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ビッグ・ヒットラッシュアワー
レ・ミゼラブルイン&アウトXファイル/ザ・ムービー
ジョー・ブラックをよろしくロスト・イン・スペースノック・オフ

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ビッグ・ヒット

メル(マーク・ウォールバーグ)は超一流の腕を持つプロのヒットマン。
しかし、お人好しの性格ゆえ、ボスのパリス(エイヴリィ・ブルックス)からもらった殺しの報酬を
仲間のシスコ(ルー・ダイアモンド・フィリップス)にまんまと巻き上げられてしまう。
フィアンセのパム(クリスティア・アップルゲイト)は週末に両親を招いてメルを紹介すると言うが、
その両親は借金返済にメルの金を当てにしているし、
愛人のシャンテル(リーラ・ロショーン)からも小遣い代をせびられる始末。
まとまった金が欲しかったメルは、シスコから持ちかけられたボスには内緒の誘拐計画に加わることにする。
狙うは大金持ちの日本人実業家ジロー・ニシ(サブ・シモノ)の愛娘ケイコ(チャイナ・チャウ)。
誘拐はなんとか成功するが、彼らの計画には大きな誤算があった。
ニシはハリウッドに夢を託して自ら製作・監督・主演した大作映画が大コケしたため破産の身。
多額の身代金要求に困り果てたニシは、友人の殺し屋組織のボスに助けを求めるが、
その人物こそがメルやシスコのボス、パリスなのであった。
パリスはすぐさまシスコを呼び出し、ケイコを誘拐した犯人を探し出せと命令する。

『ブギー・ナイツ』のダーク・ディグラーことエディを演じたマーク・ウォールバーグ主演のアクション・コメディ。
“アクションもの”と言えば、少し前に観た『ラッシュアワー』とどうしても比べてしまうのですが、
核となるストーリーの部分は、この『ビッグ・ヒット』の方が数段面白かったです。
ストーリー展開も然る事ながら、単発のギャグで笑わせる『ラッシュ・アワー』とは違い、
この作品はストーリーの流れに沿って数々の“笑い”が織り込まれているという、
私のとても好きなタイプの作品でした。
腕は超一流の冷酷な殺し屋なのに、人に好かれたいという自意識過剰ゆえに私生活に破状をきたしてしまう
主役のメルをはじめ、登場人物はそれぞれにみんな曲者。
娘を誘拐された日本人の電機メーカー社長やレンタルビデオ店の店長など、脇を固める“変な人”たちも妙に可笑しいし、
ビデオテープや逆探知装置などの“小物”の使い方が上手いのも良かったです。
製作総指揮は『フェイス/オフ』の監督ジョン・ウー。
監督は香港人カーク・ウォン。
アメリカ映画ながら、香港のアクションテイストが盛り込まれ、
『ブキー・ナイツ』でも“ブルース・リー”マニアという設定だったマーク・ウォールバーグの、
カンフーアクションも楽しめます。
アクション娯楽が大好きな人には絶対オススメです。
レベル4

でも、メルが1つ70キロはあるであろう**の入った袋を2つ、
軽々と両手に持って運ぶというシーンだけはちょっと気になりました。
いくら怪力男でも、そりゃないだろって。

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ラッシュアワー

ロサンジェルスで、中国領事の11歳の娘が誘拐される事件が発生する。
早速FBIが動き出すが、中国領事は香港にいた時に娘のボディガードをしていた
友人の刑事リー(ジャッキー・チェン)を捜査に加えてもらうよう要請する。
FBIは、香港の刑事がアメリカで捜査中に事件に巻き込まれ、何かあったら国際的な大問題になると、
リーにボディガードを付け、捜査には加えずにアメリカ見物をさせることを考案した。
そこで呼び出されたのが、ロサンジェルス市警のはみだし刑事、ジェームス・カーター(クリス・タッカー)。
ジェームスはFBIからの出動要請に大張り切りだったが、自分の任務内容を知ると愕然とする。
憮然としながら任務についたジェームスは、逆にリーに振りまわされるハメとなり、
相手が“出来る男”であることを知ると、次第に打ち解けて行く。
一方、一刻も早く少女を救出したいリーは、ジェームスと手を組み、FBIとは別に独自に捜査を始める。

