8月14日(金)その1

 5月末の新宿ピットインで「佐藤允彦5nights」なるものがございました。 「なんじゃいこりゃ」と口あーんぐりになるくらい、各日とも まったく違う趣向がこらしてございまして...。しょうがないので(!?) 我慢して3日間だけ厳選して行って参りました(苦笑)。

5/26 佐藤允彦5nights 1日目「INSPIRED NIGHT Vol.1」
  佐藤允彦(p)、梅津和時(s)、サム・ベネット(per)

 初日からこーゆーメンバーです。大胆きわまりない(笑)。
 後方から「そろそろやろーかー」と声がして、一同ぞろぞろとステージへ。 (誰も楽屋に入ってなかった!)フリー・インプロヴィゼーション、2本勝負! の始まりです。

 まずゲスト2人の装備ですが、梅津さんはss・as・cl・bcl、の4本(...多分)。 サム・ベネットは、サンプラーにターンテーブルに電子タブラ(? 楽器の名前が分からない)とシンバル1枚をずらっと並べて、足元におもちゃ各種。
 で、うー、えーっと。説明に窮する(^^;; 正真正銘のフリーなので、 探り合いに次ぐ探り合い。つまりひたすら断片的局面の繋がりです。
 1部は(=1部1曲なの!)、まとまってくると必ず誰かが壊しにかかって 演奏が繋がっていくという、シビアな進行でした。 梅津さん、ひとしきり綺麗なメロディを吹いてみんなが乗ってくると「や〜めた!」 とばかり無調声な方向に走る。梅津vsサムでやりあいが過熱してきたと思ったら、 決然と佐藤さんが割って入る。これで終わりかな?という空間がぽっかり開いたと 思ったら、おもむろにサムが違うこと始める...。何であれ終われたんですか? 1時間近くやって、ちゃんと終わりましたけど。
 2部は比較的まとまってた、というか曲にする努力はしてた? 演奏のうねりごとに何らかの曲調を維持してた、ってんですかね。1番面白かったのは、 asが提示するメロディにprcが雅楽(!)だの謡(!!)だのをターンテーブルに乗せて 応酬したあたり。で、いったんpを筆頭にどっかーんと大爆発の場面があったのが、 えー加減収拾が付かなくなってclの優しげなメロディで鎮火。最後は梅津さんがas 使って出す風のような音に、サム・ベネットの親指ピアノが重なって何やら涼やかに 郷愁さえ感じさせつつ終わったのでした。
 という訳で、うーんフリーを聞いたぜ、わっはっはっ...。 としか反応のしようが無いですが、とにかく無茶苦茶面白かったです。

5/27 佐藤允彦5nights 2日目「INSPIRED NIGHT Vol.2」
  佐藤允彦(p)、渡辺香津美(g)、高田みどり(prc)

 前日よりはコンサートらしかった(苦笑)。

 1部は3つのデュオ。
 その1 p+prc 歩み寄る意志がはっきりしたフリー。prcが銅鑼&太鼓→マリンバ →銅鑼&太鼓、と急緩急の場面をくっきりと叩き分け、pがその流れに乗っていく。 無理にメロディを作るでもなく、乱暴に打楽器的になるでもなく。 緊迫感と幻想的な雰囲気、非常に美しい完成度の高い演奏だったと思います。
 その2 g+prc 鈴とマリンバでスタート。香津美さんは一貫して、 インドからスペインのどっか西の方を匂わせる(?)音。prcは手当たり次第、色んなものを 使って合わせてた、のかな? 香津美さんもしまいにはパーカッション的になって対抗。 最後にも鈴とマリンバが現れ、きちんとした終息感。
 その3 p+g 探り合いのポロポロ弾きから、やっぱりやりやすいのはブルースだねえ、 みたいな感じに。応対応対応対応対応対・・・と、主題と対応の飽くことなき戦いは 時にエスカレートして大混戦。pが「ねえ、もう止めない?」と、 無理矢理終わりの場面を作り、あっけなく終わってしまった(ように聞こえました。)

 2部は、3人でフリー1本。それぞれのソロの場面があった、というのが前日とは 大違い(苦笑)。でも、prcの存在感はかなり恐いものが。pとgにやるだけやらせておいて、 その間ジワジワッと音量が上がってきたと思ったら、次の瞬間には完全に主役。強い!
 ま、全体に高田さんが主役な日だったかも。いざという時の呈示力の強さ、 演奏する姿のプロフェッショナルな美しさ。目にも耳にも焼き付いています。

続く

人に見せる日記 目次
ホームページ
製作者=水のなおみ
All Right Reserved by Naomi Mizuno.