方ならご存じのように、初潮や射精を経験する頃に急激に大人に近づきます。

3)リンパ型は扁桃腺などリンパ組織が外敵(細菌)から身を守るために抵抗力の弱い子どもの時にがんばります。だいたい12歳頃に成人の200%(2倍)ぐらいになります。

4)神経型は、脳頭蓋の成長に代表されるものです。つまり、小学校高学年で買ってもらった帽子は大人になってもだいたいかぶれます。

 さて、歯科矯正HPでなぜこんな話をするかというと、この成長の特徴が治療時期を考えるのに重要な役割を果たすからです。

 例えば、下顎骨の成長は身長の成長と非常に密接な関係があります。身長が伸びる時には下顎骨も伸びるます。思春期成長で身長が1月に1センチメートルも伸びるときには下顎骨もすごいスピードで成長します。小学生の時はたいした反対咬合であったものが、「中学生の間にひどくなった。」というのは、よく聞く話なのです。

 で、われわれは、どうやってその成長のタイミングを知るのか?というと、答えは次のレントゲン写真なのです。

 手のレントゲン写真を撮って、分析します。成長のタイミングによっては、すぐに矯正治療を始めないこともあります。乳歯列で矯正治療をやっても無駄だと判断できる場合もあります。成人で、身長が伸びなければ、このような手のレントゲン写真を撮る必要はありませんが。

 どのような症例でもこういった検査もせずに、すぐに装置を入れて矯正治療を始めようとする人たちがおりますが、「治療をしても無駄になる時期がある。」ということを知っておいてください。

例)重度の反対咬合を成長期に治そうと考えるのは無意味です。(治療不可能な時期なのです。)→治療時期を考える必要があります。

 あと、治療時期の決定には、歯の萌出程度や完成度も考慮しなくてはいけません。歯根未完成歯を歯牙移動させる治療は基本的には推奨されません。(歯牙牽引など特別な場合もありますが。)

→次のページ(下顎骨の成長)

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