アジアを代表するアクションスター、ジャッキー・チェンが初めてハリウッド映画で主演し、
98年の全米の年間興行収入第10位となった作品。
私はこれまでジャッキー・チェンの映画はほとんど観たことがなく、
すごく昔に『香港国際警察・ポリスストーリー』という作品を1度観ただけです。
だからこの映画を観て、今までのジャッキー・チェンの映画と比べて・・・・などという感想は書けないので、
普通のハリウッド映画を観たという視点での感想です。
ストーリーは極めて単純。
誘拐の黒幕に至っては、「分かった、もうやめておくれ」というような人物で、
ストーリー展開もびっくりするくらい予想通りに進んで行きます。
それでもアメリカでこれだけウケたのは、
“アクション”と“コメディ”の部分が充分に受け入れられたからだと思います。
ジャッキーの“アクション”は然る事ながら、ジャッキーとクリス・タッカーの掛け合いが面白いのです。
クリス・タッカーの喋りは『フィフス・エレメント』で完全に映画の流れを変えてしまったという
忌まわしい過去があり、今回もひとり浮いた存在になってしまうことが懸念されました。
確かに、ジャッキーが出ていない時のクリス・タッカーは飛ばし過ぎている感があります。
しかしジャッキー・チェンが絡んでくると、そうでもないのです。
つまり、『フィフス・エレメント』ではブルース・ウィルスを完全に食ってしまったクリス・タッカーに、
ジャッキー・チェンは食われていないのです。
クリスがジャッキーにカンフーを教えてもらい、
ジャッキーがクリスにブレイクダンスを教えてもらうというシーンはなかなか面白いし、
ジャッキーのアクションも含め、まずまず楽しめる作品でした。
少し前まではハリウッドで“アクション”と言えば“スタローン”だったのかもしれませんが、
スタローンもアクション映画から退いた今、アメリカにはアクションスターが不在なのでしょう。
本物のアクションをやりながら、しかも、人を笑わせることが出来るアジアの代表ジャッキー・チェンは、
世界レベルで言っても、貴重な存在なのかもしれません。
全米年間興行収入第10位というのは、ちょっと信じられませんでしたが、
アメリカ人にこういう映画がウケるのは分かる気がしました。
私的には、ストーリーがもっとしっかりしていれば、言うことなしです。
レベル3

全米でこれだけのヒットとなれば、クリス・タッカー&ジャッキー・チェンの刑事コンビで
この映画の第二弾も作られそうですね。

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レ・ミゼラブル

19世紀のパリ。
わずか一切れのパンを盗んだために19年間投獄されていた男ジャン・バルジャン(リーアム・ニーソン)は、
脱獄して教会へと逃げ込んだ。
司祭は彼が罪人だと知りながら温かい食事とベッドを与える。
しかしその恩を仇に、彼は夜中に司祭の銀のスプーンを盗み、それを見た司祭を殴って逃げ出してしまう。
翌朝、すぐに警察官に捕まってしまい、教会に連れてこられたジャンを見て司祭は言った。
「その男は私の客で、スプーンは私が彼にあげたものだ。
銀の燭台も持っていけと言ったのに、なぜ持って行かなかった」
司祭はジャンに燭台を渡すと、警察官に彼を放すように命じた。
司祭の温かい慈悲の心に触れ、心を入れ替えたジャンはその後一生懸命に働き、
人々の信頼を集めて小さな町の市長になる。
ところが、その町に新しく警察署長としてやって来たジャベール警部(ジェフリー・ラッシュ)は、
ジャンがかつて投獄されていた時、獄中を監視していた男であった。
ジャベール警部はすぐにジャンが脱獄囚であることに気づき、何とかして彼を逮捕しようと考える。

