9月10日(水)

 佐渡から帰って10日余り、全然ライブに行かなかったら何と禁断症状が 出てしまいましたね (^^;) 。 いや、ひたすらオロオロそわそわして、何にも手に着かなくなるだけなんだけど。 (十分問題がある?)
 ちょうどこういうものがスケジュールに入ってた。やれ危ないところだった。

●9/5 CD「MONA LISA」発売記念〜林栄一プレイズ スタンダード
                     at 銀座スイング

 林栄一(as)、加藤崇之(g)、是安則克(b)、外山明(ds)
 ゲスト:山下洋輔(p)

 レポートする前に、一言。今日のレポートは絶対、支離滅裂になります。 途中でイヤになったら、さっさと止めてよそに遊びに行って下さい。
 自分の中で全然折り合いが付いてなくてさ....。 えーい、続けることに意義があるのだあぁ!

 このバンドは、過去に4回聞いております。初回は96年12月29日で、 CD発売予告ライブと称してました。その時の模様及び、このバンドの結成の 由来については、当時ミミズがPC−VANのJAZZ&FUSIONボード に書いたレビューを編集しましたので、こちらをどうぞ。
 ちなみにこのバンド、当初はチラシ上で変なバンド名を名乗っていたのですが 今は使われていません(笑)。

 その後の3回は、CD発売1ヶ月前にやったプロモーション・ライブ。 97年5月27・28日新宿DUG、5月30日江古田Buddyでした。
 この時は日を追うごとに、どんどん良くなっていった記憶があります。 DUGの1日目1stステージでは、山下さんの入らないカルテット演奏で、 CD通りの形式を遵守してました。ソロは2コーラス以内で、ってやつ。 初日でもあり、カチカチにスタンダードでしたね。で、2ndステージで 山下さんが入ったら、自分で決めたそのフォーマットを山下さん自身がぶち壊して しまった(笑)。「うるせー、これはレコーディングじゃねえ、ライブだ!」という ことですかね。山下さんのソロが2コーラスを越え3・4・5・6とのびる度に、 メンバーが「へ? まだ続けるの?」という顔をしてましたが、何度も裏切られる内に 諦めて、しょーがねーなーという苦笑いに変わっていったという。
 翌日からは、曲数を減らしてかわりにメンバー全員、心ゆくまでソロを とるようになりました。と言うわけで、DUG1日目と2日目では、雲泥の差で (言い過ぎか....(^^;) )2日目の方が良かった。Buddyでやった方は 更に良かった訳です。

 長くなりそうだな。(電話の接続切って読んでますか?)

 えー、ここで今回の曲目。青文字がCD収録曲です。

 1部 Mona LisaWalking shoes / Blues Five Spot /
    My Blue HeavenWhat Is This Thing Called Love?
 2部 All of Me / Round' Midnight / 回想 /
    South of BorderI Remember You
 アンコール Autumn Leaves

 銀座スイングという店は基本的に会員制で、会員というのはボトルキープしてる人。 ミミズは、ボトルキープできるようなご身分じゃない(TT)。 事前にさぐりの電話を入れたところ、一見さんお断りという雰囲気では無かったのですが、 でも、早い者勝ちで良い席を予約しておく、ということは出来なかったのです。
 運良く、この日ミミズは休日で、かなり早めに店に着きました。結果、ちゃんと テーブルのある席に座らせてもらえて、これが、表情見ていて面白いメンバーの顔 (つまり是安さん、山下さん、ちょっと乗り出せば外山さんも)が脇からしっかり見える、 好位置。ただし手元は全く見えない。これは自分の耳を試すことになりそうだなあ、 と思いつつ開演を待ちました。

 非常にスタンダードな感じでスタート。雰囲気は良い感じ。2曲目は 「ちょっと早めに」なんて言って始めたらやたらに早く、結局もとのテンポに 戻ってしまったけど、でも、林さんがノってるのが分かる。
 3曲目から山下さん加わり、T.Monkの曲。以前、新宿ピットインでの 林栄一特集に、やはり山下さんがゲスト出演したことがあって、やっぱり Blues Five Spot をやった。(多分、林さんには初物だったのだと思う。) あの時に比べると、ああ林さん、ものにしたなあ、という感じ。山下さんも安心して やりたいことを自由にやってる。ピアノ対サックスの場面だけ切り取れば、結構 Misterioso(この曲が収録されてるアルバム)の モンクとジョニー・グリフィンを彷彿とさせる、いい関係だったと思う。

