南極料理人 [DVD] 南極料理人 (製作年度: 2009年)
レビュー日:2010.11.15
更新日:
評価:★★★
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解説(Yahoo映画より):
南極観測隊に料理人として参加した、西村淳原作のエッセー「面白南極料理人」を映画化した癒し系人間ドラマ。南極の基地内で単身赴任生活を送る8人の男性たちの喜怒哀楽を、数々のおいしそうな料理とともに見せる。料理人を演じるのは、ここのところ『ジェネラル・ルージュの凱旋』など話題作への出演が相次ぐ堺雅人。共演の生瀬勝久や高良健吾ら新旧の実力派俳優たちとともに、絶妙のアンサンブルで展開するユーモラスな物語に魅了される。


たかがゴハン、されどゴハン

「究極の単身赴任」というキャッチフレーズに爆笑。
確かにねー、極寒の南極、それも昭和基地みたいに大きなところじゃなくてペンギンもアザラシもいない前線基地、家族はついてきてくれないし、イヤになっても途中で逃げるわけにいかず一年ちょっと……大変でしょうそれは。

話が進むにつれて、みんなむさくるしくどこか壊れ気味になってくるのは、はたで見てる分には笑えるけど、本人達にとっては笑い事じゃないだろうな。でも笑えるけど(爆)。

海上保安庁から派遣された調理担当のニシムラ君(堺雅人)が作るお料理は本当においしそう。最初に出てくる食事なんて、ちょっとした旅館なみに手がかかってますよあれは。
わたしだったらあれだけのオカズがあれば朝昼晩三食食べられる(笑)。
なのに食べるほうは自分の嫌いな食材だけつまみ出したり醤油ぶっかけたり……はじめはそんな男どもを当惑の表情で見ているニシムラ君の表情が、だんだん困り顔ながらも慈母のような暖かいまなざしに変わってくるところが面白い。

最初に見たときはあまりにテンポゆるすぎで間延びした感じもあるし、ちょっとだれる部分もあるんだけれど、見終わった後いろいろなシーンを思い出すだけで笑えてくるという、妙に後引く映画です。そしてなぜか二度目に見たほうが最初より笑える。

これはひとつには、大きなネタの間に小ネタがほどよくちりばめられていること、途中で張られた伏線がしっかり最後までに回収されつくしていることがあるのかも。エンドタイトルですっかり張られていたのを忘れてたネタまで律儀に回収されてたのには脱帽。


【ここが美味しい名シーン】

いやもうこの作品の場合、文字通り美味しいシーンの連続でお腹がすきますが……
一番美味しそうなのはやっぱりあのおにぎりのシーンでしょうか。
作ってるところはもちろん、お昼の支度ができたと知らせるときのBGM(おもいきり脱力気味な「ワルキューレ」w)も、それを聞いて氷原をこけつまろびつ基地に駆け戻ってきて、無言でおにぎりにかぶりつく隊員も、ほかほかと湯気をたてる白いご飯の中からこぼれ落ちそうになっている真っ赤なイクラの粒粒も……あ、いかん、食べたくなってきてしまった。


【いよっ、名演技!】

堺雅人をはじめとして、生瀬勝久やきたろうなど芸達者な人たちがそろっているだけに、せりふの間とか表情とか、なにげなしぐさとかがいちいちツボにはまって笑いを誘います。

だいたい冒頭のシリアス展開だって「そういうオチかい!」と突っ込み必至。

前の観測隊が残していったイセエビが発見された、という情報から氷原に巻き起こる「エッビフライ♪」コールとその後に続く一連のギャグの流れもかなり笑える。

最高におかしかったのはきたろうの隊長さん。妙に可愛いパジャマの柄もツボだったし、夜中の盗み食いがたたってラーメンの備蓄が底をついたときの意気消沈ぶりとか、涙ぐみながらせつせつとニシムラ君にラーメン愛を語る様子だとか、ニシムラ君がありあわせの材料でウルトラC級の腕をふるって作り上げたラーメンを歓喜の涙にくれながらむさぼり食う姿とか……もう笑えて大変でした。


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