ミュージカルでもロングラン上演されてきたビクトル・ユーゴーのあまりにも有名な文芸大作の映画化なので、
“今さら”と思われる方もいらっしゃるでしょうが、私は泣いてしまいました。
小説はすごく昔に読んだきりで、細かい内容までは覚えていなかったため、
1本の映画として充分に楽しむことが出来ました。
とにかくこの映画を観ていると、自分の器の小ささを改めて感じ
“もっと寛大な人間”にならなくてはいけない気持ちになってくるのです。
観ているうちに心が浄化されてくるような気がし、“良い人間”になりたくなるような作品でした。
私は、人間は無条件で自己を犠牲に出来るほど美しいものではないと思っています。
だから『ディープ・インパクト』のような作品を観ても、
人間ドラマの部分でリアリティを感じられず、泣くことが出来ませんでした。
しかし司祭から“許すこと”を教えられた
ことで、自己を犠牲にして人々のために尽くす心に目覚めたジャン・バルジャンの姿には、
こんな私を納得させるだけの力がありました。
牢獄での“野獣のような男”であった過去を、あえて映像で見せなかったことが功を奏したのかもしれません。
そして、そんなジャン・バルジャンを執拗に追い掛けるジャベール警部には
『シャイン』のジェフリー・ラッシュが扮していますが、
これが早くも99年度の悪役大賞にノミネート出来るほどの嫌な男なのです。
“悪役”と言っても根っからの悪い奴というのではなく、“敵(かたき)役”と言った方がいいかも。
ジャベール警部には彼なりの“正義”があって、それに従っているだけのなのですが、
主人公ジャン・バルジャンの視点で観てしまうため、どうしても彼の“正義”に納得がいきません。
とにかく、徹底的に憎ったらしい。
ジェフリー・ラッシュは、『シャイン』での演技しか観たことがなかったので、
こんな憎まれ役もやるんだという驚きもありました。
それに、今まで“奇麗でスタイル抜群”という役柄ばかりしか観たことがなかったユマ・サーマンも、
小汚い身なりで死に瀕した迫真の演技をし、“演技派”でもいけることを見せつけています。
しかし、見ごたえが充分の前半に比べ、コゼットが成長してからの後半が弱い気がしました。
特にコゼットと彼女が恋する革命家のマリユスとの恋愛を描いた部分が端折りすぎなのが残念。
修道院でのコゼットの生活がほとんど描かれていないために、彼女の性格がはっきりしないままだったので、
修道院から出たばかりのコゼットがマリユスに一目で恋してしまう理由がよく分かりませんでしたし、
若い男性と接触した経験がない彼女が、突然近づいてくるマリユスに対して
全く警戒心を見せないのも変な感じでした。
これほどの大作を、これほどのスタッフとキャストを集結して作った作品なのだから、
端折って2時間13分に集約することはせず、
3時間くらいかけてもじっくり見せて欲しかった気がします。
レベル4.5

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イン&アウト

インディアナ州の田舎町の人気者の高校教師ハワード・ブラケット(ケビン・クライン)は、
3年間交際した女性エミリー(ジョーン・キューザック)との結婚を3日後に控え、
申し分ない生活を送っていた。
その夜はアカデミー賞の授賞式。
今年は、ハワードの教え子キャメロン・ドレーク(マット・ディロン)がゲイの兵士役を演じた映画で
主演男優賞にノミネートされている。
小さな田舎町から出た映画スターの晴れ舞台に町中は湧き、
ハワードとエミリーや町中の人々が固唾を飲んでテレビに見入る中、
キャメロンは見事にオスカーを射止めた。
しかし何を思ったのか、受賞スピーチの壇上でキャメロンが、
「恩師であるブラケット先生に感謝します。彼はゲイです」と言ったのだ。
唖然となるハワードとエミリー。
「どういうことなの?」と問いただすエミリーに、ハワードは全く身に覚えがないことだと言うが、
翌日から生徒や町の人々のハワードを見る目は一変する。
その上、ハワードは学校に押し寄せたマスコミにも追いかけられ、小さな町は大騒ぎとなる。

97年に全米で大ヒットしていた頃から、ずっと注目していた作品でした。
予告編も最高に面白く、高まる期待の中ようやく念願かなって観ることが出来ました。
確かに予告編の出来があまりにも良すぎて、そこで面白い部分を見せすぎている感もありましたが、
それを除いても、私はこの作品はとても面白かったと思います。
本物女優のウーピー・ゴールドバーグやグレン・クローズまでもを使い、
アカデミー賞をネタに本物男優の悪口まで言わせてしまうところや、
キャメロンの受賞作品『ゲイに生まれて』が『フォレスト・ガンプ』のパロディだったりして、
アカデミー賞を完全に小馬鹿にしている“毒”の部分が、大笑い出来るものではないのですが面白いのです。
ケビン・クラインのギャグの間合いも最高ですし、
本物アカデミー賞の助演女優賞他、多数の映画賞を受賞したジョーン・キューザックの演技も絶妙。
特にケビン・クラインは『アイス・ストーム』での重苦しい演技が記憶に新しいだけに、
この作品の役柄が想像以上にハマっていたことに驚きました。
しかしこの作品、1時間30分という短めのコメディでありながら、とても奥が深いものがあると感じました。
キャメロンが何故オスカーの壇上であんな発言をしたのか、物語上では明らかにされません。
それ以外にも、“何故”が明らかにされない点がいくつかありますが、そこがポイントだと思うのです。
この作品には、それを想像させるヒントがいくつも隠されています。
私は、あの町で過去にあった出来事からその“何故”を想像してみて、
おもわずニヤリとしてしまったのです。
レベル4

