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ホワイトハウスの陰謀デビルスノー・ホワイト
エル・スール −南−地球最後の日フォー・ウェディング
ロスト・ハイウェイスクリームGO NOW恋する泥棒

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ホワイトハウスの陰謀
1997年・アメリカ

ホワイトハウスで官邸内職員の若い女性が殺された。
直ちにリージズ刑事(ウェズリー・スナイプス)が現場入りするが、
官邸内の不祥事を内密に片づけたい警備主任は、捜査に非協力的だった。
リージズは、美しきシークレット・サービスのニーナ(ダイアン・レイン)をパートナーに、
検察局の厚い機密に阻まれながらも独自に捜査を進めて行く。
やがて被害者に交際を迫っていた清掃員が逮捕されるが、リージズは納得がいかなかった。
リージズは独自の捜査から、被害者が大統領の息子と関係を持っていた事実をつかみ、
彼が醜聞暴露を恐れて彼女を殺したと確信するが、彼は犯人とは利き腕が違っていた。
リージズとニーナは更に捜査を進めて行くうち、
この殺人事件の裏に大統領にまつわる大きな陰謀が隠されていることを知る。

ウェズリー・スナイプスとダイアン・レインという、地味なキャスティングの割には面白いサスペンスでした。
ニーナが射撃の金メダリストの腕を買われて女性ながらにシークレット・サービスに抜擢された、
という設定も面白いですし、ストーリーの中でもその設定が生かされています。
それでいて、彼女が“シークレット・サービス”という立場を忘れないシーンもちゃんと用意されていて、
なかなか良く出来た脚本だったと思います。
ただ、ラストで犯人があまりにもあっさりと認めてしまったのが残念。
もうちょっと誤魔化したり、ゴネたり、うろたえたりして欲しかった気がしました。

レベル4

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デビル
1997年・アメリカ

8歳の時、IRAのシンパだった父親を目前で警察官に殺されたフランシスは、
IRAのリーダー格の冷酷なテロリストに成長した。
彼は武器の調達のため、ローリー(ブラッド・ピット)という偽名でNYに渡り、
IRAシンパである判事の紹介で、NY市警察官トム(ハリソン・フォード)の家に下宿する。
トムは妻と3人の娘たちと穏やかで幸せな生活を送っていた。
トムはローリーの正体を知らないまま、彼を純朴な青年として家族同様に迎えるのだった。
しかしローリーが起こした武器調達によるトラブルで、トムの家が何者かに襲われ、
それによってトムはローリーの正体を知ることとなる。

ハリソン・フォードとブラッド・ピットの2大スター共演という話題性の割には、
この作品は上映当時からあまり評判が良くありませんでした。
私自身も劇場に観に行ったことはいいのですが、小難しい話が退屈で4分の3くらい寝てしまいました。
今回改めてビデオでこの作品を観て思ったことは「何がそんなにつまらなかったんだろう」ということ。
全然退屈ではなかったし、むしろ面白かったという印象を残しました。
確かにテーマは重く「娯楽」と簡単に呼べる作品ではありません。
でも子供の頃、IRA狩りをしていた警察に父親を目の前で殺された恨みからIRAのリーダー格に成長した青年が、
自分をIRAの人間だと知らずに好意にしてくれた「敵」であるはずの警察官に父親の面影を見てしまったり、
また、その警察官も一緒に過ごしているうちにその青年に情が沸いてきたにも関わらず、
お互いの使命を守るために戦わなければならないという心の葛藤は、見ごたえのあるものでした。
私自身が最近IRAものや、その他の紛争ものを色々観るようになって、
今まで何も知らずに何気に観ていたその背景や情勢が、映画を通して少しずつ把握できるようになってきたからこそ、
この作品が面白く感じられるようになったのだと思います。

レベル4

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スノー・ホワイト
1997年・アメリカ

16世紀のドイツ、母親の死と引き換えにこの世に生を受けた7歳の少女リリーは、
父・フレデリック・ホフマン男爵(サム・ニール)の愛情を受け、幸せに暮らしていた。
ある日、フレデリックが再婚相手としてクローディア(シガニー・ウィーバー)を妻に迎え入れるが、
リリーは新しい母親になじめず、クローディアもまたリリーに嫌悪感を抱いていた。
9年後、16歳になったリリー(モニカ・キーナ)は、美しい娘に成長した。
そんな彼女に嫉妬心を募らせていたクローディアだったが、
フレデリックの子供を流産したことをきっかけに、彼女への気持ちは憎しみに変わり、
弟グスタフに彼女を殺すように命じる。

