テルマエ・ロマエ (製作年度: 2012年)
レビュー日:2012.12.24
更新日:
評価:★★★★
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解説(Yahoo映画より):
古代ローマ帝国の浴場設計技師が現代日本の銭湯にタイムスリップしてしまう、ヤマザキマリの人気コミックを実写映画化。監督は、『のだめカンタービレ 最終楽章』シリーズの武内英樹、脚本を『クローズZERO』シリーズの武藤将吾が手掛ける。古代ローマと現代日本、時空を越えて異文化交流を繰り広げる主人公ルシウスを、阿部寛が妙演。漫画家志望のヒロインに上戸彩がふんするほか、古代ローマ人役の北村一輝、宍戸開、市村正親という日本屈指の顔の濃い役者陣の成り切りぶりにも注目。
お風呂バンザイ
面白かったですよ。
笑える、という意味でも、興味深い、という意味でも。
軽いノリのコメディでありながら、舞台はしっかり重厚なつくり、というギャップもおかしかったし、今の日本のお風呂文化を古代ローマ風にアレンジするとこんなになるんだ、というところも面白かったです。
阿部寛(ルシウス)は初登場のときあまりに周りの風景になじんでて笑えました。もともとの風貌も日本人離れしてるし、演技もしっかりローマ人してました。皇帝の前でひざまずく姿なんてぴたりと決まっててかっこよかったよ。
惜しかったところ……
あそこまで時代考証もしっかりやって作りこんだんだから、真美の「今何年?」というせりふはやめてほしかったなぁ。ちょっと世界史に詳しい人なら当時のローマでキリスト教紀元使うのがナンセンスだってすぐわかるし。なんとか工夫して欲しかった。
それと若干タイムスリップシーンがくどかったかな。テノール歌手のおじさん使ったギャグとか、わざとチャチな人形使った演出は楽しかったけど。何回も出てくるとちょっと飽きる。
子宝祈願がらみのシーンも必要なかった気がするな。原作の漫画読んだ人にしかわからないネタだと思うので。
でもエンドタイトルでいろんな人がお風呂でくつろいでるシーンを並べたのはよかった。お風呂はまさしく、皇帝から庶民までひとしく享受できる楽しみ、という感じでした。
音楽もよかったですね。冒頭の「ベン・ハー」ちっくなテーマ音楽も雰囲気盛り上げてたし、要所要所で使われるイタリアオペラ(ヴェルディの「レクイエム」も含む)もローマ帝国の雰囲気によく合ってたし。オペラのアリアをBGMに使っても、役者のせりふを邪魔してないところなど、なにげに音声担当さんのレベルの高さがうかがわれます。
考えてみたら、イタリアオペラもこの作品も、「史実をネタにした壮大な作り話」という点では共通するものがあるんですよね。だからあんなに合ってたのかもしれないな。
現代日本と古代ローマを行き来するうちに、最初はちょっとタカビーだったルシウスが、日本の進んだお風呂文化にうちのめされて、だんだんプライドを捨て、素直に相手の文化をリスペクトするようになって行く変化もよく描けてたし、それが異民族を武力ではなく文化で圧倒できればと独白するハドリアヌス帝のせりふに呼応しているところなど、なかなかひねりが効いていてGOOD。
