ご質問 美容外科での矯正(審美歯科の矯正も同じ内容の場合あり)


お答え    最近テレビでは美容整形による顔の変化を驚きを持って紹介する番組があります。かなりインパクトがありますから、番組としては成功なんでしょうね。美容整形自体は、容姿によるコンプレックスや差別感を解消するためには必要なものであると思いますが、その裏側もあるわけですから、治療を受ける際にはよ〜く考えてからされることをお勧めします。薬に主作用と副作用があるように、医療にも利益と不利益があります。プラスとマイナス、損と得、などとお考えください。顔貌の改善というプラス面がある反面、神経の損傷、麻酔の事故などのマイナス面もあるわけです。

 歯科領域では、歯を削って歯の位置を変える治療が多く行われております。「3日で矯正」などと女性雑誌に広告が出ていたりします。内容は、歯の神経を抜いて歯を削りまくって、人工の歯をかぶせるというものです。詳細は、私のHP(→3日で矯正)をご参照ください。歯並びが変わるというプラス面はありますが、歯が早く抜けたり、余計な痛みが出たりするマイナス面があります。

 はっきり書いておきますが、「3日で矯正」なんていうのは見てくれだけです。他のことはすべて犠牲になります。歯の寿命は短くなり、新たなトラブルを産み出すだけです。削らずにいれば死ぬまでもつ歯を、美容歯科で無理することによって10年の寿命になったら、どうしますか? 20歳でやって、30歳で入れ歯ですか? 美容歯科に行って、またコーヌ・デンチャーというバカ高い(100万円以上する)入れ歯にしますか? 年寄りの美容整形ですと、入れ歯はだいたいこのタイプになっていますね。

 反対咬合の手術は、通常の口腔外科では保険診療でやれます。美容外科でやった症例を見たことがありますが、エラを削りすぎて神経が露出してしまい下あごがしびれてしまった人や、全然噛み合わない人がおりました。神経がどこを通っているのか、噛み合わせがどういうものか、全く考慮していない治療でした。

 華やかな成功例ばかりではありません。数多くの失敗例があるんです。裁判が一番多いのもこの関連のことです。冷静に、失敗例も検討してください。「自分だけは大丈夫。」ではなくて、「明日は我が身。」なんですよ。



| Q&Aのコーナーに戻る | ホームに戻る | 3日で矯正?