グリム兄弟の名作童話「白雪姫」を、原作に忠実に映画化したという作品。
これには童話で描かれているファンタジー色はほとんどなく、残酷なホラーとなっています。
これが本当の「白雪姫」なら、今まで聞かされていた「白雪姫」は
一体なんだったんだろうというくらいのショッキングな作品です。
あえてネタばれを書きましょう。
父親は事故に遭って瀕死の状態の妻の腹を割き、娘のリリーを取り出します。
そんな忌まわしい出生の秘密を持った美しい娘リリーは、嫌いな継母クローディアに逆らい続け、
リリーのせいでクローディアはようやく身ごもった子供を流産し、二度と子供の産めない身体になってしまいます。
その恨みからクローディアはリリーを殺そうと決意、
追われたリリーは森へ逃げ込み、7人の親切な小人ならぬ7人の野卑な浮浪者と出会います。
リリーには医者のフィアンセ・ピーターが居ましたが、彼はクローディアに誘惑され、チューしてしまいます。
そんなピーターを知ってか知らずか、リリーは7人の浮浪者のうちの一人ウィルに惹かれていくのです。
やがて老婆に化けたクローディアに毒リンゴを食べさせられたリリーは、心臓を止められてしまい、
ピーターはようやく探し出したリリーが死んでしまったと知り、穴を掘って埋めようとします。
それを止めたのがウィルで、リリーは彼の手によって生き返ります。
そのあと屋敷に戻ったリリーとピーターをウィルが追い掛け、3人でクローディアに立ち向かうのですが、
ピーターはクローディアの手によって、あっけなく殺されてしまいます。
結局、リリー自身がクローディアの息の根を止め、ウィルと見詰め合ってにっこり。
・・・・すごい話です。王子様なんて出てきやしません。
情けない医者のフィアンセが出てくるのですが役に立たず、
白雪姫は小人のうちのひとりとデキちゃうんですから。
ホラー映画としての出来はともかくとして、「真実の白雪姫」のストーリーを知っただけでも収穫でした。

レベル3.5

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エル・スール −南−
1983年・スペイン/フランス

寒い北の町で暮らす少女・エストレリャは、父親の故郷である南の町に思いを馳せていた。
父親は、エストレリャの祖父にあたる自分の実父と折り合いが悪く、
故郷を捨ててから一度も帰郷したことがないという。
ある日、エストレリャは父親の机の引き出しに
“イレーネ・リオス”という女性の名前の走り書きを見つける。
エストレリャは、父親の心の中に母親以外の女性が住んでいることを直感するが、
それは自分の胸の中だけにしまっておいた。
それからしばらくして、エストレリャは学校帰りに映画館の前に貼ってあったポスターに
“イレーネ・リオス”の名前があるのを発見する。
“イレーネ・リオス”というその金髪の美しい女優は、
故郷に父親が残してきた昔の恋人だったのだ。

とても評価の高い作品なので観てみたのですが、正直言って私には分かりませんでした。
父親の“孤独”を少女の目を通して描いた作品なのですが、
父親の気持ちも、少女の気持ちも、私には伝わって来ませんでした。
全編を通して、成長した少女が過去を顧みる口調での“語り”で構成されているのも、
気持ちが入りにくかった要因だったと思います。
良い作品なのかもしれません。
私が“見る目”を持っていないだけなのかもしれません。
でも、私にとっては面白い作品ではありませんでした。

レベル2

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地球最後の日
1951年・アメリカ

南アフリカの天体観測所で、地球に急接近しているふたつの惑星が確認された。
観測所の博士の命を受けて、情報の運び屋・ランドールはニューヨークのヘンドロン博士の所へ飛ぶ。
ヘンドロン博士は、このふたつの惑星が1年以内に地球に最接近すると予測する。
まず地球並みの大きさの“ザイラ”が接近することで津波と地震が起こり、
次に地球の12倍もの大きさの“ベラス”が衝突し、全ての生物は死に絶えるというのだ。
各国の首脳を集めた会議で博士はその予測を力説し、
人類の歴史を絶やさぬために“ノアの箱船”である宇宙船を作り、
わずかな人間だけでも人類が生息出来る可能性のある“ザイラ”へ移住させることを提案するが、
その案はおろか、惑星衝突が人類を滅亡させるという予測さえも嘲笑されてしまう。
アメリカ政府に予算をもらえなかった博士は、その計画に賛成する資産家に費用を出してもらい、
完成した宇宙船に抽選で乗れる権利を条件に、
600人の男女を集めて独自に宇宙船の建造に取りかかった。

