叢生の歯科矯正治療TOP

 昔USAに行った時に、日本人の症例を持っていったら、叢生症例を見て言われました。「Incredible!(信じられない!)、Crazy!(めっちゃ、ひどい!)」

 アメリカ人から見ると、日本人の叢生症例はかなりひどく見えるようです。あごが小さく、歯が大きいのですから、当たり前といえば当たり前なんですけどね。

1. 叢生の原因

 上にもちょっと書きましたが、顎の大きさと歯の大きさのバランスの問題です。歯科矯正ではDiscrepancy(不調和)という単語をよく使います。「ディスクレパンシー」と読みます。

 簡単に言うと、(ディスクレパンシー)=(歯がはえるのに必要な場所)ー{歯の大きさ)です。つまり、顎の大きさから歯の大きさを引き算した結果です。

 親が八重歯であった場合、親と同じ顔の形(あごも同じ大きさ)で、歯も同じ大きさなら、子供も八重歯になる確率は高くなります。(遺伝といえば遺伝です。)

 このほかの理由としては、顎が小さい(乳歯列で前歯部に隙間がない)、あるいは歯が大きい、乳歯の虫歯を放置した、口蓋裂の術後などがあります。

2..病態

 歯が互い違いに並んでいたり、とんでもない位置にはえたりの状態を「叢生」と呼びます。

3.叢生で困ること

 生命には関係ございません。

 デコボコの歯並びですと、汚れがたまりやすくなります。すると、虫歯や歯周炎になりやすくなります。また、デコボコで見つけにくいので発見が遅れたりします。

 咀嚼能率は落ちます。(全部の歯が使えていないわけですから。) 

 上顎前突、下顎前突、開咬等があれば、その不具合を引き連れてきます。

4.治療時期

 1)乳歯列期=治療はしません。予防を考える時期です。まず、虫歯を作らないこと。あとは、良くかんで食べること。もし虫歯ができた場合は、早めに治療すること。「あとで、永久歯にはえかわるのだから、乳歯の虫歯は放っておいても良い。」なんて、ウソを信じないこと。乳歯の仕事のひとつは、永久歯のはえる場所を確保することです。虫歯で乳歯の幅が減ったり、抜かれたりすると、その後にはえる永久歯のはえる場所がなくなります。(→症例1を参照のこと。) 乳歯が不幸にして抜かれた場合は、保隙と言って、永久歯の場所を確保しておくための装置を歯科医院で入れてもらってください。(保険は効きませんが。)

☆基本的な症例

0..叢生によって引き起こされたと思われる歯周疾患

  叢生によって引き起こされたと思われるむし歯

1.第1期治療

 1)上顎第一大臼歯の遠心移動(上顎第二小臼歯の萌出スペースの獲得)

 乳歯う蝕によって、永久歯の萌出スペースが無くなっていたものを、再度獲得しなおした症例。

 2)犬歯の萌出スペース不足を非抜歯で治療した症例(八重歯になりそうな症例を非抜歯で治療)

 3)成人(永久歯列)の叢生+上下顎前突の症例

  上下左右の第一小臼歯を抜歯して、マルチブラケット法で治療しました。治療期間は、1年10ヶ月(22ヶ月)でした。

※ご意見ご希望があれば、メールください。


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