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ラブ・レターMIND GAME四月物語HANA-BIリング/らせん
ラヂオの時間東京日和Lie lie Lieもののけ姫私たちが好きだったこと

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ラブ・レター

吾郎(中井貴一)は、新宿歌舞伎町でしがない裏ビデオ屋の店長を任されている。
ある日、世話になっているヤクザの佐竹(根津甚八)から偽装結婚の話を持ちかけられた。
不法労働をしている外国人女性たちが母国へ強制送還されないようにするため、
そのうちの一人を吾郎の妻の籍において欲しいと言うのだ。
断る理由のない吾郎は、白蘭(耿忠)という中国人女性に80万円で妻の籍を売った。
吾郎が初めて白蘭に会ったのは、入国管理審査の当日のことだった。
美しい白蘭にひと目で惹かれた吾郎は、その後彼女が働いているスナックへと出向くが、
店のママに“二度と来ないでくれ”と言われてしまう。
そして吾郎はそれきり彼女には会わず、偽装結婚したことすら忘れかけていた。
しばらくして、あらぬ疑いをかけられ留置場に入れられた吾郎は、
釈放の日に看守から“あんたのかみさんが亡くなったらしいよ”と聞かされる。
籍を売っただけとは言え、戸籍上の夫である吾郎は白蘭の遺体を引取りに行くはめとなり、
一緒に引き取った彼女の遺品の中から、自分宛ての手紙を発見する。
それは、たどたどしい日本語で書かれた、吾郎あての“ラブレター”だった。

ダメです、これは。
まず、主人公の気持ちに感情移入出来ないところに問題があります。
吾郎も白蘭も、何を考えているのかよく分からないのです。
二人ともお互いに惹かれ合ったのにも関わらず、それを表現しきれていません。
前半が特にお互いに対する気持ちの描き方が曖昧なので、
中盤以降、白蘭が死んでしまったあとで、“あなたのことが好きでした”とか
“何で死んじまったんだよ〜”とか言われても、
“・・・・・それで?”という気持ちになってしまいます。
それに、吾郎が白蘭の手紙を見つけ、それを読むシーンがこの作品の
クライマックスになっているのですが、
思い切り感情をこめた白蘭の朗読とバックに流れる“それっぽい”音楽で
もう、観客を“泣かせよう”としているのがミエミエ。
私の超苦手とする、典型的なお涙ちょうだいもので、
白蘭が涙声で“吾郎さん、吾郎さん、吾郎さん・・・・・”と連呼する部分では、
感動どころか、げんなりしてしまいました。
頻繁に出てくる、吾郎の白蘭を想像するシーン(作ってる方はたぶん大まじめ)も、
可笑しくって笑ってしまいました。
こんな作品に私の大好きな「Love Letter」とまぎらわしいタイトルを付けられてしまったのは許せません!
松竹はかなり力を入れているようですが・・・・日本映画はこんなんでいいのでしょうか。
レベル1

不幸ばなしを語って涙をさそうテレビ番組が好きな人は、この作品で泣けるのかも。

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MIND GAME

大学病院のセラピスト・片山(田辺誠一)は、恋人の心理学部研究員・三鈴(鈴木保奈美)から、
彼女が市民講座として主催している“箱庭療法”のサークルに参加している田所(柏原崇)という青年を紹介される。
“箱庭療法”とは、砂を敷き詰めた木枠の箱の中に、人形や木や家など好きなものを自由に置いて行くことで
それを作った人の心の状態が分かり、それを知ることにより“心の病”の治療をしていくというものである。
三鈴は田所の作った箱庭が極めて特異なものだったため、片山に田所のセラピーを頼んだのだった。
片山が田所に催眠療法を施すと田所は全く別の人格を表し、突き詰めて彼の心の中に触れていくと、
彼は次々に別の人格を表し始めた。
片山と三鈴は田所の人格をひとつに統合しようと努力するが、田所の異常な心に触れていくうち、
ふたりは自分自身の正気を失って行く。

こういう心理的なサスペンスは好きなので、とても面白かったです。
これが監督第一作目という俳優・田口浩正(「Shall we ダンス?」や「ラヂオの時間」に出てる太っちょの人)の作品で、
どの程度の作品を撮るのか興味はあったのですが(正直言ってそれほど期待はしていませんでしたが)、
この人は才能があるな、と感じました。
“映画”の見せ方をちゃんと心得ていて、かつ娯楽性も忘れてはいません。
テレビドラマの延長のような作品や、観客を無視して自分の趣味だけに走ってしまう監督の作品があふれた日本映画界では
貴重な存在になるのではないでしょうか。
多重人格者で、ワンカットで人格が変わるという難しい役を演じた柏原崇も上手かったと思います。
レベル4

