遅くなりましたが、4月29日づけステータスの翻訳です。
カッシーニ探査機の誘導担当は日曜(4/26)の金星フライバイは時間的にも位置的にも正確に行われたと報じました。
NASAジェット推進研究所のカッシーニ計画主任リチャード・スペハルスキー(Richard Spehalski)は、「我々が成し遂げた精度は、大まかに言って、ロサンゼルスからロンドンに向かってバスケットボールを投げるのに相当します。」と述べています。
計画通り、カッシーニは4月26日太平洋夏時間6:52:14、日本時間同日22:52:14(いずれも地球受信時刻)金星表面から284キロ、地球から1億3600キロの地点を通過しました。カッシーニからの電波信号が地球に到達するのに7分を要しました。
金星の重力の牽引効果により、カッシーニ探査機の速度は毎秒約7キロ加速されました。金星を後にした探査機は、太陽に対して時速14万1000キロとなり、2004年7月の土星到達に向けての助力を得ました。
今回の金星フライバイは、過去30年間にJPLの制御のもとで行われた多数の惑星・衛星フライバイのうちで最新のものです。このあと来年(1999年)6月に再度金星フライバイが行われ、同年8月には地球フライバイ、2000年12月には木星フライバイが行われます(カッシーニの打ち上げ遅延のため、日付は図とは多少異なります)。いずれのフライバイでも目標となる惑星の重力の引きを利用し、土星に到達するための速度を分けてもらいます。今回の金星フライバイは、このミッションでカッシーニが行う惑星フライバイの中で最も低高度のものでした。
フライバイ期間中には、探査機に搭載されている観測機器(Science instruments)による金星大気中の稲妻の探査が行われました。またレーダー機器が起動され、金星表面からの反射波を受信するテストが行われました。
2004年に土星周回軌道に入ると、カッシーニ探査機はこのリングをもったお惑星を最低4年間にわたって研究します。また、最大の衛星タイタンに、ホイヘンスとよばれるプローブをパラシュートで投入します。
26日づけ「ステータス・リポート」の翻訳です。
土星をめざすカッシーニは、今朝、金星フライバイに成功しました。金星表面からの距離は284キロでした。このフライバイによって、カッシーニは毎秒およそ7キロだけスピードアップし、2004年7月の土星到達にむけて勢いをつけました。
「どの表示をみても、探査機がまさに期待通りの仕事をしたことを示しています。」副計画主任ロナルド・ドレーパー博士(JPL)はこう述べています。「全て予定通り進んでいるようです。」カッシーニは1997年10月15日、フロリダ州ケープカナベラルから打ち上げられました。カッシーニはJPLによって建造され、そのミッション運営もJPLが行っています。このミッションはNASA、欧州宇宙機関(ESA)をふくむ国際ミッションです。
太平洋夏時間6:52(日本時間同日22:52)金星最接近を行った際、カリフォルニア州モハベ砂漠とスペイン・マドリッド近郊にあるNASAのディープスペース・ネットワーク(遠距離宇宙通信網:DSN)通信アンテナが探査機を追跡しました。片道通信時間は約7分でした。
金星を離れるとき、探査機は時速14万1000キロ以上で運動していました。フライバイの間、搭載されている観測機器は金星大気中の雷を探し、レーダーは金星表面からの反射波を捉えるテストを行いました。
きょう、カッシーニは地球から約1億3600万キロの距離にあります。
土星への長い道中で、カッシーニは金星フライバイを来年6月にもう1回、そして99年8月には地球フライバイ、2000年には木星フライバイを行います。これらのフライバイによって、探査機は最終目的地・土星系に到達するためのスピードを獲得します。2004年、土星周回軌道に入ると、カッシーニはこの環をもった惑星とその衛星たち、そして環のシステムについて、少なくとも4年にわたって研究を行います。また「ホイヘンス」と呼ばれる探査体(プローブ)を分離します。ホイヘンスは、土星最大の衛星・タイタンの表面にパラシュートで降下します。
24日づけ「主な出来事」からの要訳です。
探査機の現況
カッシーニ探査機は現在、太陽に対して毎時約13万6000キロで飛行しており、1997年10月15日の打ち上げ以来、5億3100キロを翔破しました。
カッシーニ探査機は6ヶ月異常にわたって飛行しています。カッシーニの最初の「惑星重力アシスト(探査機速度を上げるための技術)」のときが近づいています。「ビーナス1(第1回金星フライバイ)」は4月28日(日)の早朝予定されています(とうとう正確な時刻のアナウンスはありませんでした。おかげで、もうすこしで見逃すところでした。)。
