4月30日(木)その2

 両極端のもう一方はクラシックのピアノ奏者のソロコンサート。

●4/17 小原孝ピアノ・リサイタル 〜ガーシュインを弾く @紀尾井ホール
 セカンド・ピアノ:河原忠之

1部:アイ・ガット・リズム/リザ/3つのプレリュード/ザ・マン・アイ・ラブ/ スワニー/ファシネイティング・リズム/サムバディ・ラヴズ・ミー/スワンダフル /パリのアメリカ人ファンタジー
2部:二台のピアノの為のサマータイム/アイ・ガット・リズム・ヴァリエーション /ラプソディ・イン・ブルー
アンコール:愛情物語/サマータイム

 小原孝さんは、ピアノの楽しさをみんなに知ってもらいたい、と肩肘の張らない リラックスして聞けるコンサートをひっさげて全国を行脚している、ピアニスト。 楽しいおしゃべりも特徴です。

 MCで小原さんが言うことには、ガーシュインはクラシックの世界では少し微妙な ところに位置する作曲家なのだそうです。今回、ガーシュインを取り上げるにあたって、 かなりジャズ・コンサートにも通ったそうで、ジャズ・ミュージシャンが一様に、 ガーシュインは立派なクラシックの作曲家だ、と言っていたのが印象的だったとか。 小原さん自身は、クラシックとジャズの両方から美味しいところをとった、 楽しい演奏を目指したい、とも言ってましたが、さて....?

 3つのプレリュードが一番良かったと思います。小原さんが音大に在籍中に 課題として与えられた曲で、初めて弾いたガーシュインだったとか。弾き込み方が 違うのか思い入れなのか、とにかくこれがもっとも自由な雰囲気の演奏で良かった。 (絶対に弾けないのを覚悟で、楽譜が欲しくなってしまった(笑)。)
 何を弾いても、本当にもの凄く上手い。どんなに細かく複雑な音も クリアに弾きこなしてしまう。あの鮮やかな指の動きは、ため息が出る程です。 熱心なファンが沢山ついているのも頷ける、楽しげな弾きっぷりも印象的。 (何しろ、2階席から眺め回したところ、誰も寝てない!)
 でもやはり、ジャズの美味しいところは、まだまだ取り残してると思うなあ。

 クラシック奏者だから当然楽譜に忠実だし。楽譜に書いてある音を全部きちんと 再現しようとして一生懸命弾いてしまえば、およそスイング感からは遠いものに なってしまう。あと、間の取り方とかテンポ感覚とか。やっぱりジャズとは違う。
 2部の最初の2曲は二台のピアノを使っていたのですが、2人で弾くとちょっと雑な音も 飛び出したりして、ちょっとそれっぽくなるんです。でも、例えば加速や減速するときとか、 グラフで放物線が書けるような(笑)、きちんとしたテンポでやるわけですよ。 うーむ、何かが違う。
 別にそれが悪いと言ってるんじゃないです。小原さんは、ガーシュインは クラシックの作曲家なんだから、クラシック奏者もきちんと取り上げるべき題材だ、 と言っている訳で、その熱意が十分伝わってくる演奏ではあるんです。
 ただ、普段ジャズ側の演奏ばかり聞いているこちらとしては、ジャズって何だろう? スイングって何?という、永遠の謎に、ぶつかってしまった次第。

 ガーシュインはジャズメンではないが、どんな演奏をしてたっけ!? と妙に 焦ってしまい、うちに帰って、早速 CD Gershwin Plays Gershwin (ELECTRA NONESUCH: WPCC-5659)を引っ張り出して聞きました。これは、ガーシュイン自身の演奏を 自動ピアノで再現したCDです。
 ちゃんとスイングしてます。何だかホッとしてしまいました。


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