香港国際警察/NEW POLICE STORY (製作年度: 2004年)
レビュー日:2010.3.28
更新日:2010.3.31
評価:★★★
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解説(Yahoo映画より):
香港完全復帰を果たすジャッキー・チェン主演作。アーティストとしても活躍するニコラス・ツェーや香港のトップアイドルTWINSのメンバーの一人、シャーリーン・チョイなど香港のトップスターが集結。特に高層ビルの垂直の壁をロープ一本で駆け降りるアクションは必見。
……正直しんどかった。
アクション面でもドラマ面でも結構評価の高いこの作品、ただ話がちょっと重たくてツライとは聞いていたので、今までずーっと見ないできましたが、今回いよいよ意を決して鑑賞。
……見てよかった、とは思うけど、たぶん買わないな、これ。
やっぱ前半の展開がツラすぎるのが理由のひとつ。
もうひとつの理由は、今までの香港ジャッキー映画にあった一種の暖かみ(アクの強さとセットではあったけど)が消えて、どことなく硬質で冷たい感じがすることかな。
舞台となる建物や内装も、スマートにはなっているけど無機質な感じで、部外者の勝手な意見かもしれないけど、香港の雰囲気がああいう風に未来化していくのならちょっとイヤだなぁ。
確かに画像的にはキレイなんだけどね。
でもドラマ部分で見せるジャッキーの演技は予想通りにすばらしいできばえ。
前半部分、犯人グループに手塩にかけて育てた部下を皆殺しにされ、ボロボロになっていくチェン警部(ジャッキー)は見てて本当に辛かったし、「巡査1667」を名乗るシウホン君(ニコラス・ツェー)にハッパかけられて、徐々に以前の闘志を取り戻していくあたりとか、婚約者に対する想いとか……ちょっとウルっときた場面もあったりして。
(映画館で見てたら泣いてたかも)
【ここが美味しい名シーン】
名シーンと言えるかどうかはわからないけど、とにかく全編シリアスなシーンの連続の中で、唯一まとまってコメディタッチの部分があります。
チェン警部とシウホン君が窮地に立たされ、ついに留置場行きに……。しかしどうしても犯人グループを捕まえたいという思いからふたりは「留置場破り」を決行。最初はチェン警部に冷たかったかっての同僚たちも、彼らの熱意にほだされ見て見ぬふりをするくだり。
鍵を「うっかり」落っことしていく看守役の警官から、部屋を出てきてその脱走場面を目撃してしまい、「わたしは何も見なかった〜」とばかりに部屋に戻っていく署長とか、ふたりが逃げる途中で灰皿をひっくり返してド派手な音をたて、びっくりして振り向いた警察署内部の人が示し合わせたように「見なかったフリ」をするところやら……ありえない設定だけど笑えるし、このあたりの「人情風味」は昔のポリス・ストーリーの雰囲気がよみがえったようで楽しい。
きわめつけはユー・ローグァン扮する同僚警部。終始チェン警部に対して批判的な立場を崩さなかったのに、逃げる途中のふたりと鉢合わせしたときに見せる「男の友情」的演技が……ベタなんだけどいいんだよなぁ(笑)。
ふたりが元警官で事件のカギを握るサムを訪ねていくシーンも印象的。サムは黒社会(裏社会)の幹部のひとりになっており、この作品で見られるスマートだけど無機質な「イマドキの香港」の中で、彼が仕切るクラブだけは昔のゴージャスだけど胡散臭い雰囲気をまとっています。
一瞬だけうつる関帝(関羽)の像も、なにげないシーンだけど意味深。
香港の黒社会(ハクセーウイ)で関帝が信仰されているのは有名な話だそうですが、もうひとつ関帝が信仰されている組織があって、それはなんと警察なんだそうです。いざとなれば身体を張って戦わなきゃいけない人たちにとって、武神である関帝は強い心の味方であり、その点では光と影の関係にあるけど、警官と裏社会の人たちには相通ずるものがあるというのが……なんともいえない。
【いよっ、名セリフ!】
広東語でなんと言ってるのかわからないけど、この作品、なぜか字幕スーパー見ただけでもツボにはまっちゃうセリフが多いんですよ。
ジャッキー「共に生きてる今も、死んでからも……君を愛す」
(ここはマジ泣ける)
ユー・ローグァン「済んだら返せよ」
(このときのジャッキーの表情も……思い切りツボだったw)
ニコラス「放さないって言ったのに〜」
ジャッキー「あれは本当にシンドイんだぞ」
(この字幕出たときは笑った。このやりとりは演技というよりほとんどホンネだと思う)
具体的にどんなシーンかの説明は自主規制(それは見てのお楽しみ)。
