sweet jazz & bossa  0 1

 

  「Elis Regina in London」 Elis Regina (1969)

ブラジルの歌姫、Elis Reginaがタイトル通りロンドンでレコーディングした名盤。収録されているどの曲もがソフィスケイテットされたラウンジ仕様。キュートなグルーヴA-3「Se Voce Pensa」をはじめブラジルに渡ったジャズがボサノバになり、洗練されて里帰りしたようなミクスチャ・ミュージック。ブートまがいの再発盤だけどオリジナルはムチャ高いんでいいんです。

「Sweet」 Blossom Dearie (1967)

ロンドンのジャズ・クラブ「ロニー・スコット」でのライヴ・レコーディング盤。彼女のピアノがさえるA-1「Lets go where the grass is greener」でスタート。身体が自然とスウィングする名演。ロンドンでのライヴを意識したのか、ジョージ・フェイムをとりあげたA-5「Sweet Georgie Fame」はそのタイトルとおりとってもスウィート。こんな甘く歌われたらジョージ・フェイムの目尻も下がりそうです。このライヴ収録時、すでに彼女は40歳(!)らしいのだけれど、「永遠のロリータ・ヴォイス」は健在。

  「Love Songs」 Mike Westbrook (1970)

レコードで探していたんだけど、あまりにみつからないのとかなりの高額らしいんでCDにて購入。ジャズとイージーリスニングとロックが融合したような不思議な音。グルーヴはジャズ的。そこに加わるスキャットとオーケストレイションによりメロディアスで美しい世界をかなでる。歌はないけれどその音楽はまさに「Love Songs」。ポップスと違いどこか破壤するような予感を秘めながら展開していくその曲たちはどこか悲しげな雰囲気が漂う。アルファベットが並べられた素朴ながら美しいジャケットをみるたび、いつかレコードで手にいれたいとおもう名盤。

「Marching Song Vol.1-2」 Mike Westbrook Concert Band (1970)

Mike Westbrook Concert Band名義のこのアルバムはタイトルのMarching Songと名付けられたままのマーチングソングも収録されているが、聴きどころは彼得意の叙情的なメロディの楽曲達。ジャケットに描かれている子供が描いたかのようなイラスト(まるで戦場の子供がかいたようなトラウマ的なもの。おそらくウエストブルック本人の筆によるもの)な静謐で、時に猛々しい「反戦歌」。同名義で収録された「Love Songs」のような甘さはないものの、祈りにも似た慈愛に満ちた演奏をビックバンド形式で聴かせる。恋人に。隣人に。すべての人たちに爆撃と銃弾のない静かな夜が訪れますように。ラヴ・アンド・ピース。

  「The Blue Stars」 The Blue Stars (1955)

若きブロッサム・ディアリーやルグラン姉弟が参加したこのアルバムはアメリカのジャズにフランスのエスプリを加えた素敵な仕上がり。ジャケットの8人によるコーラス・ワークはどこまでも美しく夢見心地の世界へいざなう。チャーミングなスキャットのA-5「Toute ma joie」や軽快なリズムに男女のコーラスのからみが抜群のB-1「Mister L'amour」、どこかしらユーモラスな味わいのB-5「La Danse Du Baiser」など、ルグランが在籍したThe Double Six Of Parisにも共通するヨーロッパとアメリカのジャズの幸せな融合の姿がみえる。夜景の美しいホテル最上階のカクテルラウンジでBGMにかかっていたりしたら、それだけでほろ酔いになってしまいそうなメロディ達。