’98年の感想
’98年は、特に変化が大きかった様に感じます。 特に目を引いたのは、Microsoftと司法省の争いでした。 ’98年の最大の目玉&各メーカーが待ち望んでいたWin98の出荷と絡み、色々な人が推移を見守っていたのでは無いでしょうか? その後、Intelも別件で調査され、「Wintel」とまで言われた2大企業は色々な意味で波にもまれたと思います。 司法省がMicrosoftに仕掛けた本問題は、現在も係争中ですが、Win98は予定通り発売されましたので、急速に話題性が無くなった様に感じます。しかし、これが「Wintel」の力を弱め、対抗&新興勢力を復活&勢いつかせるのに貢献したと思います。 また、蜜月状態だったWintelの関係に”?”が灯りだしたのも、今後を予想する上で難しい点でしょう。 しかし、競争が生まれ機能面でも価格面でもユーザーにメリットを与える反面、スタンダードを決め切れない状態に戻り、”先が読めない状態に進み始めた”と感じます。 まあ、普通は関係無い項目ですので、身の回りを見渡すこととします。(^^;) 個人レベルで見れば、心配する程全体的な低価格化が進んだ年と言うのが感想ですね。 #オーバークロックが一般化もしましたけどね。>これがTopだったりして(笑) この2項目とデバイス系をまとめてみます。 |
AMDの躍進
AMDは、発熱&消費電力を押さえた0.25μmプロセスのK6(モデル7)、そして「3DNow!」を含んだK6−2をPen2より低価格にて投入したことにより、全体を通してIntelに対し優勢だったと思う。 普及が心配された「3DNow!」もDirectX6でサポートされ、グラフィックチップの有名ベンダ−もドライバで対応、ソフトも確実に増えている。 #Microsoftが「3DNow!」,KNI以外はサポートしないと言ったそうで、Cyrix,IDTも独自仕 #様を諦め、準拠するそうだ。 年末には、新しいコアのK6−2を投入し、動作クロックも最高400MHzとPen2と見劣りが少なくなって来たし、懸案だったチップの歩留まりも0.25μmプロセスへの移行により改善されたみたいで、確実に歩みを続けている。 予想では、大手メーカー系=Intel,ショップブランド,自作系=AMDの関係は崩れないと思っていたが、年間を通して好調だった米国の1000ドル以下PCの売れゆきにより、IBMの採用から始まり各大手メーカーの大幅な採用に繋がった。 導入する企業の考えも「x86互換CPU」を依然程悪くは思っていない等の集計結果も出ているみたいで、台数の確保&不況の関係も色濃く出ているのだろうが、互換CPU陣営に追い風になる。 |
Intelの焦り
Intelも年始めに初めてのグラフィックチップ「i740」を市場に投入、4月にはPen2用の本命チップセット「440BX」を投入し、FSB=100MHzへの移行も進めた。 また予定を大幅に前倒ししてキャッシュレスCeleron(Covington)&L2=128KB Celeron(Mendoxino)を投入、そしてPen2 350〜450用の0.25μmプロセス,2.0V駆動のDeschutesコアをわざわざPen2 266〜333に投入して来た。 「i740」もそれなりに話題になり、「440BX」は安定を含め強みを印象付けた。 しかし、「i740」の投入はグラフィックチップメーカーの対抗意識&危機感を呼び、「3DNow!」への対応の早さに結びついた様に思う。 Intelの焦りは、CPU&チップセットの大幅な価格ダウンと、前記のCeleronの前倒し投入&初期価格に現れている。 その他にも、CPU&チップセットの4年間もの長期ロードマップの発表、ライバルの出方に対し3回ものロードマップ変更と、Intelの焦りが見え隠れする。 結局、Intelの苦境は、第七世代CPU、IA−64アーキテクチャ(Merced)の遅れ(*1)により、順繰りに投入出来たはずの別設計のCPUが2000年初頭まで投入出来ないからだ。 *1:IA−64の遅れの要因 その上、利益を上げるためにPen2にこだわって、「高性能=Pen2」,「安価&Pen2より低性能のCeleron」の区分けにしたこと。そして高性能と位置付けたPen2自身が問題点(*2)を抱え大幅な性能Upが出来ないことにより上がつかえてしまっている。 *2:Pen2の問題点 上記文は、ディスクトップ用のCPUのみを書いたが、モバイル用CPUもシェアを食われている。 結局、今の苦境はIntel自ら招いた結果で有り、この1年で巨人Intelが失ったものは大きいと思う。 |
元気の無かった他のCPU
