ぎいちの戯言 その55:これで「矯正治療をしました。」と、言われたら・・・
上顎の側切歯が引っ込んでいたので、ブラケットを付けて治したそうです。中学1年生、もうすぐ13歳。
上顎右側第一小臼歯が近心傾斜しながら頬側転位して萌出しています。上顎右側第一乳臼歯が残存しているため低位にあります。
上顎右側乳犬歯も残存し、下顎の右側犬歯〜第一小臼歯とは交叉咬合の状態です。この他には、下顎前歯部の叢生が残っています。
「それでは、この第一小臼歯もついでにそこで治してもらえば?」
「治療は終わったの一点張りです。」
「そんなあ!」
見た瞬間に犬歯の埋伏を疑いまして、レントゲン写真を撮りました。
悪い予感は当たりです。第一小臼歯の萌出位置異常は、実は小さな問題でして、その上に犬歯が埋伏状態です。(埋伏=骨の中にとどまって、はえてこられない状態のこと)
最初の歯科医が、引っ込んでいる側切歯だけでなく、犬歯まで含めた治療計画を建てていれば、何ら問題ない症例です。
行き当たりばったりの金儲けの矯正治療にしか見えません。(あるいは、治療の最終形が見えていない???) この治療で30万円???
この状態で転医されてこられたら、患者さんは金銭的に損をします。あまりにかわいそうですから、少しディスカウントしますけど。
治療としては、第一小臼歯をおろしてから、乳犬歯を抜歯、犬歯の部分は開窓術をしてもらって犬歯の歯冠(頭)を露出させ、歯科矯正的に牽引してゆく予定です。