八重山旅行記3(1998.6.4 - 6.7)




6/7(日)曇り

「竹富島・石垣島ふれあいの旅」も最終日を迎えました。
とはいっても、直行便で帰る人は朝食もそこそこに空港に向かったので、実質的には前夜のビーチパーティがフィナーレ。
多少雨がぱらついたけれども、波の音をBGMに聴く安里さんの三線は最高でした。
「トゥバラーマ」なんて、もう涙もんでしたよ……


民宿「船着場」前 さて、せっかく白保に来ながら海に入らないなんてもったいない。

この日も天気が悪く、気温も低くて最悪のコンディションだし、潮位の関係でサンゴには近づけないけれど、ともかく宿で借りたウェットスーツを着込んで、民宿「船着場」のおじさんの船で海に出ることにしました。

船に乗ったのはわたしも含めたツアーのメンバー5人と、「海坊主」と呼ばれているヘルパーのにーちゃん、竹富島で知り合って白保にまで来てくれたマキちゃんという女の子。
海坊主にーちゃんは船の舳先に腰掛け、腰には浮力バランスを取るためのウエイトまで巻き付けて得意そうです。

ところが、船がサンゴ石の船だまりを出て、快調に飛ばしはじめてすぐ、「ガーン!!!!」という衝撃と「ドボーン」という水音が……

気がつくと舳先に腰掛けていた海坊主にーちゃんの姿がない。
思わず船から身を乗り出して、「おーい大丈夫かぁ!」と叫んだのですが、

「・・・・・・・・・・・」

しばらくして浮きあがってきた海坊主にーちゃんは、
「はー、死ぬかと思った」
と言いました。

おじさんが暗礁に船をぶつけた衝撃で、真っ逆様に海に放り出された海坊主にーちゃんは、最初何がなんだかわからなかったらしい。
気がついたら自分の上に船が乗り上げてくるところだったとか。
(ひぇぇぇ)
腰に巻いてたウエイトのおかげですぐに浮上できないし、もう大パニック。でも、そんなに浅くもなく深くもないところだったからよかったけど、浅かったら海底に頭ぶつけてたし、深かったらそのままぶくぶくぶく……おーこわ。

教訓。船の舳先に座るときは気をつけましょう(笑)。

でも、わたしもあんまり人のこと言えない……
今回白保では、気温が低かったので宿でウエットスーツを借りました。
でも、身体によく合っていなくてちょっときつかった。
宿のおじさんの船に乗せてもらって少し沖に出て、胸くらいの深さの所でシュノーケリングしてたら、だんだん息苦しくなってきたんです。

おじさんは2〜30mくらい離れた所に船を進めていましたが、そこまで泳ぎ切る自信がない。それどころか、曇ってて海底の様子がよくわからないので、うっかり一歩踏み出して深みにはまった日には、またニシ浜の二の舞です。

しかたなく、わたしは「おじさーーーん!」と叫んで、助けに来てもらいました。とほほ、情けない……

しばらくシュノーケリングを楽しんだ後、白保の船だまりに戻ってくると、船の下をけっこう大きな魚が何匹も、矢のように泳ぎ抜けていきました。
ふと、「魚湧く海」という言葉が頭に浮かびました。


シュノーケリングツアーから帰ってきたら、宿にはほとんど誰も残っていませんでした。
みんな最終日をぎりぎりまで有効に使おうと、石垣島観光に出かけたり、おみやげを買いに行ってしまったらしい。

シュノーケリングに行った人も「これからパイン園に行ってくる」と出かけてしまい、宿に残ったのはわたしとマキちゃんと、清家さんというメンバーのひとりと、海坊主にーちゃんだけ。

民宿のおばさんも出かけてしまい、宿はしーんと静まりかえりました。ゆったりとした時間が流れていきます。
4日間のあわただしいツアーの後だけに、こののんびりしたひとときがまたとても心地よい。

しばらくおしゃべりしたりお茶を飲んだりしてから、わたしは白保の集落を歩いてみました。日曜日のせいか、子どもたちが遊んでいる姿がよく目につきます。いままでの離島と違って、子どもの数が多いせいか、なんだか活気があります。

なぜか犬もけっこういます。白保の犬たちはみんな人なつこい。
本当は放し飼い状態はいけないんだろうけど、みんな集落全体が自分の家の庭みたいに、気軽にとことこ歩いています。

小屋の中の注意書き 出発時間が近づいてきたので、わたしは再び浜に出ました。
宿に残ってたマキちゃんも清家さんも、結局やってきたのはきのうの「ビーチャー小屋」。日曜日だからか、昨夜とはまた別のおじさんたちがくつろいでいました。

そこでとりとめもなく「ゆんたく」しながら、残りの時間をすごしました。相変わらず海鳴りは響き続け、時折上空を、石垣空港発着の飛行機が飛んでいきます。

白保に来るまでは、空港問題についても、「宮良地区」にできるならいいじゃない、サンゴも無事だったわけだし……なんて考えていたけど、そこにすわっているうちに、そんな簡単な問題じゃない、というのがだんだんわかってきました。

たとえ赤土流出問題にうまく解決がついて、サンゴそのものは守られたとしても、空港ができて飛行機の発着が今の2倍になったとしたら、白保の浜の「黄金のひととき」は壊れてしまうのです。

たとえ石垣までの航空運賃が今の半額になるとしても(ならないだろうけど)、白保の人たちからこんなにも心地よい環境を奪う権利はないんじゃないかな、と思ったりして……

所詮観光客のわたしには、島の将来に口を出す権利はないけれど、帰ってきてから「WWF白保サンゴ礁キャンペーン」 に寄付金を送りました。
白保のムラビトにはなれないけれど、これでわたしも「WWF白保サンゴ村」村民です。

白保のおじさん達と犬


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