まるこっちのネタばれ解釈

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Xファイル/ザ・ムービー

ダラスの連邦ビルでテロリストが爆弾を仕掛けたという連絡を受け、
FBI捜査官フォックス・モルダー(デイビッド・ドゥカブニー)と
ダナ・スカリー(ジリアン・アンダーソン)は同僚たちと爆発物の捜査に当たっていた。
しかし、連邦ビル内では爆弾は発見されず、連邦ビルの向いのビルの自動販売機室で、
偶然モルダーが自動販売機の一つに10ガロンもの量の時限性液体爆弾が仕掛けられているのを発見する。
爆発まで僅か14分。
モルダーとスカリーは大至急、ビル内の全ての人に緊急退去を命じた。
駆け付けた爆弾処理担当のFBI捜査官ミッショー(テリー・オクイン)をひとり残し、
モルダーたちは現場を離れるが、何故かミッショーは爆弾には手をつけず、
結果、ビルは大音響と共に半分を消失してしまう。
このビルの爆破事件で、ミッショーの他に4人の死体が発見されるが、
その4人とは3人の消防士と1人の少年だった。
そして、彼らは爆破以前にすでに死亡していたということが分かった。
その死体の存在に疑問を抱いたモルダーとスカリーは、何者かに命を狙われながら、
この事件の裏に隠された大きな陰謀に臨んで行く。

製作側はTVシリーズを観ていなくても楽しめる作品と言っていましたが、果たしてそうでしょうか。
私はTVシリーズはセカンドシーズンの途中まで観ていたので、ストーリーのおよその輪郭は分かりますし、
その程度の予備知識があれば充分に理解出来る作りになっているとは思います。
しかし、この映画版は全くTVシリーズを観ていない人には分からないでしょう。
『Xファイルシリーズ』でいちばん不可解で難解な宇宙人と政府の陰謀がらみのお話が、
この映画のメインテーマとなっているからです。
TVシリーズのファンの人には、誰が味方で誰が敵なのかが良く分からない状態で引っ張っていく、
そんな謎めいた部分がこの作品の面白さなのだと思いますが、
初めて観た人にはさっぱり分からない展開だと思います。
例えば、あのワクチンをモルダーに手渡した人物は、一体何者なのかというようなことです。
モルダーの味方を名乗った人物を“邪魔者”として殺した上で、
モルダーとスカリーを助けようとするのですからね。
しかも、彼はその行動を起こすための明確な理由が分からないまま、姿を消してしまいます。
これでは、初めて観た人は「???」という状態になってしまうでしょう。
映画ならではのお金の掛け方をしていますが、ストーリーも演出も雑過ぎ。
だいたい冒頭の爆破シーンは何だったんでしょう。
後半で見せる、あんな大規模な施設を持っていながら、
わずかな証拠を隠滅するためにビルを爆破するなんて全く無意味に思えます。
“奴ら”は、モルダーが爆弾を発見することを読んでいたかのように、
秒単位で周到な爆破計画を実行しています。
そんなの、どう考えてもおかしすぎるでしょう。
だって、仮にあそこで爆弾を発見していなかったら、一体どれだけの人命が奪われていたのでしょうか。
それだけの犠牲を払っても、それを実行する意味は感じられないし、
あの場に残った爆弾処理の捜査官ミッショーについても、
それだけのことをしなければならなかった理由が分かりません。
私は少しはTVシリーズを観ていたので、それも『Xファイル』の特徴だということは分かりますが、
1本の独立した映画という観点で見れば、説明が不十分過ぎます。
何日も昏睡状態だった人や、冷凍保存されて仮死状態だった人が、
目覚めた直後からいきなり走り回るのも変な話だったし、怪我もいつの間にか直っています。
スカリーが寝てる時までばっちりメークをしてるのにも驚きましたし、
素っ裸だったスカリーが次のシーンでは服を着ていた・・・なんてのもありました。
テレビなら、それくらいは“ご愛嬌”で許されるかもしれませんが、
お金を取って客を呼ぶ映画では、その雑な作り方は許されないでしょう。
この映画は、あくまでTVシリーズファンのために作られた、
TVシリーズを次のステップに進めるための作品だったと言えそうです。
お金だけかけてありますが、テレビドラマの枠は抜けてはいませんでした。
レベル2