「ディープ・インパクト」の原点ともいえる作品、と謳われていたので観てみました。
「ディープ・インパクト」がこの作品のリメイクだと言わないのなら、
“パクリ”ではなかろうか、と思うくらい設定に似ている部分があって、苦笑してしまいました。
かなり昔の作品なので当然CGなんてものはなく、
当時アカデミー特殊効果賞を受賞したと言えど、作りはかなりヘボいです。
しかし人間ドラマの描き方については、この作品の方が上でしょう。
博士の娘に惚れられたため、無条件に宇宙船に乗れることになったランドールが
その権利を受けて良いのかどうか思い悩む姿や、
費用を出した資産家の“生”に対する執着も、よく描かれていると思いました。
それに、わずか38人の宇宙船の椅子に座れる権利を得るためにその建造に600人の男女が参加し、
実際に抽選が行われたあと、選に漏れた人たちが宇宙船を破壊すべく暴動を起こす様は、
「ディープ・インパクト」ではあえて見せなかった
“死を目前にした人間の本当の姿”を非常に上手く表していたと思います。
宇宙船に乗り込んだ人たちが、重力に対する訓練のひとつもしないで大丈夫だったりするのは、
この作品が作られた時代の宇宙に対する認識から言ったら、目をつむるべきことかもしれません。
宇宙船の模型まる分かりも、この時代では仕方ないことでしょう。
しかし、ラストシーンではなんと未知の風景に“絵”が使われており、
それにはさすがにびっくりさせられた私でした。

とても現在のものさしでは計れません。レベル設定不能

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フォー・ウェディング
1994年・イギリス

32歳のチャールズ(ヒュー・グラント)は、過去に何人もの女性と付き合いながら、
相手と生涯を共にするということに自信が持てず、なかなか結婚に踏み切れないまま現在に至っていた。
ある日、友人の結婚式に招かれた彼は、
キャリー(アンディ・マクドウェル)というアメリカ人女性を見かけ、ひと目で恋に落ちてしまう。
早速彼女にアタックし、その夜ベッドを共にすることに成功したチャールズだったが、
翌朝、彼女から“結婚”を求められ、曖昧な態度をとっているうちに彼女は彼の前から姿を消してしまった。
それから3ヶ月後、再び友人の結婚式でチャールズはキャリーと再会する。
チャールズは大喜びするが、それも束の間、彼女はその場にフィアンセを連れてきていた。

自分の気持ちを素直に言い表すことが出来ないイギリス人男性が、真実の愛を見つけるまでをコミカルに描き、
アカデミー賞の作品賞候補になった作品なのですが、私にはこの作品の良さがよく分かりませんでした。
まず、私にはこのストーリーの基本ともなっている“ひと目惚れ”というものが理解出来ないので、
最初からチャールズの気持ちが分からず、ストーリーの中に入り込めないのです。
その上、初めて会ってほんの少し言葉を交わしただけの男女が、
その日のうちに簡単にベッドインしてしまうのも理解出来ません。
これは“お国柄”なんでしょうか。それとも、私の頭が固すぎるからなんでしょうか。
相手の男性の心の中に別の女性が居て、迷いを持たれたまま結婚される女性も気の毒ですが、
結婚式の最中で“僕には他に愛している女性が居る”と言われる花嫁は可哀想過ぎます。
結局、私自身がチャールズのような男性が好きにはなれないから、
この作品が良い作品だとは思えないんでしょうね。
新人神父さん役で「Mr.ビーン」ことローワン・アトキンソンが出ていました。
ビーン役の印象が強烈過ぎて、なんか浮いてるような気がしました。

レベル3

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ロスト・ハイウェイ
1996年・アメリカ

ある朝、フレッド(ビル・プルマン)の妻レネエ(パトリシア・アークェット)が、
ビデオテープの入った封筒を玄関先で見つける。
ビデオデッキにかけて中身を観ると、それには夫妻の家の玄関前が映っていた。
不審には思うが、ふたりはさして気には留めなかった。
しかし、翌朝再び夫妻の家の玄関先にビデオが入った封筒が置かれており、
今度のビデオには、夫妻の寝室と眠るふたりの姿が映っていたのだった。
目的の分からぬ侵入者にふたりは気味悪がり、警察に届ける。
そして3本目のテープが届いた時、それには血まみれになって死んでいるレネエと、
その脇で呆然としているフレッドの姿が映っていた。
意識がもうろうとしたまま、フレッドは気付いた時には警察に捕まっていた。
妻殺しの容疑でフレッドは死刑を宣告され、独房に入れられる。
しかしある朝、独房にいたはずのフレッドは忽然と姿を消し、
そこには別人の修理工の青年ピートがもうろうとした意識のまま佇んでいた。