簡単に言えば”元気が無かった。”と言うしかない。AMDがSocket7で奮闘する中、Cyrix,IDTは話題性が少なかった。 Cyrixは、National Semiconductor社に買収されたゴタゴタため、FSB=100MHzの新しいCPUを出せず、唯一良かったのは統合プロセッサが800ドル未満のPCで売れたことだけ。 IDTも動作クロックを上げれない上に、採用メーカーが少ない状況で苦戦をしている。 また、新興メーカーのRise Technology社のmP3も11月にやっとスペックをお披露目が出来たレベルで有る。 結局、Intel,AMDの2強時代になった感が有る。 |
老舗S3,帝国Matroxの衰退、nVIDIAの好調維持?、3Dfxの躍進
CPU以上に性能向上が大きく、値段が極端に下がったのがGAの分野で有った。 Intelのi740の投入も絡み、高性能化,1チップ化を進めた結果、性能up,コストdownが進み、ユーザーは喜んだと思うが、一番の激戦区となり、各GAチップのメーカーの明暗が分かれたのも事実で有る。 老舗で有るS3は、低性能のイメージが付いてしまったViRGEの名前を捨て、Savage3D(ViRGE GX3)を投入したものの、他より性能的に見劣りし有名にはならなかった。 Millenniumで長らく高性能ボードの名をほしいままにしたMatroxも、DACを内蔵化し苦手だった3D系の強化したG200チップを投入した。しかし、強化した3DもRIVA TNT,Bansheeに届かず、2Dの性能も低下してしまった。有名な画質もDACの内蔵化のためか若干落ちているような気がする。皮肉にもMillenniumIIの評価が上がったとも聞く。 RIVA 128で高性能&売れ筋の主導を握ったnVIDIAも、マイナーチェンジのRIVA 128ZX、後継モデルのRIVA TNT投入し、好調を維持した。 3Dfxは、独自仕様API「Glide」+Direct3D対応の3D専用のVoodoo2を春に投入し、圧倒的な3D描写能力を見せ付けた。この高価なカードは、一部のゲーマーにこぞって買われ、「キラーVoodoo」として他のメーカーの目標に使われた。 結果的に、Bansheeの好調さと裏腹に、ドリームキャストがPowerVR2の歩留まりの悪さに出荷数が上がらないのと対象的で有った。(笑) |
HDD:高速&大容量&低価格化が進んだATA-33,次世代のATA-66も発表
HDDの分野では、高性能=SCSI,安価=ATA(IDE)と棲み分けが出来ていたが、ATA-33の普及,低価格要求に伴い、'98後半へ来て最新技術をATAに採用するのが目立ち始めた。転送速度もHDBench等の数値で12000台をOverするATA-HDDも出だし、容量も2GBクラスは無くなり、3GB,4GBクラスもその上の5GB,6GBとほとんど値段差が無い状況になった。 元々、高精度機械パーツが主体のHDDは、容量が違ってもディスク枚数,ヘッド数で変化を付けるため、構成上ケースやモータ類には変化が無い。よって最低価格は2万円以下には下げられないみたいだ。しかし、こんな大容量、個人ユースで必要な人て、どれだけおるやら・・・ 次世代のATA-66もIntelが首を縦に振ったことにより、順次チップセットに組み込まれることが決まった。 |
CD-ROM:高速化合戦の結果、最後は48倍速まで
”32倍速が限界”と言われたCD-ROMドライブも結局は48倍速まで進化した。回転速度も10000回転に近くなり、HDDの速度を追い越してしまった。(笑) 流石に、音の問題も機構の工夫により押さえられて来ている様だ。 値段もATAPI仕様なら5000〜15000円と、HDDみたいな速度差による値段差も少なく、選ぶ楽しみの無いものになってしまった。 |
リムーバブル:DVD-RAMのつまずき,ポストFDDも見えず
世界統一規格として期待されていたDVD-RAM。 しかし、仕様の覇権争いも絡み、決して良い離陸では無かった。 更に、ドライブの配給不足や、国内発売のDVD-Videoタイトル不足も絡み、DVD-ROMを含めて低迷を続けている。 逆に、使いにくいCD−R(まあ、音楽CD作成,ゲームのコピーが目的かな・・)の爆発的普及,MOも1.3GBの”ギガモ”の発表となった。 SuperDiskで決まりかと思ったポストFDDも、他の仕様が乱立。 最後に一つ言っておきたい。SONYさん、DVD-RAMもポストFDDも、決まり掛けた仕様に対抗仕様を出すのはどうかと思うのですが・・・私の目には、覇権争いを増長させている醜いトップ企業の一つとしか見えないのですがね。(笑) |