奇蹟 / ミラクル デジタル・リマスター版 [DVD] ミラクル/奇蹟 (製作年度: 1989年)
レビュー日:2009.9.25
更新日:2009.10.30
評価:★★★★★
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解説(Yahoo映画より):
ジャッキーによるF・キャプラの名作「ポケット一杯の幸福」のリメイク。自分は金持ちと再婚し、良い暮らしをしていると伝えて、実は爪に火を灯すような生活でせっせと留学中の娘に仕送りを続けてきた老女。しかしその娘が婚約者を連れ帰って来る事になる。日ごろから老女のお世話になっていた暗黒街のボスは、老女のため大芝居をうって、貧者たちで社交界をでっちあげる事にするのだが……。


ほのぼの系、アクションもあり

いや楽しかったよ〜♪
多少ストーリー展開が強引だしもたつくところはあるけど、楽しいからいい。許す(笑)。

田舎から出てきたカンフーは強いけど純朴な兄ちゃんが、ひょんなことから香港マフィアのボスにまつりあげられて……という話。原作はアメリカのギャングの話らしいんだけど、うまいこと舞台を香港に移し変えて、ゴージャスでちょっとうさんくさい雰囲気を出してます。

ギャグのセンスとか全体的なトーンがひと昔前の松竹あたりの映画のようで、なんだか懐かしい感じもします。出てくる登場人物が、日本だったらたぶんあの人やこの人がやってそうだな、と頭の中で当てはめてみるのも面白いかも。
対立するシマのボスなんて、いたよねこんな人……(丹波哲郎とか松方英樹とかw)
ジャッキーのかわりになる人だけはいませんが(笑)。

はじめは幸運のバラを売ってくれたおばちゃんを助けるために打ったひと芝居が、どんどんオオゴトになってしまって、泣き言並べながらなんとか取り繕おうと奮闘するジャッキーがおかしい。アクションシーンもけっこうスゴイことやってる(NGシーンでは血ぃ出てるもんね。痛そうでした)わりにはマイルドタッチで(ひとりを除いて)人死にも出ないし、そういう意味では最後まで気楽に見られました。

劇中歌の「Rose, rose I love you」がよかったな。思わず鼻歌に出ちゃう系です。


【ここが美味しい名シーン】

「あー、もうちょっとそのままでいて〜」と思ったのは、新ボスお披露目の場での2対1勝負で、ひとりを投げ飛ばした後もうひとりを回し蹴りで倒した直後の構え。あれで一気に居並ぶ配下の心服を得ちゃうのもわかるような気がする。
技が決まった瞬間って、相手がまだ反撃してくる可能性に備えてるから、身体のラインにまだ緊張感と力がみなぎってて、ホントに「美しい」んですよ。で、相手が完全にダウンしたと見極めると、ふっと力が抜けて次の動作に移っちゃうからこういう姿は一瞬しか見られない。一回見ただけだと見落としちゃうこともあるので、何度か見直して新しいの発見するとなんかリッチな気分になります(爆)。

ちなみに、「新しいボスの腕っぷしを見たい」という声があがったとたん、みんながいっせいにテーブル片付けてアリーナ作っちゃうのが、いかにも慣れてますという感じでなんか笑える。


【いよっ、名演技!】

ジャッキーも頑張ってはいますがこの映画で名演技しているのは前ボスの参謀役&新ボスの指南役のウー・マー。ジャッキーをボスにまつりあげた張本人(笑)。
抗争の銃撃戦から逃れる途中、持病が悪化して瀕死の状態になる前ボス。周囲から「後継者の指名を」と言われるも断末魔の苦痛でそれどころではなく、たまたまそこに居合わせて自分を担いで走った(おかげでただでさえ死にかけてるのにそれに拍車かけた……でもしょうがないよね、後ろからバンバン撃たれてるんだから)ジャッキーを非難するように指さして息絶える、その瞬間のウー・マーの表情が見もの。
「ボスの後釜をどうしよう……このままいくと第一の子分であるフェイがボスになってしまうがそうすると自分の立場が危ない……いやそれよりもこの田舎者の若造をボスに仕立てて自分が采配ふるったほうが……」という内心の動きがありありとわかる。そして、えい、と決意した表情になって、ボスが指名したのはこの男だ、とジャッキーを指さすのです。
ここでジャッキーが自分を指して「我(ンゴォ)?」(え〜っ、ぼくがぁ?)と言うのがなんとも……(^^;

いやこの単語がわたしにもわかる数少ない広東語だっていうだけじゃなく、わたし自身こういうシチュエーションに陥ったことが何度となくあるものだから身につまされる。もちろん香港マフィアのボスほどヤバイ立場に立ったことはありませんが(爆)。


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