私はTVシリーズでも、宇宙人と政府の陰謀が絡んでいないお話が好きなんですよ。
『氷』とか『スクィーズ』とか。
単発でやるのなら、そういうのをやって欲しかったですね。

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ジョー・ブラックをよろしく

65歳の誕生日を目前にしたマンハッタンに住む大富豪パリッシュ(アンソニー・ホプキンス)のもとに、
青年の姿をした死神(ブラッド・ピット)が現れる。
彼は人間に興味を持ち、パリッシュを迎えに来たついでに人間界を見物して行くと言うのだ。
交通事故に遭った青年の姿を借りたというその死神は、ジョー・ブラックと名乗り、
パリッシュにわずかな“生”の時間を与える代わりに人間界の案内役を務めさせる。
だが、死神が体を借りた青年は、事故に遭う直前にパリッシュの娘スーザン(クレア・フォラーニ)と出会っていた。
父の片腕として働くドリュー(ジェイク・ウェバー)と婚約しながらも、その結婚に迷いを持っていたスーザンは、
コーヒーショップで偶然出会ったその青年に心を惹かれていたのだった。
スーザンは自宅に突然現れた彼の姿を見て驚き、ジョーがその時の青年と思い込んで恋に落ちる。
そしてジョーもまた、スーザンの甘い誘惑に心を奪われ、人間界の恋の喜びを知ってしまう。
しかし、いずれは自分の世界に帰らなくてはならないジョーは、パリッシュと共にスーザンを連れて行こうと決心する。

『シティ・オブ・エンジェル』では“天使”のニコラス・ケイジが人間の女性に恋をし、
永遠の命を捨てて、彼女と共に生きようと人間になろうとしました。
この『ジョー・ブラックをよろしく』では、“死神”のブラッド・ピットが、やはり人間の女性に恋をし、
逆に彼女を自分の世界に連れて行こうとします。
やはり、これは“天使”と“死神”がそれぞれに持つ、根本的な精神の違いなのでしょうか。
いずれにしても、どちらかといえばニコラスが“死神”、ブラピが“天使”と言われた方がしっくりくるものを感じるのは、
私だけではないでしょう。(ニコラス・ケイジのファンの人、ゴメン)
『デビル』では冷酷なテロリストを演じ、『12モンキーズ』ではキレた演技を見せてくれたブラッド・ピットが、
初めて本格的なラブ・ストーリーに挑戦したという、この作品。
でも甘々のラブ・ストーリーとは一味違い、“死神”という役をコミカルに演じているところに、
イメージに固まりたくないというブラピの“役者としての自分”へのこだわりを感じました。
とは言え、この映画のブラッド・ピットは、とにかく素敵!
今まで彼の映画を観ても、それほどグッとくるものは感じなかったのですが、初めて彼に見とれてしまいました。
でも、それだけ。
“恋愛”というネタだけで3時間という長丁場に一抹の不安はあったのですが、その嫌な予感は的中してしまいました。
物語は最初はとても面白いのです。
ブラピ扮する青年が自動車にはねられてしまうシーンは衝撃的ですし、
その青年の体を借りた死神が、ジョーと名乗ってパリッシュの屋敷を徘徊するシーンは滑稽で、かなり笑いました。
でも、ゆったりとしたストーリーの流れがだんだん退屈になってきて、中盤は急激に眠気に襲われてしまいました。
後半でなんとか持ち直したものの、あのヘンテコなラストシーンで、私は怒り爆発です。
だいたい冒頭で見せた、あの青年が自動車にはねられる衝撃的なシーンは何だったのでしょう。
体を借りるだけなら、生きてる青年に乗り移ればいいのに。
あのラストなら、青年は自動車にはねられる意味は全くなく、全てが解せなくなってしまったのです。
それに、解せないといったらやっぱりラストのスーザンの態度でしょう。
ジョー・ブラック役が美しいブラッド・ピットだから、3時間の浪費もかろうじて許せますが、
これを美しくない俳優がやっていたら、きっと私は暴れていたでしょう。
そんなオチです。
まさしく“麗しのブラッド・ピット様”を観るためだけの映画です。
レベル2(ブラピじゃなかったら、レベル1です)

大体「ジョー・ブラックをよろしく」なんて、誰が誰に言った言葉なんでしょう。
もしや、配給のUIPが観客の皆様に言った言葉?

