ワルキューレ プレミアム・エディション [DVD] ワルキューレ (製作年度: 2008年)
レビュー日:2009.11.22
更新日:
評価:★★★
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解説(Yahoo映画より):
第二次世界大戦時に実際にあったヒトラー暗殺計画を題材に、トム・クルーズが主演を務める戦争サスペンス。ヒトラーの独裁政権に屈する者と世界を変えようとする者、そして両者の裏で陰謀をたくらむ者が、戦争の混乱の中で繰り広げる駆け引きを描く。監督は『ユージュアル・サスペクツ』『スーパーマンリターンズ』などのヒットを飛ばすブライアン・シンガー。ケネス・ブラナーやテレンス・スタンプなどの演技派キャストが脇を固め、最後まで緊張の糸が途切れないドラマを展開させる。


隻眼のトム・クルーズ

うわ、トム・クルーズ渋い。
黒い眼帯姿がキャプテン・ハーロックみたいだわ(笑)。

まぁ確かにセリフがドイツ語じゃないってのは苦しいですが、冒頭のシュタウフェンベルク大佐(トム・クルーズ)のモノローグをドイツ語ではじめて途中で英語に変えていくとか、少しでも違和感ないように工夫したところなど努力してるし、話が進むに従ってだんだん不思議と気にならなくなる。
主人公は伯爵の爵位を持つれっきとしたドイツ貴族だから(クラウス・フォン・シュタウフェンベルクだもんね)、トム・クルーズにドイツ語しゃべらせるとなると貴族の品格も持たせなきゃならないし、その上での演技となるとかなり困難だから、ここは英語にしちゃったのも正解かもしれない。

「ヒトラー最後の暗殺計画」は失敗したというのが史実だから、成功か失敗かのハラハラ感はないけど、実は暗殺の成否よりもその後の「ワルキューレ作戦」の顛末のほうが重要だった、というのははじめて知った。
シュタウフェンベルク大佐側と奇跡的に生き延びたヒトラー側とのすさまじい情報戦の様子、作戦行動はこんな風に失敗へと追い込まれていくんだなーというあたりがよく描けてたと思う。

副官のヘフテン中尉、当初はシュタウフェンベルク大佐にしっかり仕えてはいるけど真意はどうなのか読めない感じだし、このあたりの歴史に詳しくないわたしは「もしかして途中で裏切るんじゃないか」などとも考えたけど、最後の最後に見せる大佐への敬愛の情……あれは泣けた。しかもあれが映画の脚色じゃなくて史実だって言うからスゴすぎる。

「ワルキューレ」は北欧神話の戦乙女であり、そのあたりの説明は映画の中でもされているのだけど、タイトルになってる割には扱いがさらっとしすぎた感も。アフリカ戦線で右手と左目を失ったシュタウフェンベルクの姿は北欧神話のオーディンやチュールのイメージとも重なるのだけど、そのへんもう少し匂わせてもよかった気がする。
シュタウフェンベルクが計画参加をためらう将校に脅しをかけるため、自らの義眼を沈めた酒のグラスを届けさせるシーンがあるのだけど、あそこはちょっと「ミーミルの泉」を連想した。


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