のぼうの城 通常版 [DVD] のぼうの城 (製作年度: 2011年)
レビュー日:2013.11.20
更新日:
評価:★★★
Yahoo映画リンク
IMDBリンク


解説(Yahoo映画より):
戦国末期、豊臣秀吉、石田三成勢の2万人の大軍に屈せず、たった500名の兵で抗戦、勝利した実在の武将・成田長親の姿を描く時代劇。『ゼロの焦点』の犬童一心と『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』の樋口真嗣が異色のダブル監督に挑み、第29回城戸賞を受賞した和田竜のオリジナル脚本を映像化。“のぼう様”と呼ばれたヒロイックな主人公を野村萬斎が熱演するほか、佐藤浩市、山口智充、成宮寛貴らが城を守る侍大将を演じる。底知れぬ人気で人心を掌握した主人公の魅力や、豊臣・石田軍による水攻めシーンなど、見どころ満載の歴史大作だ。


極小版レッドクリフ

いや面白かったですよ。爆笑というほどではないけど、くすりと笑えるというか頬が緩む場面もあるし、セットが大掛かりで独自の世界ができてたし、登場人物のキャラもそれぞれ立ってたし。

2時間半という長さなのにあっという間に終ってしまった感じだし、最後のエンドロールでなんかほのぼの明るい気分になってしまうしで、多少アラはあるかもしれないけど、いい映画だと思いますよ。わたしとしてはおすすめ。

馬を駆って疾走する佐藤浩市(正木丹波)はとにかくカッコイイ。
冒頭の市村正親(豊臣秀吉)も、「やっぱこの人いい役者やな〜」と感心しました。榮倉奈々(甲斐姫)は勇ましくて可愛く、ぐっさん(柴崎和泉)も成宮君(酒巻靭負)もなかなかがんばってました。 上地雄輔(石田光成)もおバカタレントのイメージ払拭、かつ根本的なところで愚直な光成のキャラがよく出てた。酒巻靭負は小説ではもうちょっと活躍してたんだが、見せ場が削られちゃったのは惜しかった。柴崎和泉も奥方とのエピソードがカットされちゃったのが惜しい。

で、もちろん萬斎さん(成田長親)はスゴイ。
あの揺れる小船の上で踊っちゃうバランス感覚は凄すぎる。
他の皆さんのせりふが若干聞き取りにくかったのに対し、萬斎さんのせりふだけはぜんぶきっちり聞き取れる。「武士のくせに馬にもちゃんと乗れない不器用者」という設定なのに何気ない動作がぴたりと決まってしまう(笑)。
最後の石田光成との対面シーンで座を移る動作は注目。あの身体のさばき方は素人にはなかなかできるもんじゃありません。
伝統芸能の底力ここにあり、という感じでした。

スケールはかなり小さいけど「レッドクリフ」を連想する部分もありました。そういえばこの作品のキャラクター設定、原作者が「三国志」を下敷きにしたんじゃないかという気がしますよね。正木丹波が関羽で柴崎和泉が張飛、酒巻靭負が孔明でのぼう様は劉備。そう思ってたら映画でも「思い切りスケールダウンした長坂橋」みたいなシーン〜橋じゃなくて田んぼのあぜ道だけど〜が出てきたので笑っちゃいました。

エンドロールのバックに流れる現在の忍城周辺の風景がよかった。400年前の戦でめちゃくちゃになった(であろう)田んぼが、まるで何事もなかったかのように青々と広がってる様子とか、城は跡かたもなくなってしまったけど当時の名残をとどめる地名とか、正木丹波の建てた寺が今も残っているありさまとか……ちょっと見に行きたくなります。観光PRとしても上出来(笑)。


INDEX