口蓋裂の歯科矯正治療について

1.乳歯列(概ね6歳以前)の治療の簡単なまとめ

1)出生

 妊娠中にエコーなどで唇顎口蓋裂が判明している場合もありますが、ご両親が実態を把握するのはこの時です。動転される方もいらっしゃいますが、命に別状はありませんし、多くの場合頭の程度も問題ありません。

 まず、やらなければならないことは、オッパイを飲めるようにする事です。赤ちゃんの栄養はオッパイしかありません。これが飲めないと大きく丈夫になれません。大きく丈夫にならないと裂部を縫い合わせる手術も受けられません。

 この時には、哺乳床やホッツ床を用います。口と鼻がつながっていると口の中が陰圧になりませんので、おっぱいが飲めませんが、哺乳床やホッツ床で鼻と口とを仕切ってあげるわけです。

2)口唇形成術

 口唇の割れている部分を縫い合わせて、わからないようにする手術です。

 だいたい生後3ヶ月ぐらい、体重6kgぐらいで手術します。

3)口蓋形成術

 口蓋(上顎と鼻を仕切っている部分)を閉じるのは、1歳以降になります。

4)幼児期の管理

 ・言語の獲得=口は構音器官でもあります。表からの見た目は改善されていても、喉に機能的な問題がある場合があります。必要であれば、口蓋床やスピーチエイド、言語療法士さんの助けが必要になる場合があります。

 ・耳鼻科=鼻と耳は耳管という管でつながっています。口蓋裂の場合、この管に異常が生じやすく、結果として滲出性中耳炎が起きやすくなります。滲出性中耳炎を繰り返すと難聴になりますので、適切な治療が必要です。

 ・小児科=成長発達や他の病気の歳にはお世話になります。

 ・小児歯科=う蝕の予防から始まり、う蝕ができた場合は早期に治療してください。歯科矯正の立場からすれば、歯を使って顎の位置を変えたりしますので、歯がないと手も足も出ないのです。歯はご飯を食べるためにも重要ですが、矯正治療をするためにも大切にしてください。

 ・歯科矯正科=就学前に積極的な治療は基本的にはしませんが、今後の予定についてはご相談にいらしてくださって結構です。


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