ジャズではないです。現代音楽になるんでしょうか。
●10/26 スティーブ・ライヒ&ミュージシャンズ at彩の国埼玉芸術劇場
3日連続公演の1日目に行って来ました。
ミニマル・ミュージックの定義が正確にわかっていないのですが、
「編成」「装飾性」などを最低限minimalに抑えた音楽、らしいです。
その結果「リズム」や楽器の「音色」の取り合わせが際だつ音楽なのだ、
という印象をもちました。
1日目の演目は「マレット楽器、声とオルガンのための音楽」「6台のピアノ」
「18人の音楽家のための音楽」。いずれも、メロディーというものが殆どなく、
一定のパルスにのって、決まった音のパターンやリズムを反復したり重ねたり
ずらして演奏したりアクセントの位置を変えるなどして、音の層を作り出し
曲の表情を変えていく、というもの。楽譜だけをみたら、かなり無機的に
見えるのではないかと思います。
まず、私は演奏をし続けている音楽家たちに脅威を感じました。 一人ひとりの動きは、まさに時計の歯車であり工事現場の杭打ちの土木工作機。 延々と同じ事を繰り返すわけです。やがて、聞いている方もいい加減 絶えられなくなってきた頃合いを見計らったように、曲相が変わる。 それは、楽器同士でパターンを取り替えたとか、リズムが変わったとか ハーモニーを変えたとか単純な変化なんですが、これで見事に情景が変わるんですね。 山間を走る電車に乗っていて延々と続くトンネルにうんざりしていたら、 突然視界が開けて海が見えた、って感じですか。
「18人の−」は1vl・1vc・2cl・4女声・4pにマレット楽器(マリンバなど)が3種6台。
演奏に1時間近くかかる大作です。ピアノとマレット楽器の人たちは、
同じ楽器を弾き続けるのではなく、時折能舞台のような静かな動きで楽器から
楽器に移動し、それまで演奏している人の音を引き継ぐ、ということをします。
これがmm=180くらい(?とにかく速い)の速度の裏打ちをとぎれることなく
バトンタッチする、というとんでもない技です。
この曲は13の部分からできていて、メタロフォンが奏でる短い合図
(学校のキンコンカンコーンみたいな)をきっかけに、次のパートに移っていきます。
この時の変化がほとんど劇的と言う感じで、しまいにはこの瞬間をワクワクしながら
待ちわびるようになりました。
この楽団に指揮者はいません。ひとえに演奏家たちのリズム感にかかって
いるわけで、素人がやったらどんどん走ってしまい、収拾がつかなくなる
のが目に見えるようです。
ところで、会場に向かう道々、続々と同じ方向を目指す人の群をみて とても嬉しかったです。明らかに、普段あの辺りで見かけるひとたちとは 違う人種。会場内はほぼ満席で、演奏が終わったあとのロビーでは アンケート用紙に記入している姿がかなり見られました。やっとこの種の 音楽愛好家にも、彩の国埼玉芸術劇場の存在が認知されたかな、今日ので 大分新しいお客さんを獲得したんじゃないかな、とスタッフでもないのに ほくそ笑む、一埼玉県民でありました。