 ただねえ。耳が慣れて来るにつれて、あーやっぱり駄目かあ、という 何とも残念な言葉が湧いてきてしまう。あーやっぱりぶつかるなあ、ギターとピアノ。

 例えば、サックス+ギター+ピアノ、とかだったら何とかなるのだと思う。 ベースもいますドラムもいます、じゃねえ。山下さん、探り探り、隙間を縫うように 弾くことになりますわね。そりゃ、自分にソロが廻ってきたときは頑張る。 音楽以外は眼中に無いって顔して。いい顔なんだけどねえ。
 加藤さんと山下さんが譲り合いながら弾いてるんじゃあ、折角 フリーの達人を集めてスタンダードやってる意味がないよなあ。

 「ホワットうんたらかんたらコールド・ラブ」(と林さんが紹介(笑))は 何やら過激な演奏となり、途中ピアノvsドラム対決などもあり、 (双方とも何気なく弾いてたら、おや?何か対決場面になっておるぞ、と途中で 気が付いて、突然音が急変。→というように聞こえた。)結構聞き物だった。

 ふんふん、結構、音だけでも各人何をやってるのかしっかり見えるものだ。 たまにはこういうのも面白くて良いんじゃないかな。
 負け惜しみはこれ位にしといて、2部は某様の計らいにより超かぶりつきの特等席に 移動できました(感謝!)。そりゃ、音楽は正面から聞いた方が良いに決まってます。

 Round' Midnight はリクエストに応えての演奏。ピアノ抜きのカルテットで、 哀愁漂うギターの出だしが美しかった。サックスが艶っぽい!

 回想 は林さんのオリジナル。ここからまた山下さんが参加。二人にとっては 旧山下トリオ+1の頃の思い出深い曲のはず。自作というせいもあってか、 林さんが吹っ切れたようにのびのびと演奏。つられて、バンド全体が かなり雰囲気自由になってきた。加藤さんのバッキングの音を聞きながら 「ああ、風が吹いているなあ」と思ったものです。
 勢いに乗って、最終曲はエキサイティングでスリリングで素晴らしい演奏に なりました。一人一人がたっぷりとソロをとり、有終の美を飾れる仕掛けです。 あまりにエキサイティングだったので、ずーっとはらはらし続けて 聞いていた前記のp・g問題を、あの時は忘れてました。

 ドラムが秀逸。外山さんのドラムは、本当に独特なんですよ。 もの凄く細かいドラミングなんだけど、それがことごとくオフ・ビート。 でも試しにカウントとりながら聞いてみると、テンポはきっちり一定。 普通こういうとき、左足のハイハットくらいはシャッシャッシャッシャッ・・・・ とビートを刻んでることが多いけど、それさえ無い。凄い疾走感で、私には、 サッカーでドリブルしながら障害物を抜いていくみたいに聞こえる。
 これ、どーやって終わるのかなあと思ったら、外山さんが是安さんに目線を向け、 是安さんが深く1回うなずいて、それだけで次の瞬間テーマに戻ってしまった。 思わずうなっちゃいました。あの呼吸! あー、いいなあ。
 あの一瞬で、それまでのもやもやが一蹴されて、ああ、今日も楽しかったな、 に変わったようなものです。

 それにしても。何度も自問自答を繰り返したのです。山下さんが入らない方が 良いバンド。初回の時に持った印象が、先入観として残っているのじゃないか。 偏った見方をしてるのじゃないか。でも、今回も結論は変わりませんでした。
 どーも腑に落ちない。納得できない。根本的に好きなだけに、割り切れない。

 「ライブだもん、色々あるさー」と軽く受け流すのはちと短絡的だし、「そんな バンド聞かなければ良い、見限ってしまえ」では発展性というものがありません。
 だから、ミミズは次も聞きに行く。また疑問詞が飛び交うことを承知の上で、 敢えて聞きに行く。悪趣味? そうとも言うなあ。
 ここはひとつ、徹底的にやっていただきましょう。是非、完成の域、というものを 見せていただきたい。だからね、「CDも売れたし、そろそろ止めようか」っての、 無しね。

 中毒患者ゆえのこだわりってやつです(笑)。

 でも、こんなもの最後まで読んでしまったあなただって、けっこう予備軍だと 思うけどねえ。いかが?


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