今度から俳優・田口浩正を見る目が変わっちゃいそうです。

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四月物語

満開の桜の咲くとき、卯月(松たか子)は故郷の旭川から東京に引っ越して来た。
東京の大学に合格した彼女は、家族の元を離れての一人暮らしが始まる。
入学式も終わり、新しい大学生活をスタートさせた彼女は
自己紹介の場で「何故この大学を選んだのか?」と質問されて、言葉に詰まってしまう。
彼女には誰にも秘密の“不純な動機”があったのだった。

特にストーリーがあるという訳でなく、旭川から上京し、東京の大学に通うべく
一人暮らしを始めたひとりの女の子の日常を描いた作品。
そういう意味では、作り方としては竹中直人の「東京日和」に似ていると思いますが、
印象はずいぶん違いました。
田舎から都会に引っ越して来た卯月の新しい生活への期待と戸惑い、一人暮らしの寂しさ、
そして見知らぬ土地での小さな冒険・・・・そんなひとつひとつの出来事が、
彼女の日記帳を1ページずつめくるように描かれていて、彼女の心の揺れが伝わって来ます。
1時間7分という中途半端な長さですが、こういう起承転結のない作品には、
これくらいの長さがちょうど良いと思いました。
手元に置いて、2度3度と繰り返して観たい作品です。
たぶん、何度も観るうちにどんどん卯月の気持ちに入っていって、どんどん好きになる作品だと思います。
微妙なところですが、最初観た印象はレベル3.5

それにしても、岩井俊二ってどうしてあんなに女の子の気持ちを描くのが上手いのでしょう。

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HANA-BI

刑事・西(ビートたけし)は数ヶ月前に子供を失い、それ以来口をきかなくなった妻も体調を崩して入院している。
ある日、西が妻を見舞いに行っている最中、自分の代わりに張り込みをしていた同僚の堀部が犯人に撃たれた。
そして、医者からは妻もまた不治の病に侵されていることを告げられる。
西はようやく犯人を追いつめることが出来たが、一緒に現場に駆けつけた若い刑事・田中が殉職してしまう。
犯人に撃たれて下半身付随になった堀部と、殉職した田中への責任は自分にあると考えた西は、
刑事を辞めてヤクザから大金を借り、生き甲斐を見つけようとする堀部に画材道具を、田中の妻に
生活費を用立てる。
これ以上失うものは何もないと考えた西は、銀行を襲って大金を手に入れ、それを金を借りたヤクザと、
堀部と、田中の妻に送り付けたあと、残り少ない妻との時間を二人きりで過ごそうと旅に出る。

男の生き方を描いた作品です。
愛する者を次々と失わなければならず、自分のために犠牲になった人たちへの罪悪感にさいなまれた男が、
全てを捨ててある決心をする、というお話。
女性より男性の方が共感できるかもしれません。
ヤクザが絡むシーンが多く、全編に渡って暴力的な感じがして、私はちょっと苦手でした。
しかし、前面に出した暴力シーンの裏で北野武が描きたかったのは、“暴力に対する怒り”だそうです。
それを頭に入れて観れば、また印象は変わるかもしれません。
レベル3

あくまでも好みの問題ですが、やっぱり私は、たけしの出ない北野作品「Kis Return」
「あの夏、いちばん静かな海。」の方が好きだな。

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リング/らせん

リング
テレビ局のディレクター・玲子(松嶋菜々子)は、近頃世間で噂になっているビデオテープのことを、
女子高生に取材していた。
その噂とは、それを見ると1週間後に死ぬというビデオテープがあるという、“口裂け女”程度のものだった。
そんな中、玲子の姪の高校生が自宅で急死する。
葬儀の場で同級生から、玲子は死んだ姪が噂のビデオテープを見ていたことと、
一緒に見ていた3人も同じ日の同じ時刻に死んでいたことを聞きつける。
独自でそのテープの存在を突き止めようとした玲子は、やがてそのテープを手に入れ、思わず見てしまう。
見てしまった後に、自分にも1週間後の“死”が迫っていることに気づいた玲子は、
別れた夫(真田広之)に相談し、“呪い”から逃れるため、死の恐怖と戦いながらそのテープの謎を追求して行く。

