ミミズの漬け込みフルーツの作り方のベースにあるのは、な、なんと、
昭和40年代のNHK「今日の料理」のテキストであります。新婚早々のうちの母が、
料理を勉強しよう、とて3年間買い続けた教本が、20年あまりもの間
我が家秘蔵のバイブルとして活躍していたのです。ただ、母もすっかり
ベテラン主婦となりさすがの「今日の料理」も出番が無くなったので、
数年前ほとんど処分してしまいましたが。
で、ミミズはご幼少のみぎり、その大量にある「今日の料理」を絵本代わりに
ペラペラめくっては、自分がお菓子を作っているところや、出来上がったその美しい
(はずの)お菓子の味を想像して何時間も過ごすという、母に言わせれば
「やな子ねえ」だったのです。
台所をベタベタにしながらお菓子を作り始めたのは、多分中学生くらいの頃ですが、
作りたいもののレシピを即座に探し出せたものです。
漬け込みフルーツは、最初に作ったのがかれこれ十数年前でしたか。およそお菓子に
使いそうもないスパイスを使ったり、ラム酒とブランデーを混合する、
というノウハウはテキストからいただきました。(確か、クリスマス特集か何かだったんだよね。)
以来、ずっと同じ作り方です。中に入れるフルーツはその時々で変わりますが、
とにかくお酒を2種類使う、という方法だけはかたくなに守っております。
ラム酒って、超大瓶しか売ってないから、一度買ってしまうと大変なんだけどね〜(^^;)
そうそうあと、あのテキストだとフルーツケーキの生地にカラメルを混ぜて
コクを出すんですが、カラメルの苦みが強くなってしまった時は酢を加えると良い、
なんてことも書いてあったっけ。これだけ記憶がはっきりしていれば、
捨ててしまっても問題ないというものですね(笑)。
ずっと同じ作り方と言いましたが、だったはずなんです。ところが去年、
急遽フルーツケーキを焼くことになって実家に残してきたその漬け込みフルーツの瓶を
取りに行ってびっくり。
自分が想像していたものと、味も香りも全然違う! あ〜れ〜、どうしちゃったんだあ?
つまるところ、ミミズが置き去りにしたその瓶の中身はしっかり母が使い続けていて、
補充も母がし続けた結果、すっかりミミズの味が失われて母の味にすり替わってしまった
のですな。ショック。
何が違うって、うーん、ミミズが作った方がスパイスがガシガシ入って、濃密な香りが
するですだ。たいして使っているものに差があるじゃなし、こんなに違うものですかね。
これはいかんというので、今年初頭、じぶんち用に新たに漬け直しました。
今さっき様子を見たのだけれど、半年もたってないからまだまだですなあ。
使えないことはありませんが、もうひとつアルコールの匂いが勝ちすぎてるようです。
でも、もうひと瓶漬けておかないと、我慢できなくなって完成品が出来る前に
使い切ってしまいそう(苦笑)。しょうがないなあ。どれ、買い出しに行きましょうか。
('98.5.11)