奇才デビット・リンチがひとりの男の悪夢を描いた、非常に難解な作品です。
観る者を惹きつける映像テクニックがあり、
135分間、私はデビット・リンチが描くこの不思議な世界に釘付けになってしまいました。
しかし、分からない・・・・・。
どこがどうなって、ああなって、こうなったのか、さっぱりです。
この作品をどう解釈すればいいんでしょう。
たぶん、10回観ても私には理解出来ないと思います。
独房にいたはずのフレッドが、ある朝突然ピートという若者に変わっていた時から、
どういうオチになっているのかすごく興味が沸いたのですが、
その謎は謎のままで、映画は終わってしまいました。
作品の中で、どこまでが『夢』でどこまでが『現実』を描いているのかを探ろうとすれば、
探ろうとするほど分からなくなってしまいます。
まるで、全てが『夢』の中の出来事のように不可解な出来事がばかりなのです。
観終わった時に消化不良の気持ち悪さが残った作品でした。
レベル3

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スクリーム
1996年・アメリカ

ある夜、高校生ケイシー(ドリュー・バリモア)と恋人のスティーヴが惨殺された。
翌朝、ケイシーの学校には警察やマスコミが詰め掛けて大変な騒ぎとなる。
ケイシーの同級生シドニー(ネーヴ・キャンベル)は事件を聞き、1年前の忌まわしい出来事を思い出した。
シドニーの母親が、ある男にレイプされた上に惨殺されたのだ。
静かな田舎町で再び起こった猟奇殺人事件に、いまだ心の傷が癒えないシドニーは苛立つのだった。
その夜、自宅に一人きりでいたシドニーに不審な電話がかかってくる。
友人の悪ふざけかと受け流す彼女に、電話の声は“電話を切ると母親のように死ぬぞ!”と怒鳴り、
その直後、死神のマスクをした何者かが自宅に侵入、ナイフを振りかざしてシドニーを襲った。

97年の夏に劇場で観た作品なのですが、続編を観るために復習の意味でもう一度観てました。
私は普段ホラーは好んでは観ないのですが、この作品については猟奇殺人をテーマにしているにも関わらず、
観た時にもホラー特有の怖気はほとんど感じられず、むしろ楽しめた作品でした。
一度観ているので、当然犯人は分かっている状態で今回ビデオを観たのですが、
犯人の怪しい言動に注目しながら観るという、一度目とは別な楽しみ方が出来ました。
残酷な連続殺人をテーマにしているにも関わらず、この作品が楽しめてしまうのは、
犯人のかぶっている“死神マスク”が怖いというより滑稽だからでしょう。
それに、ホラーをコメディ風に仕立てたとでもいうのでしょうか、ああいう犯人は無敵かと思いきや、
この作品の殺人鬼は意外とドジで、襲った相手にまともに反撃をくらったりするのがたまらなく可笑しいのです。
私はホラーをあまり観ていないので、セリフに出てくる様々なマニアックなホラーネタにはついて行けなかったのですが、
それでもこの作品の脚本の上手さはよく分かりました。
シドニーが不審な電話を受け、“どのホラー映画が好き?”と聞かれた時に、
“ホラー映画なんてみんな同じ。殺人鬼にデカパイの女の子、外に逃げればいいのに2階に逃げる”と答えておきながら、
その直後に襲って来た殺人鬼の姿を見て、2階に逃げ込むシーンは絶品です。
確かにデカパイの女の子も出てたしね。
ホラーをパロっておきながらもその法則に逆らわず、ちゃんとホラーにして見せているところが上手いのです。
この作品を改めて観て、「ラストサマー」がいかに駄作だったかがよく分かりました。
でも、いくら“面白系ホラー作品”と言っても、冒頭のドリュー・バリモアが殺されるまでのシーンは、
夜に部屋で一人でビデオを観ている私には怖かったです。
ホラーはやっぱり一人で観るもんじゃないですね。

レベル4

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GO NOW
1995年・イギリス

美術装飾人のニック(ロバート・カーライル)は、地元のサッカーチームに所属し、
夜はその仲間たちと遊びまわるという毎日を送っていた。
ある夜、ニックは仲間と行ったクラブで、
男に付きまとわれていたカレン(ジュリエット・オーブリー)を助ける。
それをきっかけに付き合い始めたふたりは、やがて一緒に暮らし始めた。
しかしそんな生活を始めてまもなく、
ニックは仕事中に突然手がしびれ、感覚を無くすという症状を覚えた。
医者は診察をしたニックに対して病名は告げなかったが、
独自でその病気について調べたカレンは、
その症状から彼が“多発性硬化症”ではないかと思い始める。
その病気は、身体のいたるところの神経が徐々に麻痺して行き、
やがてそれが全身にわたる、という恐ろしい病気だった。
ニックは自分の病名を知らされないまま、日に日に病状は進んで行き、
仕事はおろか、日常生活もままならない状態となる。
そんなニックに、カレンは献身的に尽くすのだった。