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ロスト・イン・スペース

2058年、地球は資源不足のため崩壊寸前だった。
人類は生き延びるために新たな惑星“アルファ・プライム”に移住することを計画するが、
その星を調査するためのモデル家族として、科学者ジョン・ロビンソン(ウイリアム・ハート)が
家族らと共に宇宙へ旅立つこととなった。
しかし、反乱軍のスパイ、ドクター・スミス(ゲイリー・オールドマン)の策略によって宇宙船は破壊され、
彼らは地球を旅立ってまもなく、宇宙軌道を外れて迷子になってしまう。
そして孤立無援で途方に暮れるロビンソン家族に、追い打ちをかけるように様々なトラブルが巻き起こる。

テレビドラマシリーズ『宇宙家族ロビンソン』のリメイク。
元ネタを良く知らないので、リメイクとしての出来については触れませんが、
1本のSF映画としての感想は、あくまで健全な少年向けムービーなのだな、というところ。
一応ロビンソン一家の暗殺を企む悪役ドクター・スミスに、
悪役やらせたら彼の右に出る者はいないと言えるほどのキレ俳優ゲイリー・オールドマンが扮しているのですが、
その悪役ぶりも、今までのものに比べればゼンゼン生ぬるいもの。
“ただのドジな反逆者”という感じで、いつもの憎々しい彼の演技は見られません。
CG技術を駆使したSF的表現が見どころなのでしょうが、
これだけ巷にSF作品が溢れていると、それも目新しいものには感じられなかったし、
ストーリーもお子様向けで、なんだか単純。
ロビンソン一家が敵を前にしてもあくまでも“いい人”で、“毒”が全くないのもお子様向けっぽいです。
大人の私が楽しめたのは、ロビンソン家の長女ジュディと
彼女の存在を気にするダン少佐の絡みのシーンぐらいかな。
子供には分からないであろうと思われるあのユーモアセンスは好きでした。
いずれにせよ、大人には少しもの足らないと思われるこの作品、
だからと言って、字幕付で2時間11分というのは日本の子供にはちょっとキツいのでは。
でも、退屈はしなかったので・・・・。
レベル3

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ノック・オフ

中国返還を数日後に控えた香港。
人力車レースに参加していたレイ(ジャン=クロード・ヴァン・ダム)と
相棒のトミー(ロブ・シュナイダー)は、他の参加者がロシア人の車に拉致されるのを目撃し、
レースを投げ出してロシア人たちと格闘を始めるが、
それは警察を巻き込んでの銃撃戦に発展してしまう。
その際、死んだ犯人が元KGBだったことからレイとトミーは警察の取り調べを受け、
やがてレイはロシア人組織の絡む、巨大な陰謀に巻き込まれていく。

特に観たかった訳ではありませんが、観たかった作品と二本立てで上映されていたので、
何となく観てしまいました。
ツイ・ハーク監督&ジャン=クロード・ヴァン・ダム主演コンビの作品なので、
前作の『ダブル・チーム』のイメージでどんな作品かはおよその予想はつき、
全く期待はしていませんでしたが、案の定ひどい作品でした。
この作品は“アクションコメディ”だと思います。
冒頭の“人力車レース”のシーンなんて、ばかばかしいの一言。
例えばこれを三枚目顔のジャッキー・チェン主演でやっていれば、
それなりに楽しめたのかもしれませんが、
二枚目気取りの肉体派俳優、ジャン=クロード・ヴァン・ダムが主演じゃ、
真剣にやっているのか笑わせようとしているのか、全く分かりません。
どんでん返しの繰り返しのストーリーは徹底的にくだらないし、
派手な爆発のシーンも無意味に多すぎて、もういいって感じ。
大金をかけた超B級映画ですね。
レベル1

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