最新の探査機ステータスは4月23日(木)、ディープスペース・ネットワーク(遠距離宇宙通信網:DSN)ゴールドストーン局で受信されました。探査機はきわめて良好な状態にあり、C7シーケンスを正常に実行しています。
探査機活動のあらまし
4月22日(水)実行および再生用のRPWS/レーダー・ミニシーケンスが探査機に送られました。電波プラズマ波観測器(Radio and Plasma Wave Science instrument:RPWS)の活動は、金星大気中の稲妻を探すためのものです。レーダーの活動は、カッシーニのレーダー機器が目標天体(金星表面)からの反射信号波を捉えることが出来るかどうかを確認するための工学テストです。データ収集ミニシーケンスの活動は4月26日(日)、金星最接近点の近くで行われます。結果は再生ミニシーケンスで地球に送られます。これは5月1日(金)2日(土)に行われる予定です。
カッシーニの「体操」(4/21)
主な出来事の要訳です。金星接近直前と言うこともあり、少し詳しく訳してみました。探査機の状況
カッシーニ探査機は現在、太陽に対して毎時約13万9000キロで飛行しており、1997年10月15日の打ち上げ以来5億1100万キロを翔破しました。
今週水曜で、カッシーニ探査機は飛行6ヶ月を迎えます。探査機の速度を増加させるための技術である、カッシーニの最初の惑星重力アシストのときが近づいています。第1回金星フライバイ「ヴィーナス1」は4月26日午前に予定されています(太平洋夏時間午前10時頃とすると、日本時間では4月27日午前2時頃になります)。
最新の探査機ステータスはディープスペース・ネットワーク(DSN:遠距離宇宙通信網)のキャンベラ局で4月16日に受信された物です。カッシーニはきわめて良好な状態を保っており、C7シーケンスを正常に実行しています。
慣性姿勢制御(Inertial attitude control )は、探査機のヒドラジン・スラスター(RCS)を用いて維持されています。探査機は引き続いて高利得アンテナ(High Gain Antenna)を太陽に向けた姿勢を取っています。この姿勢は、予定された軌道修正(trajectory correction maneuvers)のときを除き、飛行の最初の14ヶ月間維持されます(たびたび述べてきましたが、アンテナを日傘代わりにして、機体温度の上昇を防ぐためです。)。
飛行期間初期の地球との交信は、探査機に2基装備されている低利得アンテナの一方で行われています。どちらの低利得アンテナを用いるかは、太陽、地球、探査機の相対的な位置関係によって選定されます。探査機の状態を地上局で監視するためのテレメトリーの地球への読み出し(ダウンリンク)速度は、現在毎秒40ビット(40bps)です。
探査機の活動のあらまし
4月10日(金)第2季定期工学メンテナンス活動の3つのコンポーネントのうち2つが行われました。最初にAACS BAILメンテナンスが行われたのに続き、エンジン・ジンバル・アクチュエーター(エンジン自在指向器駆動装置:EGA)の動作テストが行われました。(3つ目のコンポーネント「リアクション・ホイール・アッセンブリー動作テスト」は、5月初めに予定されています。)
AACS BAILソフトウェアは異常な電圧低下(すでに一度生じている)から復帰するために用いられるAACSの基本的な能力を与える目的でEEPROMに記録されています。BAILメンテナンスは3ヶ月ごとに予定されており、すでにこれまでにおこっているEEPROMの単独ビットエラー(SBE)を発見・補修するために行われます。この活動によって、二重ビットエラー(DBE)も発見できます(補修はしない)。DBEはあとで地上からの指令で補修されます。EGAアクチュエーターの動作テストでは、カッシーニに二つあるメインエンジン(のノズル)を動作限界まで動かし、ジンバル潤滑剤が均等に行き渡るようにします。どちらの活動もうまく完了しました。テレメトリーによれば、SBEもDBEもBAIL EEROMには生じていませんでした。
4月11日(土)固体レコーダー(SSR)の記録・再生ポインタが予定に従ってリセットされました。この「ハウスキーピング」はおよそ1週間ごとに行われ、探査機に異常が生じた場合に、記録された工学データを地上に送信できる時間を最大限にします。
4月14日(火)SSR飛行ソフトウェア・パーティションのメンテナンスが行われました。これによって、これまでにSSRの飛行ソフトウェア領域に生じた二重ビットエラーが修復されました。