コメントするのが非常に難しい作品です。
基本的に私は“難病もの”の作品が苦手なのです。
こんなことを書いてしまうのは不謹慎かも知れませんが、
特にこの作品のように、難病を患った人の苦悩が描かれている作品では、
自分がどのような気持ちでその主人公を見ていいのか分からなくなってしまうのです。
そして、ラストシーンが悲劇的であっても、ハッピーエンドであっても、
結果的に病気の人の感情をどこまで理解するかにとどまってしまい、
“面白かった”とか“良かった”とかいう印象を残さないのです。
この作品は突然難病に冒された青年と、
その青年と同棲していた恋人の恋愛を軸に描かれているのですが、
カレンがなぜあそこまで献身的にニックに尽くすのかが理解出来ませんでした。
私自身がスクリーンの中のニックに愛情を感じてこそ、彼女の気持ちが分かると思うのですが、
彼らが出会ってから同棲に至るまでの描き方があまりにもあっさりしすぎていて、
カレンがニックのどこに惹かれたのかがよく分からず、彼女の気持ちに入り込めないのです。
どうしても第三者的な視点でふたりの恋愛を見守るしか出来ず、
カレンの友人の“あなたの気持ちは愛情じゃない。同情よ”というセリフがあるのですが、
私はどちらかというと、この友人の気持ちに同調してしまいました。
つまらない作品ではなく、悪い作品でもありません。
でも、この作品も他の難病もの作品と同じく
“面白かった”とか“良かった”とかいう印象を残しませんでした。

レベル3

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恋する泥棒
1996年・アメリカ

ロズ(サンドラ・ブロック)は、恋人のフランク(デニス・レアリー)に頼まれ、
ある屋敷から10万ドル相当の絵画を盗むことを手伝った。
2人は警察に追われながらも、うまくその追撃をかわし、
バイヤーとの絵画の引き渡し場所である、ニューイングランドの小島にあるリゾート地へと渡る。
バイヤーに絵画を引き渡すのは、3日後。
それまでの間、2人は留守中のサマーハウスに侵入し、そこでリッチな休日を過ごすことを計画する。
2人は隣のサマーハウスに滞在している青年実業家エヴァンから自宅でのパーティーに招待されるが、
ロズはそういう場でも下品な会話しか出来ないフランクに幻滅し、
知的でスマートなエヴァンに次第に惹かれて行った。
一方、2人が盗んだ絵画は、実は400万ドルもするマティスの名画だったことが判明し、
その事実を知った絵画密売の仲介人ビーノは、バイヤーに引き渡す前にフランクから絵を奪おうと、
一味を引き連れてフランクの元へと向かう。

正式な邦題は「サンドラ・ブロックの恋する泥棒」。
こうやって主演の俳優の名前をわざわざタイトルに付けるのは、
その俳優のネームバリューの割には、作品が地味であったり、大したことがない場合が多いです。
つまり、作品名だけでは客が呼べそうにないので、俳優の名前をくっつけて作品を売り出し、
すこしでも客の気を引こうというもの。
サンドラの恋人の役を演じたデニス・レアリーの原案の作品だそうですが、
あそこまでアホな男にサンドラを惚れさせるなんて、
何だか彼の自己満足のためだけに作ったようにしか思えませんでした。
ロズとフランクは7年も付き合っているという設定なのですが、
ロズがフランクのどこが良くて付き合っているのか、全く分からないのです。
根は真面目で、フランクに泥棒なんてやめて欲しいと思っているのにも関わらず、
それでも彼の『お仕事』に加担してしまう、ロズの気持ちが読めません。
その辺の人物設定が、実に曖昧でいい加減なのです。
おまけに、始まってたった30分くらいでオチがばっちり読めてしまいました。
この作品が劇場公開された時は、すでにサンドラ・ブロックは「スピード」でブレイクした後で、
「ザ・インターネット」や「あなたが寝てる間に・・・」などの作品で
確固たるハリウッド女優の地位を手に入れていたはずなのに、
やけにこの作品の劇場での扱いが小さかったことが記憶にあります。
まぁ、それも実際にこの作品を観てみれば納得ですね。

レベル2

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