叢生の歯科矯正治療

☆叢生によって、どんなに悪いことが起こるか(その1)、です。

 歯並びのガタガタがあります(この状態を「叢生」と呼びます)と、その部分の歯みがきがしにくいため、歯垢がたまりやすくなります。歯垢がたまり虫歯の原因菌が増えれば虫歯ができます。また、歯周病菌が増えれば歯周病となります。

 ここでは、歯周病の症例をお見せしましょう。年齢31歳8ヶ月の女性。

初診時の口腔内下顎前歯部です。

 

下顎右側中切歯から犬歯にかけての歯肉に炎症が認められます。(赤黒くなっている部分。)

この時、歯周ポケットの深さは7oありました。(正常値は2〜3oです。)

レントゲン写真を撮ってみると、臼歯の部分はそれほど悪くないのがわかります。年相応と言って良いぐらいでした。下顎の前歯部だけが、特に怪しいわけです。

そこで、下顎の前歯部だけ小さなレントゲンを撮り直してみました。

 歯には歯冠部(歯の頭の部分)と歯槽骨に植わっている歯根部(根っこ)の部分があります。右の図で言いますと、EからCE-Jの部分が歯冠、CE-JからRノブ分が歯根となります。ちなみにCE-Jとはセメントエナメル・ジャンクションと言って、歯冠と歯根の境目という意味です。

 BとRの部分が歯根を支えている骨(歯槽骨)になります。ちなみに若い時(20歳頃)にはこの骨がCE-Jの高さまであるのが普通です。

 左の写真では、およそ55%の歯槽骨が失われていることになります。

 臼歯部の歯槽骨の吸収量がたいしたこと無いわけですから、この患者さんは歯を磨かないわけではないと考えます。また、前歯部は普通磨きやすい場所のはずです。

 ということは、下顎前歯部の叢生のせいで、歯みがきができなくて、歯垢や歯石がたまり、歯周病菌が増殖し、歯槽骨を破壊していったのでは?という推測が成り立つと思います。

 この調子で歯槽骨がなくなってゆけば、歯は何をしなくても抜けてゆくのです。歯周病の恐ろしさはかなり悪くなるまで自覚症状が無く進むことです。自覚症状が少なかったから、ここまで悪くなった訳なんですが。

 


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