4月16日(木)第2回定期観測機器メンテナンス(PIM)が予定通り始まりました。これは3ヶ月ごとにオービターの12の観測機器のうち11について行われます。これは4月17日(金)夕方には終了しました。PIMの結果は次回「主な出来事」でお知らせする予定です。
また木曜には、固体レコーダー(SSR)の記録・再生ポインタが予定通りリセットされました。
来るイベント
4月17〜23日の週の活動には、定期観測機器メンテナンス(PIM)の終了(17日)、SSRポインタリセット(21日)、RPWSレーダー・ヴィーナス1ミニシーケンスのアップリンク(22日)があります。
ヴィーナス1重力アシスト・フライバイは4月26日早朝に行われます。
ホイヘンス・プローブの定期点検(4/10)
「主な出来事」の要訳です。カッシーニ探査機は、現在太陽に対して毎時約14万1000キロで飛行しており、1997年10月15日以来約4億8500万キロを翔破しました。
最新の探査機ステータスは4月9日(木)、ディープスペース・ネットワーク(DSN:遠距離宇宙通信網)キャンベラ局で受信されたものです。探査機はきわめて良好な状態にあり、C7シーケンスを正常に実行しています。
4月8日(水)、固体データレコーダーのコピー・メンテナンス活動が行われました。これは、飛行ソフトウェア・パーティションのコード部分以外にある2つの二重ビットエラー(double bit errors )をフィックスするためのものです。
このほか、レコーダーの最適化のための記録・再生ポイントのリセットと言った定期点検活動(ハウスキーピング)や、ホイヘンスプローブの点検のためのデータ・プレイバックなどが行われました。
ホイヘンス・プローブの定期点検(4/3)
4/3づけ「ステータスリポート」の全訳です。
カッシーニ探査機は4月26日の金星フライバイへの途上にあります。フライバイによって、探査機は金星の重力の影響を受け、毎時2万6280キロ加速される見込みです。カッシーニの誘導チームは、探査機が金星上空284キロのフライバイに向けてすでに正確に飛行していることから、予定されていたコース微調整は不要と判断し、これを中止しました。
カッシーニは先週の近日点到達以降、太陽重力の引きを感知しており、現在は再び太陽から遠ざかる方向に飛行しています。探査機は太陽に対して毎時14万3000キロで飛行しており、1997年10月15日の打ち上げ以来約4億6499万キロを翔破しました。
先週、カッシーニは搭載されているヨーロッパ宇宙機関の「ホイヘンス・プローブ」の、前回の工学点検データを送信開始しました。このホイヘンスのヘルス・チェックは6ヶ月ごとに行われます。データは分析のためヨーロッパのホイヘンス・チームに送られます。工学点検データの残り分は、来週送信予定です。
カッシーニ、通常モードに復帰(3/31)
少し遅くなりましたが、3/27づけ「主な出来事」の要訳です。
カッシーニ探査機は、現在太陽に対して毎時14万3000キロで飛行しており、1997年10月15日の打ち上げ以来4億3900キロを翔破しました。
最新のステータスは3月26日(木)、ディープスペース・ネットワーク(遠距離宇宙通信網)マドリッド基地で受信されたものです。カッシーニはきわめて良好な状態にあり、C7シーケンスを正常に実行中です。探査機は3月24日(火)にシステム・セーフ状態に入った後、26日(木)には標準シーケンス状態に移行しました。
24日(火)、カッシーニ探査機は自動的に「セーフィング("safing" )」に入りました。これは、システム定義前の、探査機の低活動安全操作状態のことで、予定された点検活動のとき用いられます。探査機は設計通り、正確に「セーフィング」反応を実行しました。火曜日のテレメトリーは、探査機の向き(つまり姿勢)に関する情報に小さなばらつきが生じた結果、セーフィングがおこったことを示していました。これは、飛行管制が探査機の二つの恒星参照ユニット(stellar reference units)の間の切り替えを行ったとき生じました。
地上管制は火・水・木曜に、探査機を計画された操作状態に戻すのに必要なコマンドを準備し、アップリンクしました。26日(木)の午後までにリカバリー活動は完了し、C7シーケンスが再起動され、計画された活動が再び実行されるようになりました。このことによるミッションへの影響はありませんでした。第1回金星フライバイ(ヴィーナス1)のための計画された活動はすべて予定通り行われています。