ダブル・ミッション [DVD] ダブル・ミッション (製作年度: 2010年)
レビュー日:2010.7.11
更新日:2010.12.11
評価:★★★★★
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解説(Yahoo映画より):
香港のアクション・スター、ジャッキー・チェンのハリウッド進出30周年記念作となるアクション・コメディー。結婚を機にスパイから引退しようとした矢先、恋人の子どものいたずらで巨大な陰謀に巻き込まれてしまうCIAエージェントの奮闘を描く。監督は、『ジングル・オール・ザ・ウェイ』のブライアン・レヴァント。CGやスタントに頼らない人間離れした体当たりアクションと、コミカル演技で世界的スターとなったジャッキー・チェンの魅力を堪能したい。


良質ファミリー・コメディ

まずはじめに。
これ実は、DVDの前にスクリーンで見ました。
なのでまず初鑑賞時の感想から。

やっと見たぞ〜、スクリーン初ジャッキー! (笑)
確かに若い頃のさっそうとした姿からすると年食ったなーと思うけど、キメる時はちゃんと決めるし、身のこなしは相変わらず軽いし、やっぱカッコイイぞぉ。
それに今回はジャッキーの歌がたっぷり聴けたのが思わぬ収穫。うまいなぁやっぱり。

今回はじめてうちの甥っ子を誘って一緒に見に行きました。
終わったあとで彼がひとこと。
「いいハナシだな〜」

いやホントにそう思いました(笑)。わたしからもこの言葉をジャッキーに贈りたいと思います。

楽しいし、ちょっぴりホロリともさせるし、すべてがおさまるべきところにおさまって、最後に「ああ、よかったな〜」と思える作品。そりゃあ超大作でもなければ斬新なところもないけれど、こういうユル〜い雰囲気でこじんまりとまとまった作品もいいじゃありませんか。
たとえるならば良質な素材を使って腕のいいシェフがきちんと作ったお子様ランチ。オトナが食べたってちゃんと美味しくいただけます。

それにこの作品、ただのお子様ランチじゃありません。至るところに今までのジャッキー映画へのオマージュが隠れていて、「あ、あれはあれだぁ」なんて見つけるのが面白い。それにちょっと昔のレトロなスパイ映画や、変身ヒーローものの香りがするのもなんだか懐かしい。

冒頭に昔の映画のシーンがいくつかそのまま(といってもセピア色に加工して)使われてるんだけど、出どころがほとんどわかってしまったわたしって……(^^;

ひと昔前ならスパイだけが駆使できたようなハイテク機器(映画にもそんな小道具は出てくるけれど)と、今時の子どもたちが普通に使いこなしている携帯電話やiPodが、実は性能的にほとんど差がないんだという事実がさりげなく描かれているところもひねりがきいてます。で、そんなガジェットを日常的に使っているお子様に、百戦錬磨のはずのスパイが出し抜かれてしまうシーンもあって、笑えるけどちょっぴり時代の流れも感じたりする……

もともとアクションメインよりは演技重視のほのぼの系が好きなわたしであるし、以前書いたように最初のハマリどころが「本当はスゴイんだろうけど一見冴えない、かつ愛嬌あるオーラに包まれた姿」でしたから、そういう意味では今回の役どころなんてまさしくツボ。最初の背広姿とか家庭での普段着姿とかがいかにもオヤジちっくでダサさの極地(爆)なんだけど、裏のお仕事モードで黒の革ジャン姿になると、ちゃーんと凄味が出てくるところがさすがです。

それからはじめのうち、まだダサいオヤジモードを装っている彼が、最初にその「本当は凄いんだぞモード」を恋人の末娘相手に垣間見せるシーンも好きなんですよね〜。そういえば子どもの頃、ウルトラマンとかスーパーマンとかの変身ヒーロー見ていても、主人公がかっこよく変身しちゃった後より、変身前の常人モードの時にふと普通じゃない能力を見せてしまうシーンとかが好きだったんだよな。

あ、それから、ちょっとしか出てこないけどニャンコが可愛い(笑)。特にジャッキーが子守唄歌ってるシーン(これがまた上手いんだ)はネコ好き必見かもしれません。


【いよっ! 名演技】

しっかし見れば見るほどジャッキーの表現力はすごい。今回も最初は人畜無害な隣のオジサン、って感じなのに、後半になるとどんどん顔つきが変わってくるのよね。
ことに自分のせいで子どもたちを危険に巻き込んでしまった、と思って(でもあれはイアンが悪いんだけどさ)、愛する人たちを守るために自分が身を引かなければ、と決意したあたりの表情がすっごくいいんだ。

で、このあたりを境に、ジャッキーの雰囲気がちゃんと変わる。
よーく見ると身のこなしや姿勢も変わってるのがわかる。「冴えないオッサン」から「かっこいいオジサン」への、ガラリとではないけど微妙な変身ぶり。このあたりがまた絶妙。


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