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 これではまおが暴君みたいですが、そんなまおが実はものっすごく甘えん坊なことも 食事で分かります。まおは人肌のお湯が大好きです。冬は食事に添える水もお湯にしますし、 あと、わたしがお風呂に入るときは必ずまおの為にお湯を汲みます。 そうすると必ずまおがお風呂場に現れて、目を細めて美味しそうに飲むんです。 わたしは確信しています。人肌のお湯で、まおはお母さんのおっぱいを 思い出しているに違いないと。
 もっとも、お風呂場でお湯を飲んでるまおはそれはもう可愛いです。 伏目がちに(水面を見てるのだから当然ですね)、八重歯を(もとい牙です)ちらちら見せながら、 一心不乱にばら色の舌で水をすくっている猫。猫好きにはたまらない可愛さです。

 ことほど左様に、ばらばらな好みで人間を振り回すふたりの猫さま。 ご飯のおねだりだけは、見事に足並みが揃います。
 早朝6時、すっさまじい猫の走り回る音で目が覚めます。 ふたりは素晴らしいタグマッチで襲い掛かってきます。 お母さんは寝坊助で絶対に布団から出ませんから、ターゲットはお父さんです。 追い駆けっこをしながらわざと人のお腹の上を駆け抜け、 「うるるにーっ」「まおーん」と鳴き立て、「ねえ、まだ起きないの?」と 顔にスーハー息を吹きかけます(これさらの得意技)。「分かった分かった、はいはい」と 早起きが得意なお父さんが、ため息をつきながら立ち上がります。

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