まるこっち的『イン&アウト』ネタばれ解釈


なぜキャメロンはオスカー受賞の壇上で「先生はゲイだ」などと言ったのか。
その前に注目すべき点は、
この一言にはキャメロンはハワードがゲイだと知っていたという事実が隠されている、ということです。
ハワードは、キャメロンがオスカーを受賞するのを待ってエミリーと結婚しようとしました。
ここにもハワードの秘密が隠されているような気がします。

私の解釈はこうです。
キャメロンは高校生の時、ハワードに迫られていたという過去があった。
だから、彼だけがハワードがゲイだという事実を知っていたのだと思います。
でも、キャメロンはエミリーが好きだった。
つまり、ハワードはキャメロンにフラれていた、ということになります。
ハワードはエミリーからキャメロンと放課後にシェークスピアを演じていたという事実を聞いた時、
嫉妬を露にしましたが、これはキャメロンに対する気持ちから来た嫉妬だったと思うのです。

キャメロンが映画スターとなり、自分の手の届かないところに行ってしまったところで、
ハワードは彼への想いを断ち切るためにエミリーと結婚しようとしたのではないでしょうか。
つまりエミリーと結婚し、ゲイである自分を捨てて真の男になろうと決心したのです。
そうであるからこそ、自宅に“真の男になる講座”のテープなどが置いてあったのでしょう。
普通はそういうのは家には置いてないですよね。

しかし挙式直前に、ゲイのレポーターであるトム・セレック(ピーター・マロイ)にキスされてしまい、
押し殺していた感情が一気に爆発してしまったのでしょう。
それでもう嘘がつけなくなり、神の前でカミング・アウトしてしまったのではないでしょうか。

話は戻り、なぜキャメロンはオスカー受賞の壇上で「先生はゲイだ」などと言ったのか。
それは分かりません。
キャメロンにはハワードがエミリーと結婚することを知り、
ゲイに自分の昔の憧れの女性を妻にされることを妬んで発言したという悪意は感じられなかったし、
たぶん緊張と興奮から来た、スピーチの勢いだったのではないでしょうか。
高校時代のハワードとのエピソードが、何らかの形で役作りに役立ったとも考えられるので、
悪気はなく、話の流れでついつい口に出てしまったのかもしれません。
何の気なしの発言だったからこそ、その後の町の大騒ぎを知って現場に駆けつけたのではないかと解釈します。

結論
これは“ゲイに目覚めた男”のお話ではなく、
“ゲイであることを隠し、真の男として生きていく決意をしていたはずが、
ひょんなことでカミング・アウトしてしまうはめになった男”のお話だと私は解釈したのです。


でも、あくまでこれは私の勝手な解釈なので、作者の意図は違うのかもしれませんけどね。



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