らせん
「リング」の続編。
内容は「リング」のネタばれになるので書きません。

「リング」「らせん」「ループ」という鈴木光司原作のベストセラー3部作の中の、2作の映画化です。
原作を読んでないから、そちらではどうなのかは分かりませんが、映画に限って言えば、「リング」は面白いですが、
「らせん」は面白くなかったです。
そればかりか、「リング」の面白さを「らせん」が打ち消してしまっています。
「リング」では“ビデオテープに込められた怨念”という、得体の知れないものが恐怖感をそそりますが、
「らせん」ではその恐怖の実態がDNAだの、ウィルスだの言い出して(ちょっと「パラサイト・イブ」入ってるかも・・・)、
話を小難しくしています。
それに、主人公の心理描写も「リング」の方が勝っています。
「らせん」では、恐怖感が全くと言っていいほど伝わって来ません。
「リング」で出た結論を、「らせん」が否定してしまっているのも不満。
私の主観ですが、この2本立ての映画に関してだけ言えば、「らせん」は完全に蛇足だと思います。
出来れば「リング」で完結して欲しかったです。
監督は「リング」が「女優霊」の中田秀夫、「らせん」が「NIGHT HEAD」の飯田穣治。
「NIGHT HEAD」マニアだった私としては、ちょっとガッカリでした。

「リング」は高橋克典主演で、前に一度テレビで放送されましたが(この時は、その脚本を飯田穣治が担当していた)、
映画の方が面白く出来ていたと思います。
テレビ版では高橋克典と妻との関係を、映画版では松嶋菜々子と子供という関係にしたのも良かったと思います。
映画版「リング」では、ビデオテープの謎の鍵となる人物“貞子”の姿を露骨に見せなかったのも良かったです。
「リング」だけならレベル4
でも「らせん」まで見ちゃうとレベル2

3作目の「ループ」も映画化が決まったそうですね。どうなっちゃうんでしょうか。
原作読んでみようかな・・・。

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ラヂオの時間

TVドラマ「古畑任三郎」や「王様のレストラン」などで人気の脚本家・三谷幸喜の初監督作品。
“ラジオ弁天”では、生放送のラジオドラマ“運命の女”がOAを控えていた。
リハーサルも無事終了、本番を待つだけだったが、突然主役の“りつ子”役が名前が気にいらないので
名前を“メアリー”に変えてくれなければ出演しないと言い出す。
プロデューサーは仕方なくその条件をのむが、それによって他の出演者も勝手な言い分を持ち出し、
一般公募で採用された普通の主婦が書いた台本が、局の手によってどんどん書きかえられて行く。

すごく面白かったです。 さすが、三谷幸喜!期待は裏切られませんでした。
オーバーアクションではないけれど、小ネタ満載のギャグに加え、パッと見分からないような細部にまで
小ワザが使ってあってとっても良かったです。
例えば、フジTVの“めざましテレビ”を見てる人は分かると思うけど、布施明が出てきた時点で「出た〜\(^o^)/」
って感じだったし、桃井かおりも「古畑任三郎」で犯人役をやった時のDJ役で出てたりして・・・。
西村雅彦の“いい胃薬ありますよ”は、もちろん“ガスター10”ですよね。
それから私が面白いと思った小物は、布施明演ずる編成マンがビンゴで当てたというシンセサイザー。
あんなに便利なものを間近に置いておいて、その存在に気付かず、あたふたしながらSEを手作りする人たち。
途中で気付いてすごく可笑しくなりました。
ラストに流れる布施明の曲も、歌っているのが役名の“堀ノ内修司”になっていましたよね。
歌詞もちゃんと聞いてると、すごく可笑しいし。(千本のっこをたたえる歌?)
やっぱり好きだなぁ、三谷幸喜のギャグセンス。
レベル5!

“ガハハ”じゃないけど、“フッフッフッ”という笑いがずっと続くような映画です。

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東京日和

出版社に勤める編集者・水谷(松たか子)は、写真集出版の打合わせのため
カメラマン・島津(竹中直人)の家を訪ねる。
島津の家の部屋に飾ってある、何枚ものひとりの女性の写真・・・・
それは、若くして亡くなった島津の妻・ヨーコ(中山美穂)だった。
島津と水谷は、ありし日のヨーコの思い出を語り始める。

亡くなったヨーコを回想する映画なのですが、その中にストーリーがありません。
ただちょっと変わった夫婦の日常を断片的に見せられているだけで、たいくつな映画でした。
ヨーコは精神を病んでいたようなのですが、なぜそうなったのかの経緯が分からないし、
たいくつな中にもそれが知りたいだけで私を最後まで劇場の椅子から立ち上がらせなかった
たった一つの理由、“ヨーコが死んだ原因”も、結局描かれていませんでした。
(最後の最後に「ヨーコは**で死んだ」と語りが入るだけ)
有名俳優(三浦友和、松たか子、浅野忠信etc.)が多数脇役で出演していますが、
それも“その人が出ていること自体”に気を取られてしまうので、逆効果です。
竹中直人が何を撮りたかったのか分かりませんでした。
“中山美穂”の写真集を見せられているような映画だと思いました。
レベル2

