症例:初診時年齢9歳6か月
主訴:上の一番前の歯がはえてこない。
来院までの経過:住居地近隣の歯科医院に通院中。上顎右側中切歯の萌出については、2年前より「もう少し様子をみましょう」と言われ続けているが、心配になって当院受診。
初診時:上顎右側中切歯は6〜7歳ぐらいではえる歯ですが、まだ姿が見えません。当該歯肉部分にうっすらと姿が見えます。(斜めにはえてきているようです。) |
既に第一小臼歯(前から4番目の歯)がはえてます。普通は、中切歯(一番前の歯)よりもあとにはえます。 あと、上顎の真中に過剰歯が逆方向にはえてます。 |
いろいろな方向から、レントゲン写真を撮って、治療が可能であるか、また治療の方法手順を考えます。 |
以下に萌出時期の目安の表を書いておきます。この表よりも2〜3年はえてくるのが遅かったら、
1)萌出遅延や萌出方向の異常
2)歯がない(先天欠如)
を考えてください。よくわからなかったら、歯科医院へ行って、レントゲン写真を撮ってもらえば一発でわかります。原因は色々あります。考えられる原因を取り除いても出てこない時は歯科矯正的に引っ張り出します。
歯の名前 | 萌出時期(平均) |
1.上顎 中切歯 | 7〜8歳 |
2. 側切歯 | 8〜9歳 |
3. 犬歯 | 9〜11歳 |
4. 第一小臼歯 | 9〜11歳 |
5. 第二小臼歯 | 10〜12歳 |
6. 第一大臼歯 | 6〜7歳 |
7. 第二大臼歯 | 11〜13歳 |
8. 第三大臼歯 | 17歳以降 |
1.下顎 中切歯 | 6〜7歳 |
2. 側切歯 | 7〜8歳 |
3. 犬歯 | 9〜11歳 |
4. 第一小臼歯 | 9〜11歳 |
5. 第二小臼歯 | 10〜12歳 |
6. 第一大臼歯 | 6〜7歳 |
7. 第二大臼歯 | 11〜12歳 |
※学校の歯科健診では、この萌出時期に関する項目はないため健診で指摘されることはありません。(私の担当している小学校では受診を勧めています。)
しかし、歯がはえてこないと歯の連続性が失われるわけですから、見た目的にもおかしい歯並びになるはずです。
※あと、矯正治療のできない歯科医は萌出遅延の問題に関心がありません。よって、指摘もしないし、たとえ親御さんに言われても、「もう少し様子をみましょう」と水戸黄門のようなセリフを言うだけです。上記の写真の子供さんでも「もう少し様子をみましょう。」でした。
治療終了後の写真もご紹介しておきましょう。治療期間(引っ張り出すのに要した期間は8ヶ月です。高校生ぐらいになってからいらっしゃると1年以上かかると思います。適切な時期に適切な治療をやった方が早く終わるのです。
歯肉の高さは、まだ成長期ですのでこれからそろってくる可能性があります。年齢が高いと(20歳以上)そろわなくなる確率が高くなります。ここでも治療の時期が大切になります。なるべく早い時期に手を付けたほうが早く、安全に治療できます。
下の写真は6ヶ月後のものです。歯肉の高さが少しそろってきました。
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