三線 南嶽節(なんだきぶし)

(三線をクリックしてみてください。メロディが聞こえてくるかも……)
「貫花(ぬちばな)の踊り」は、「武冨節」と「南嶽節」がワンセットになっていますので、ついでにこの曲も紹介してしまいましょう。
「武富節」では首にかけた花飾りを両手に掲げたりしてゆったり踊っていた女性が、この唄では両手に四つ竹を持って、それをリズミカルに鳴らしながら軽快に踊ります。

打ち鳴らし鳴らしヨー サーサー
四つ竹(ゆつぃだき)は鳴らちヨー サーサー
チュラヨヰ チュラヨヰ キユスィディ ナンダキヨ

鳴らす四つ竹の(ぬ)ヨー サーサー
(うとぅ)のしゅらさヨー サーサー
チュラヨヰ チュラヨヰ キユスィディ ナンダキヨ

今日(きゆ)やおいきゃい拝(うぃちぇーうが)でぃヨー サーサー
いろいろの遊び(いるいるぬあすぃび)ヨー サーサー
チュラヨヰ チュラヨヰ キユスィディ ナンダキヨ

明日(あちゃ)や面影の(うむかじぬ)ヨー サーサー
立ちよとめ(たちゆとぅみ)ばヨー サーサー
チュラヨヰ チュラヨヰ キユスィディ ナンダキヨ


意味:
打ち鳴らし鳴らす四つ竹の
音のなんと美しいことよ

今日はこうしてお目にかかっていろいろ遊びましたが
明日は面影が立つかと思うと今から切なくなります

「武冨節」と同様、この唄も八重山起源と言われていますが、こちらは竹富島ではなくて、波照間島の「祖平花節」が元唄だそうです。

祖平(すぶぃら)ぱな道(みつぃ)からヤウ サーサー
かりゆしぬ道からヤウ サーサー
シュラヤウイ シュラヤウイ キユスディルダキヤウ

誰々(たるたる)どぅ つぃかいすヤウ サーサー
(じ)りじりどぅ うはらすヤウ サーサー
シュラヤウイ シュラヤウイ キユスディルダキヤウ

沖縄主(うくぃなしゅ)どぅ つぃかいすヤウ サーサー
主ぬ前(まい)どぅ うはらすヤウ サーサー
シュラヤウイ シュラヤウイ キユスディルダキヤウ

意味:
祖平花道から おめでたい立派な道から
誰をご案内しますか どの方をご案内しますか
沖縄からの在番様をご案内します お役人をご案内します
 この唄に関して、波照間島で伝えられてきた話があります。
 昔、祖平宇根という船頭さんがいました。この船頭さんは年貢を納める船に乗っていたのですが、ある時、那覇に行く途中で嵐に会い、中国に流れつきました。そして中国で三年暮らし、そこで親しくなった人から「風水(ふうすい)」を教わって帰ってきました。風水とは古代中国から連綿と伝えられた、地相によって吉凶を占う方法。この最新テクノロジーを仕入れて帰ってきた宇根さん、村から船着場までの道の方角が悪いことに気づきました。これはいけない、と道を作りなおしたところ、それからは何をやってもうまく行くようになりました。
 この道は「祖平花道」と呼ばれています。道路開通を祝って祖平宇根が歌ったというのがこの「祖平花節」。宇根さんの子孫は今でも波照間島に住んでいるそうです。

[参考]
「声楽譜付 八重山古典民謡工工四 上巻」大濱安伴編著
「わかりやすい歌三線の世界」勝連繁雄著 ゆい出版


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