最後まで観て損した、と思った作品でした。

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Lie lie Lie

写植屋の波多野(佐藤浩市)のところに突然高校時代の同級生・相川(豊川悦司)がやって来た。
世界中の生鮮食料品を買い付ける商事会社の代表取締役だと言うが、実はサギ師。
騙した女の追手から逃れ波多野のところにやって来たのだが、いつの間にかそこに居着いてしまう。
ある日相川は、波多野が無意識の内に書き上げた膨大な量の原稿を見て、
それを“幽霊が書いた本”として出版社に売り込むことを思い付く。
二人を迎えた担当の編集者・美咲(鈴木保奈美)は、その嘘を即座に見破り、
逆に「3人でやらない?」と詐欺話をもちかける。

予告編は面白そうでした。
でも、その一番面白い部分を予告編で観てしまっていたので、
期待した程面白いとは思えませんでした。
「12人優しい日本人」でもそうなのですが、豊川悦司は雄弁な役があまり上手くないと思いました。
逆に佐藤浩市はそういう役が上手いので、二人の役柄を逆にした方が良かったのではないでしょうか。
鈴木保奈美は相変わらず、また気の強い女を演じています。
時間が複雑に入り組んでいるというのは、理解するまでに時間がかかりましたが面白かったです。
レベル3

だけど、本当は豊川悦司ファンの私・・・・。

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もののけ姫

王家の血を引く青年アシタカは、村を救うため“タタリ神”を倒し、死に至る呪いをかけられる。
「西に行けば呪いを断つ方法が見つかるかもしれぬ」というお告げを受け、アシタカは旅立った。
途中アシタカは“シシ神の森”の存在を聞き、さらに西へと急ぐ。
“タタラ場”の人間たちを率いるエボシ御前は、山を削り、人間たちの豊かな国を作ろうとしていた。
そんな森を侵す人間たちをひどく憎んでいるのが、山犬に育てられた“もののけ姫”サン。
彼女は巨大な山犬にまたがり、タタラ場に何度も襲撃を繰り返していた。
アシタカは彼女と出会い、自然と人間が共存する道を見出そうとする。

初めてアニメを劇場で観ました。
テーマは「風の谷のナウシカ」とほぼ同じですね。
人間にその世界を荒らされた自然(動物)が、怒って仕返しにくる。
主人公(アシタカ)は正義感の強い人で、自然と人間との共存を強く願っている。
人間と自然との戦いと共存を描く一方で、人間と人間との戦いをも描く・・・・。
色々考えさせられる作品でした。
観見終わったあとに“面白かった!”という感じは残らなかったのですが、
決してつまらなかった訳でもない、という印象です。
一度観ただけでは、理解しきれないのかもしれません。
レベル3

やっぱり私は「トトロ」のような、ほのぼの系の作品の方が好きだな。

onpu

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私たちが好きだったこと

宮本輝の原作を、ドラマ界の人気脚本家・野沢尚が脚色した作品。
倍率76倍の超人気の高層公団マンションに当たった2人の男(岸谷五朗・寺脇康文)が、
入居祝いをしていた酒場で2人の女(鷲尾いさ子・夏川結衣)と出会う。
そして酔った勢いで、男たちはそのマンションで女たちと同居する約束をしてしまう。
2LDKのマンションで不思議な同居生活を始めた男女4人は、やがて2つの愛をゆっくり育てていくが・・・。

監督の松岡錠司がテレビ俳優たちをどう演出するのかを期待して観ましたが、やっぱりテレビドラマを観ているみたいでした。
主演の俳優の演技をテレビで見過ぎているということもありますが、ストーリーや演出にも“映画”のみが持つ独特の雰囲気や
広がりが感じられないのです。
それに、主人公の4人が出会ってからの何年かを描いているのですが、4人全てが主役となっているため、
そのひとりひとりをじっくり描くことが出来ず、焦点がボケてしまっていて、あっという間に変化している
4人の心境や状況に気持ちがついていけません。
原作は悪くないと思うのですが、それを2時間の映画で表現しようとしたのが失敗だったと思います。
レベル2

なぜこの作品を映画でやらなければならなかったのでしょう。
フジテレビの木曜夜10時の連続ドラマにすれば良かったのにね。

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